センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
6話 シグレの予選。
6話 シグレの予選。
「おお、ラッキー、ラッキー。アレやったら、余裕やな」
スケルトンソルジャーは、剣を持ったガイコツ。
普通に不気味であり、そこらの女子が遭遇したら、悲鳴をあげて逃げ出すしかないモンスター。
しかし、シグレは、ここに至るまでの間に、散々、むちゃくちゃな化け物を見てきた。
そのため、いまさらスケルトンソルジャーていどにビビる事などなかった。
『武器をもって動いているだけのガイコツ』など、『庭先をウロチョロしているアリ』とさほど変わらない。
「存在値10台とか、もはや、カワイイわぁ。ザコすぎてわろてまうレベル。これ、チート(ゼロ&カース)なしで、あたし自身が闘ってもいけるんとちゃう?」
と、調子に乗った発言をしている背中に、ニーが、少し慌てて、
「絶対に勝てないから! ちゃんとチートを使いなさい!」
「……めっちゃ怒られた。……使役しとるスライムから正式に叱られた」
ショボンとしつつ、
「まあ、実際、素のあたしでは勝てんやろうなぁ……いまだ、存在値10をこえてへんし。てか、ほんま、あたし、ひどいな。『しょうもないザコ』が相手でも絶対に勝てん『ザコをこえたザコ』……ヘコむなぁ……」
言いながら、シグレは、カースソルジャー1号を召喚し、
「というわけで……ほな、あと、よろしく」
命じられた直後、
カースソルジャー1号は、蚊でもはたくような勢いで、ササっとスケルトンソルジャーを叩き潰す。
一瞬の出来事だった。
なんの面白みも山場もない、ただの作業。
そんなアクビが出る作業工程をチェックしたアビスは、ほぼほぼ無表情で、
「はい。合格」
事務的にそう言うだけでサっと流した。
「さて、次は君だ」
流れるように次の試験へ。
――指名されたセイラ(ニー)の前に現れる筒。
ニーを纏っている安心感からか、
セイラは、特に迷いも躊躇もせずに、サクっとクジをひく。
※ ちなみに、ニーが、神の力を使うためには、センの協力が不可欠です。
そのため、この場でのニーは、いつものニーです。
「おっとっと……これは、酷い。99番だ。限りなく最悪に近い大凶」
アビスの言葉を聞いて、セイラは流石に顔を曇らせ、
「……ぇ……ぇえ……」
別にセイラは、頭カラッポのアホじゃないし、今まで寝ていた訳でもないので、
『99番』を引いたという事の意味はすぐに理解した。
ゆえにキョドる。
ニーに対する信頼感は大きいが、ニーが無敵では無い事も理解できているから。
――そんな、絶賛困惑中のセイラをムシして、
アビスは、棒をへし折った。
すると、フロアがグワァっと広がってゆき、
その広がったフロアの中心に、巨大なジオメトリが出現した。
そして、そのジオメオリから、ハンパないボリュームの怪鳥が出現した。
「エンシェント・ジズ。存在値は86。フーマーの領海を守護している『エンシェント・リヴァイアサン』と並ぶ伝説の怪物」
「ぁ……ぁ……ぁあ……」
全長10メートル強という巨大な鳥のバケモノを目の当たりにして、
セイラは、ブルブルと怯えて震えだす。
ぶっちゃけ、ジズよりも『この階までに倒してきたモンスター』の方が遥かに強いのだが、『ジズの規格外のサイズ』と『ハルスやシグレの援護なし』という状況が、セイラを震え上がらせた。
この状況を前に、セイラと命が繋がっているハルスが、
「おぉい! ふざけんな、マジか!」
それまでの優雅さ・余裕っぷりが消えて、冷や汗を流しながら、焦った顔で、
「まて、待て! タイムだ! チェンジ! 俺がやる!」
「――もちろん、出来ない」
対照的な冷静極まりない態度で首をふるアビスに、ハルスは、
「ただでとは言わない! プラスで、クジをひいてやる! なんなら、さっきの大凶二匹をそのまま使っても構わない! だから――」
「もう二度と言わない。これが最後だ。……出・来・な・い」
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