センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
26話 解放
26話 解放
――ゼンは、分身を盾にして、条件を満たそうとあがくが、
「その程度の分身で、この現状を打破できるとでも? 死闘をナメているのかな?」
盾に使おうと分身を前に出すが、ゼンの分身ごときではアビスの足止めなど、一秒足りとも出来ず、あっさりとくぐり抜けられる。
ふところにもぐりこまれ、怒涛の攻撃を受けるゼン。
――当然だが、アビスに呪縛など通じない。
打つ手なしでフルボッコにされるゼンに、アビスは言う。
「君は決して弱くない! ポテンシャルも精神力も見事! だが、そんな出来の悪い『チンケなビルド』では、『本当に強い相手』には勝てない! そろそろ自覚できたかな? 今の君に出来るのは、ザコ狩りだけだということが!」
ゼンは必死に抗った。
それまでに磨いてきた全てを駆使して、アビスと闘った。
しかし、相手にならなかった。
アビスが言うとおり、今のゼンの構成では、『本物の強者』が相手だと話にならない。
「ああ……みたいだな」
ゼンは認める。
今の自分ではアビスには勝てない。
「だが、今の構成が最適解じゃない事くらい、お前に言われなくてもわかっているさ。今の状態は、しょせん、極限状態を乗り越えるための苦肉の策。ここを乗り越えて、ちゃんといろいろと考えて、いつか、最高のビルドを見つけてやる」
「ここを乗り越えて、いつか、ねぇ……もしかして、君は、現状が理解できていないのかな? 君の予選はまだ終わっていない。つまり、未来を語れる状況ではない。私に勝てなければ、君はここで死――」
「ここまで『頼らず』にきたんだし、どうせだから、最後まで『使わずにクリアしよう』と思ったが……どうやら、ムリみたいだな。まあ、仕方が無い。もしかしたら、お前で最後っていうのも嘘で、まだ敵が出てくるって可能性もなくはないが、ここで死んだら、それを心配する必要すらない訳だしな……」
ゼンは、ボソボソとそう言ってから、
「見せてやるよ。俺のとっておき」
スゥっと息を吸って、
ついに、
「アスラ・エグゾギア‐システム起動!!」
ここまで、命がけで温存してきた切札のエグゾギアを使おうとする、
――が、
使えなかった。
「え? あれ?」
きちんと、いつもどおりの手順で、神のシステムを起動させようとしたが、うんともすんとも言わない。
「アスラ・エグゾギア‐システム起動! 起動ぉおお! 起動だ、ってつってんだろ! おい!」
自分自身に向けて叫ぶ。
だが、何も起こらない。
なぜ発動しないのかサッパリ分からずパニック状態のゼンに、
アビスがとうとうと、
「今、機動系の魔法(エグゾギア‐システムは機動魔法の頂点)を使おうとしたな? かなりの圧を感じた。どんなものか知らんが、おそらく、今使おうとした『何か』こそが君の最大の切札なのだろう。ここまで隠し通してきた、その我慢強さと警戒心と危機管理力の高さは称賛に値するが、しかし、残念。無駄だ。制御フィールドが張られているこのフロアでは、誰も機動魔法を使う事はできない」
「……」
絶句するゼン。
頭の中が、一瞬、真っ白になった。
『なぜ、そんなピンポイントな対策が施されているのか』と言う当たり前の疑問を抱く余裕すらなかった。
深い絶望に包まれ、全身が歪んでいくような錯覚に陥る。
正直、ここまでは、『エグゾギアがあるから』とナメていた部分があった。
先ほどまでの、100万回の戦闘でも、その前の、99階分闘わなければいけないと聞かされた時も、その前の、シグレの呪いを聞かされた時も、いつだって、『自分にはエグゾギアがあるから』というのがあったから、絶望の底には落ちなかった。
時間的な制約が激しいため、使い勝手は非常に悪い――が、
『エグゾギアがある』という、その事実は、ゼンの心を常に強く支えていた。
『依存していた』という言い方をしてもいい。
