センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

35話 意地

 35話 意地






 ※ 無理に例えるなら、サイコジョーカー使用中は――『これ以上ないレベルでの二日酔い中、恋人にフラれつつ会社をクビになりながら、バーベルを担いで息を止めて全力疾走している』みたいな感じ。




 そんな糞スキルが最大の切札で、かつ、エグゾギア使いは、サイコジョーカーを使わなければ『同等の神』との闘いには勝てないため、『エグゾギア‐システム』は神の界隈だと『微妙システム扱い』されている。


 ちなみに、センが一分も耐えられるというのは異常なレベルで、相当な精神力を持つ神でも、エグゾギアのサイコジョーカーに耐えられる時間は20秒前後が限界。


 精神&肉体的にアップアップ状態になるうえ、基本的にはマックスでも『20秒ちょっと』が限界の時限強化……わー、つかえな――










「さて、そろそろ、テストも終わりにするとしよう」










 言いながら、センは、優雅に剣を構えて、


「お前は、文句なく不合格だ。使い物にならない」


「……はぁ……はぁ……」


「ゴミ以下の産廃。クソの役にもたたないガラクタ。『チャンスを棒に振る事』にかけてだけ大天才。お前を試した時間は全て無駄だった。『俺から時間を奪った』というその大罪を悔いながら、この世から完全に消滅しやがれ」


「……ふ……ざけ……っ」


 フッキは、


「……ざけんじゃねぇ……」


 ヨロケながら、しかし、その場に、まっすぐ立って、




「俺は真理を体現する『最強』の聖なる死神……ガラクタじゃねぇ……」




「いや、お前はガラクタだ。この俺が、今、そう決めた。だから、お前はガラクタなんだ。俺の決断がこの世界の最終解。それが世界のルール。お前は、ガラクタ以外のナニモノでもない」




「違ぁあああああああう!!」




 暴風のような叫び。
 いまだ、先ほどの、『サイコジョーカーを使った事による地獄』の残滓に苛まれていて、
 頭の中はグチャグチャで、
 屈辱と憤怒で回路がイカれていて、


 もう、実際のところ、何が何だか分からなくて、


 ――けれど、
 ――それでも、




「俺が! 最強なんだ! だから! お前は! 俺に殺されなくちゃいけなぁあい!!」




 叫ぶ。
 喚く。


 まだ、抗う。
 センに。
 そして、




「ナメんな、ごらぁあああああああああああ! 苦痛がナンボのモンじゃぁあ! 地獄も最果ても、全部せおって、殺してやる!! 見とけや、ボケェエエエエエ! 意地でも耐えてやらぁあああ!!」


 ――自分に。


「テメェを殺すための痛みなら、いくらでもぉおおお! もう解除はしねぇ! 最後までキチンと見届けろぉお! これが、俺だぁあ! サイコッッジョォカァアアアアアア!!」




 グチャグチャになっていく。
 脳を万力で圧縮されているような地獄。
 本来ならば、目をあける事も憚られる重圧。


 指一本をうごかす事すら出来る気がしない逆境の底で、


「センエェエエエエス!!」


 フッキは飛んだ。
 右の拳を握りしめ、爆発的な加速で、時空間を駆け抜けて、
 次元を震撼させる渾身の一撃を、センに叩き込もうと踏み込んだ。


 すべては、コンマの内輪。
 秒の単位をぶっちぎる、圧縮された時間の中で、
 フッキは確かに聞いた。


 その豪速の拳が、センの顔面に届く直前の、ゼロが無数に並ぶ僅かな時間の果てで、










「500点、くれてやる」










 大きな『円』が、一瞬、フッキの『全て』になった。
 豪速の拳が届く直前、センは、剣を捨てて、フッキの懐に潜り込んだ。




 まっすぐに伸びたフッキの腕を、左手で掴み、
 グルンと前に引き倒しながら、
 余っている手でフッキの顎をグンと持ち上げる。


「だぁバッ――」


 ギュルンと空中で回転。
 コンマの中で勢いが加速していく。
 そのねじきれそうな回転中、センはフッキの腹部に、ヒジでスタンプを入れた。
 床に叩きつけられる、強く、強く。


 衝撃は、コンパクト化されて、フッキの内経だけに集中する。
 暴力を超越した流麗な一手。
 あまりにも美しすぎる、エネルギーの無双乱舞。


 当たり前のように意識を失ったフッキ。
 だが、


「まだ寝るな。ここからは追試の時間だ」


 頭部を踏みつけられ、特異なオーラを送り込まれることで、






「がはっ! はっ!」






 フッキは目覚めた。







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