センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
27話 魂の交叉
27話 魂の交叉
困惑とイラ立ちの中で、ただ必死に喚くガラクタを見ながら、センは、
(気概は悪くない……が、しかし、流石に『実』が無さ過ぎるな……)
心の中で、ボソっとそうつぶやいた。
そんなセンの視線の先で、ガラクタは、
『戦闘力が……処理速度が……演算性能が……周波数が、同調率が、足りていない……認めてやる!』
勝つために、
『だが、ならば、回転数を上げてやる! 俺の【我】を捨ててでも!』
最強で在り続けるために、
『セイバーリッチ! クロスオーバーソウルを使う! 俺の全部をくれてやるから、お前の全部をよこせ!』
そんな事を喚きだす。
――『第一段階』である『覚悟』が灯る。
[……いいだろう。このままでは、聖なる絶望に届かない。我が存在意義のため、貴様に利用されてやる]
『パーフェクトだ! ここに契約は交わされた!』
叫びの直後、ハイドラ・エグゾギアがブルブルと震え、淡い輝きに包まれる。
接続部分の脈動がはやくなっていく。
ギチギチ、ブチィ、メキメキと軋む音がして、
エグゾギアのフォルムがスリムになっていく。
『[おお、おおお……おおっ――]』
重なった呻き声が、徐々に小さくなっていき、
『[――おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ――」
輝きが、収束していく。
統一されていく。
一致していく。
魂魄の融合。
散文な不定形の概念たちが、
調律を合わせ、美しい詩へと変貌する。
――だから、
「……ふぅ……」
震えも音も光も、すべてがシンと落ちついた。
痺れも震えもない、緩やかな無音。
静寂の中で、
「完全最適化……完了。ここに、『真なる神の王』が誕生した」
湧き上がる万能感に酔いしれながら、『セイバーリッチ・フッキ』は言う。
「……センエースとやら、どうかな、俺の力は。素晴らしいだろう? これぞ、『真なる神の王』の力。聖なる絶望を生む、狂気の最果て」
セイバーリッチ・フッキは、
「さあ、聖なる死を数えろ」
言葉が終わると同時に瞬間移動で、センの背後を取る。
弧を描きながらデスサイズをふるい、
その勢いに乗せて、聖剣をまっすぐに突き刺した。
素晴らしい速度の二連撃。
流石のセンでも対処できない――
「おぉ、いい動きだな」
――なんて、そんなわけがない。
セイバーリッチ・フッキの攻撃に対し、即座に展開された『毘沙門天の剣翼』が対応する。
センの背後に突如出現した『後光のような無数の剣』が、
『センに触れさせるか、ボケェ』とでも言いたげに、
ビリビリと強烈な威圧感を放っている。
「ビシャが迎撃したって事は、つまり、お前の攻撃は、俺にダメージを与えられるほどの威力を持っているって事……やるねぇ」
※ ちなみに、アダムと闘った時は『本気』ではなかったので、ビシャには動かないように命令していた。『今』は、アダムとシューリの命を背負っているため、一応、全力ではないものの、『本気』で対応している。
「褒めてつかわす」
ピリピリしている『毘沙門天の剣翼』とは違い、
センの方は、至極のんびりと、
「まあ、セットボーナスが無効化されていなければ、『36000倍マキシマイズ・ドリームオーラ』が展開されるから、ビシャが出るまでもなかっただろうが」
などと言いつつ、右手で、『毘沙門天の剣翼』の一本を掴み、
「セイバーリッチ・フッキか……さて」
剣の切っ先をフッキに向けながら、
「お前はただのノイズかな? それとも――」
「まだ切札を隠し持っていたか。やるじゃないか、センエース」
フッキは、センの言葉を最後まで聞かず、
『ふふん』と鼻で笑いながら、
「だが、ヌルいな。それが最大の切札ならば、俺には勝てない。剣の翼では覆いきれない死角をつき、お前の核を殺す。俺にはそれが出来る」
「……どうやら、こりゃ、ただのノイズっぽいな」
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