――ゼンは、分身を盾にして、条件を満たそうとあがくが、
「その程度の分身で、この現状を打破できるとでも? 死闘をナメているのかな?」
盾に使おうと分身を前に出すが、ゼンの分身ごときではアビスの足止めなど、一秒足りとも出来ず、あっさりとくぐり抜けられる。
ふところにもぐりこまれ、怒涛の攻撃を受けるゼン。
――当然だが、アビスに呪縛など通じない。
打つ手なしでフルボッコにされるゼンに、アビスは言う。
「君は決して弱くない! ポテンシャルも精神力も見事! だが、そんな出来の悪い『チンケなビルド』では、『本当に強い相手』には勝てない! そろそろ自覚できたかな? 今の君に出来るのは、ザコ狩りだけだということが!」
ゼンは必死に抗った。
それまでに磨いてきた全てを駆使して、アビスと闘った。
しかし、相手にならなかった。
アビスが言うとおり、今のゼンの構成では、『本物の強者』が相手だと話にならない。
「ああ……みたいだな」
ゼンは認める。
今の自分ではアビスには勝てない。
「だが、今の構成が最適解じゃない事くらい、お前に言われなくてもわかっているさ。今の状態は、しょせん、極限状態を乗り越えるための苦肉の策。ここを乗り越えて、ちゃんといろいろと考えて、いつか、最高のビルドを見つけてやる」
「ここを乗り越えて、いつか、ねぇ……もしかして、君は、現状が理解できていないのかな? 君の予選はまだ終わっていない。つまり、未来を語れる状況ではない。私に勝てなければ、君はここで死――」
「ここまで『頼らず』にきたんだし、どうせだから、最後まで『使わずにクリアしよう』と思ったが……どうやら、ムリみたいだな。まあ、仕方が無い。もしかしたら、お前で最後っていうのも嘘で、まだ敵が出てくるって可能性もなくはないが、ここで死んだら、それを心配する必要すらない訳だしな……」
ゼンは、ボソボソとそう言ってから、
「見せてやるよ。俺のとっておき」
スゥっと息を吸って、
ついに、
「アスラ・エグゾギア‐システム起動!!」
ここまで、命がけで温存してきた切札のエグゾギアを使おうとする、
――が、
使えなかった。
「え? あれ?」
きちんと、いつもどおりの手順で、神のシステムを起動させようとしたが、うんともすんとも言わない。
「アスラ・エグゾギア‐システム起動! 起動ぉおお! 起動だ、ってつってんだろ! おい!」
自分自身に向けて叫ぶ。
だが、何も起こらない。
なぜ発動しないのかサッパリ分からずパニック状態のゼンに、
アビスがとうとうと、
「今、機動系の魔法(エグゾギア‐システムは機動魔法の頂点)を使おうとしたな? かなりの圧を感じた。どんなものか知らんが、おそらく、今使おうとした『何か』こそが君の最大の切札なのだろう。ここまで隠し通してきた、その我慢強さと警戒心と危機管理力の高さは称賛に値するが、しかし、残念。無駄だ。制御フィールドが張られているこのフロアでは、誰も機動魔法を使う事はできない」
「……」
絶句するゼン。
頭の中が、一瞬、真っ白になった。
『なぜ、そんなピンポイントな対策が施されているのか』と言う当たり前の疑問を抱く余裕すらなかった。
深い絶望に包まれ、全身が歪んでいくような錯覚に陥る。
正直、ここまでは、『エグゾギアがあるから』とナメていた部分があった。
先ほどまでの、100万回の戦闘でも、その前の、99階分闘わなければいけないと聞かされた時も、その前の、シグレの呪いを聞かされた時も、いつだって、『自分にはエグゾギアがあるから』というのがあったから、絶望の底には落ちなかった。
時間的な制約が激しいため、使い勝手は非常に悪い――が、
『エグゾギアがある』という、その事実は、ゼンの心を常に強く支えていた。
『依存していた』という言い方をしてもいい。
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