センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
7話 セイラ(ニー)VSエンシェント・ジズ
7話 セイラ(ニー)VSエンシェント・ジズ
「……っ、いや、でも――」
クレーマー化しているハルスに、
――『ニー』が、
「ずいぶんと心外な態度だね、ハルス」
溜息と呆れ交じりの声で、
「君は、もしかして、このニーが、たかがジズごときに、負けると思っているのかな?」
「……お前が図抜けて優秀だってことは、ここまでの闘いで、充分すぎるくらい理解できた。ただでさえハンパないのに、セイラと合体したことで、今のお前はサリエリクラスにまで強化されている。本当にとんでもない召喚獣だ。まさに神獣と呼ぶにふさわしい」
「ふふん、当然の評価だね。なんせ、ニーは――」
「だが、お前の存在値は、ジズより下だ」
ハルスのサードアイだと、デジタルに世界を測ることはできず、だいたいの大きさしか分からない。
たとえば、エンシェント・ジズ(存在値86)とエンシェント・リヴァイアサン(存在値87)を見比べて、どっちが強いオーラを放っているか、ぶっちゃけ、ハッキリとは分からない。
だが、『セイラ(ニー)』とエンシェント・ジズほどの差があれば一目で分かる。
存在値の差が『5以上』あれば、普通に、どっちが上か判断できる。
つまり、この二体のように、10の差があれば、間違いなく判別できるのだ。
ハルスの結論。
――『セイラ(ニー)』では絶対にエンエシェント・ジズには勝てない。
「まったく……本当に、ナメられたものだよ。しかたない。少しだけ、ニーが『誰の何』なのか教えてあげよう」
そこで、ニーは、自分を纏っているセイラに、
「セイラ、かなりキツいと思うけど、死ぬよりはマシだから、どうか耐えてね」
「ぇ、え……な、何をするの?」
「君との相性は、どうやらかなりいいみたいでね。けっこうなところまで解放できそうなんだ。どうせ、これが最後の闘いだし、ナメられっぱなしというのも性に合わないから……ニーがいかにハンパないスーパーモンスターか、しっかりと教えてあげるよ」
「ちょ、ちょっ――」
『ジズに対する恐怖』や、『ハルスが焦っている様子』や、『意味深なニーの警告』など諸々が合わさってパニックになっているセイラ。
そんなセイラの感情を、まるっと無視して、ニーは叫ぶ。
「まずは、真・武装闘気!!」
叫びに呼応し、ニーのオーラが膨れ上がる。
スライムスーツの形状が少しゴツくなり、背中から翼が生えた。
ニーは止まらない。
「続けて、真・武装闘気を超えた真・武装闘気! その名も、真・武装闘気2!!」
形状がさらにゴツくなり、
膨れ上がったオーラが『定期的にバチバチと走るイナズマ』を纏う。
「そして! これが!! ……ぬぬぬ……ぬぬぬぅうううううう!!」
さらに、さらに、膨れ上がっていくオーラ。
ついには、
カッッ!!
と、強い光を放ち、
……収束した時には、
「――これが、真・武装闘気3。時間がかかってすまなかったね。まだこの変化になれていない……って訳でもないんだけど、今のニーだと、これ以上の時間短縮はできないんだよね」
かわいらしさなど微塵もない、禍々しさすら感じさせるバトルスーツに身を包むセイラがそこにいた。
膨れ上がった膨大なオーラ。
その存在値は90を超えている。
「ジズは、かなりHPが高い耐久型モンスターだけれど……ニーが本気を出せば……」
ニーは、両手に、ガンガン魔力をブチこんでいく。
残っていた魔力の95%ほどをブチこむと、
狙いを定め、情け容赦なく、
「異次元砲ぉおおお!!」
超出力のゲロビを放出。
まったく可愛くない、エネルギーの暴走。
龍の咆哮を想起させる凶悪な照射が、巨大な怪鳥を貫く。
音が消えた時、そこには、ジズの死体が転がっていた。
華麗なる一撃必殺。
美しき瞬殺劇。
「ちっ、消滅はさせられなかったか……でも、まあ、このとおり、余裕のワンパンさ。ニーをナメちゃダメだって理解できたかな?」
ニーの言葉に、
「ぁ……はい……」
ハルスは、呆けた顔で頷くしかなかった。
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