センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
21話 センエースの予選
21話 センエースの予選
――真パラソルモンの地下迷宮『地下?階』――
そこは、かなり広いフロアだった。
何が光っているのかわからないが、ハッキリと周囲が見渡せる謎の光。
壁や床や天井も、扉と同じで、石なのか鉄なのかよくわからない素材。
それらを一瞥してから、究極超神センエースは、首をひねった。
(……なんだ? このダンジョンの床と壁……知らん素材だな……)
右足で、トトンと踏んでみた。
踏み心地だけなら、アスファルトとそう変わらない。
センは、ためしに、右手を床に向けて、圧縮させたエネルギーの槍を放出してみた。
すると、シュンッっという音がして、床は、センの光槍を吸収してしまった。
(おいおい、俺の挨拶を『いただきます』とは、いい度胸してやがるじゃねぇか。まさか、禁域の扉と同じ、深層の素材か?)
かかとで床をぐりぐりしてみたり、天井を見上げてみたりしつつ、ボソっと、
(ふざけた場所だ。……ここに入ってから、次元監視系の目が使えなくなっている。他にも……プロパティアイとフェイクオーラは使えているが、『装備セットボーナス』と『グローリー系のボーナス』が働いていない)
なぜか、センのパッシブのいくつかが、機能停止状態に陥っていた。
抗ってみたが、容易に弾かれる。
(……おそろしく濃度の高いジャマー。俺でなきゃ見逃しちゃうね)
「おっと、なんでちゅかね、ここ。いろいろウザいんでちゅけど」
「確かに……異常だ……なんだ、ここは……私達はパラソルモンの地下迷宮に送られたのではないのか……?」
(俺以外も見逃しちゃってなかった……まあ、そりゃそうだっと)
コホンと息をついてから、
(さて、間違いなく『誰か』の嫌がらせが介入しているってことは理解できた。『何がしたい』のか、いまだにハッキリとは見えてこねぇが、『お遊び』レベルじゃなく、そこそこガチで『カマしてきている』ってのは分かった……上等)
センは心の中でそうつぶやいてから、
「アダム、シューリ……俺のそばを離れるな。これは命令だ」
「はじめから、そのつもりでございます」
「……このオイちゃんに命令するとは、随分と偉くなりまちたねぇ」
「シューリ、万が一にも、お前を失いたくはない。だから、俺にお前を守らせてくれ」
「しょうがないでちゅねぇ。まあ、そこまで言うなら、守らせてあげなくもないでちゅよ」
めんどうくさいやりとりを終えてから、
センは、
「さて、それじゃあ、そろそろ、アレの対処にうつろうか」
その意識を、フロアの真ん中であぐらをかいているゴーレムへ向けた。
それは、淡い緑の光を放っている全長5メートルほどのゴーレム。
フォルムは非常に簡素。
まるで、手抜きの食玩。
(存在値が兆を超えている……か。ははっ。現世じゃあ、ありえねぇ存在値……だが、いまさら驚いたりはしねぇさ)
ここは原初の世界。
何があっても不思議じゃない。
アダムとシューリも、ゴーレムの存在には気付いていて、最初からずっとバッシバシに警戒している。
――そこで、センは、ゴーレムを睨みつけたまま、
「シューリ、アダム。いま、神の力、使えるか?」
「使えまちゅよ。どうやら、ここは、禁域と同じシステムらしいでちゅね」
「私も使えるようです。ただ、禁域と違い、完全には解放されていません。妙に視界が狭くなっています」
もちろん、今でも、一般人より遥かに広い視野を有しているが、
神の視覚系のスキルが使える割には、いろいろとありえない死角で出来ている。
「ふむ。なんの制限かしらねぇが……」
センはボソっとそうつぶやきながら、
(しかし、ずいぶんと、まあ、なってねぇフッキ鉱の使い方じゃねぇか。ほとんど、チンパンジーの積み木だな。コレの製作者はセンスが死んでいると言わざるをえねぇ)
『フッキ・ゴーレム』のもとまで、ゆっくりと近づきつつ、
「こんな使われ方をされたんじゃあ、お前(フッキ鉱)が、あまりにもかわいそう。というわけで回収してやる。感激しむせびなく許可を与えよう」
『……ん……うるせぇなぁ……』
ボソっとそう言いながら、フッキ・ゴーレムはモノアイの視点をセンに合わせた。
「おやおや、もしかして、お昼寝中だったかな? だとしたらうるさくして悪かった。謝るよ」
軽い口調でそう言ってから、
「謝罪のかわりと言っちゃあなんだが、俺の所有物にしてやるよ。ちょうど、機動魔法用の強化素材が欲しかったところなんだ。きっちりと有効活用してやる。ありがたく思え」
『ははははは』
小馬鹿にしたような笑い声をあげた。
表情などないが、それでも、感情がしっかりと伝わってくる嘲笑。
『存在値50程度のカスが、よくもまあ、そこまでほざけたものだ』
「存在値50といえば、この世界だと、かなり強い方だけどな。ニーがそのくらいだし」
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