センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
5話 それぞれの闘い。
5話 それぞれの闘い。
(ここまでの敵と比べればお粗末。だが、『やり方次第じゃ逃げる事も可能だったここまで』と違い、絶対に勝つしかない相手と考えれば、かなりエグいレベル。もし、一般的な受験生ならば死ぬしかない難易度。絶妙と言えなくもねぇ)
心の中で呟いてから、
ニっと微笑んで、
(もちろん、俺は一般的な受験生ではないから、その二匹ていどが相手なら、楽に封殺できるわけだがな。ランク的にはそこそこの二匹だが、ワンダーナイトと悟鬼の対策なら、魔王城を攻める前に散々練った。ぶっちゃけ、余裕)
この二匹がラムドのエースモンスターであることは当然知っている。
つまり、この世界ではトップクラスの召喚獣。
どちらも非常に厄介なモンスター。
だが、だからこそ、当然、対処方法は熟知している。
「一応、言っておこう。この闘いに、他の者は介入できない。『そこの彼』以外、ワンダーナイトと悟鬼には触れる事はできないし、そこの彼に回復やバフをかける事も不可能」
その話を聞いたハルスはビクっとして、
「ちょっと、待て。ってことはなにか? セイラは、ニーを使えないってことか?」
「召喚獣の所有権は『このフロアに入ってきた際に誰が使用していたか』によって固定される。というわけで、現時点での、そのスライムの所有者は、現在進行形で合体中である『そこの彼女』だと認識されており、かつ、これは絶対に覆らない」
「つまり、現状、他のやつはニーを使えないが、セイラは使える、と。オールオッケーだ。何も問題はねぇ」
「さて、前置きはここまでにして、いい加減、はじめようか」
――『スタート』とアビスが宣言した直後。
ダンッッ!
と、重厚な飛翔の音が響いた。
フロア内を駆け抜けていく突風。
コンマ五秒が世界に、わずかな影だけを残す。
ザザザンッッ!!
――と高速斬撃の音がして、
「はい、俺の予選終了~」
気付いた時には、すでに、二匹は細切れになっていた。
確認の必要がない明確な死。
驚くほど呆気ない結果。
――その手際を見たアビスは、
「……ほう、やるね。文句無しで合格だ」
ボソっとそうつぶやいた。
その軽い称賛を背中でうけながら、ハルスは、
「はっ。予選ごときに、クッソ手間取らせやがって……」
ボソっとそう言いながら、優雅に剣を鞘におさめた。
その流れのまま、テクテクと歩いて、壁際にもたれかかると、腕をくみ、
「どうやら、俺は介入できないようだから、まあ、後は各自がんばれ」
ハルスは、
(……『大凶』を引いても『あのレベル(ワンダーナイト&悟鬼)』なら、ここにいる全員、余裕で切り抜けられるだろう)
心の中でつぶやきながら、アクビをした。
(今年の予選はハンパなくしんどかった……が、終わってみれば、とんでもなく収穫の多い一日で、決して悪くはなかったかな)
シグレの凄まじさが分かり、自分は急成長。
最後の試験で、ゼンの実力も分かるだろう。
と、呑気に構えているハルスの向こうで、
アビスは、シグレを指さして、
「次は君だ」
シグレは、ハルス同様、『目の前に現れた筒』を掴み、
「まあ、さっきくらいの敵やったら……ソロでも、なんとかなるぅ思うけど……」
言いつつ、クジをひくと、先ほどの同じように、シグレの手の中から棒も筒も消えた。
当然のようにクジを回収して、結果を確認したアビスが、
「おっと、5番か。先ほどとはうってかわって、ほぼ最高と言っていい大吉だ」
アビスが、そう言いながら、棒をへしおる。
すると、シグレの前に、2体のスケルトンソルジャーが現れた。
特に魔法やスキルが使える訳でもない、存在値10~15くらいのザコ敵。
「え、そのガイコツ二匹を倒したらええだけ?」
「そうだ。番号が小さいほど簡単になる。一ケタ台の番号は、どれもこんなもの。君は非常に運がいい」
コメント