センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
72話 洗脳
72話 洗脳
『自分は悪ではなく、汚れた世界を浄化するだけ……そんな『自分に対する言い訳』として、俺を利用していると? ゼノリカに命じた『巨悪になれ』とは、実際のところ、それだけの意味でしかないと? 勇者の襲来・撃退は、その計画のキッカケに過ぎないと?』
全てが繋がったことで、ゴートの頭に、理解の熱が生じた。
熱は、脳の深部へと高速で浸透していく。
この瞬間、ゴートはソルの言葉を完全に信用した。
すでに、あるていど信用していたが、ここで完全に、ソルのストーリーが、ゴートにとっての真実となる。
こんな状態(正体が分からず魔法で通信するだけ)が続く限り、ソルそのものを信頼する事は、この先もありえないが、しかし、ゴートは、今、確かに、『ソルの言葉は真実である』と『誤解』した。
『そういうことです。しかし、一つ、誤算がうまれた。ただのコマとして使い捨てる予定だったラムド・セノワールが、エレガを殺せるほどの力を得てしまった。これは最初で最後のチャンスです。偶然によって生まれたこの唯一最大のチャンスを活かし、エレガを討つのです。もう一度いいます。これは、あなたにしか出来ない』
(確かに、エレガを討てる条件がそろっているのは俺だけ……だな……)
『まずは、フーマーの使徒と接触して、彼らが提示する条件をのむフリをしてください。そうすれば、天国に近づけます。エレガが望むとおりフーマーの使途となり、その後、フッキによる終末までに、うまく、世界を混乱させつつ、その上で、調節した力を上層部にアピールしてください』
二重の獅子身中の虫として、
世界を混乱させつつ、
自分が、エレガの手足にも成りえるとアピールしていく。
かなり緻密で膨大な働きが要求される仕事。
『全てが上手くいけば、エレガは、ラムド・セノワールを、【最後には始末する使途】に留めておかず、【今後も利用していく手下の神】に昇格させようとするでしょう。神になれるほどの者は少ない。うまくアピールできれば、必ずスカウトしてくるはずです。そこを討つのです』
『……飼い主の喉を噛み切るトロイの木馬作戦か、なるほど』
ラムドがラムドのままであれば、『世界を終わらせる理由』で終わっていただろう。
だが、ラムドはゴートとなり、強大な力を得た。
今のゴートなら、エレガの懐に近づける。
世界の終末までに、上手くフーマー内でのし上がり、手下の神としてエレガに選ばれれば――エレガを討てる。
(エレガさえ死ねば、世界は救われる……)
単純な結論。
(エレガを殺せば、世界は終わらない)
繰り返す事で現実になる。
俺が世界を護る。
俺が世界を護る。
神帝陛下になる。
神帝陛下になる。
――ここまで、ことあるごとに、ゴートは、何度も、何度も決意を口にしてきた。
しつこいほど。
『もういい、わかった』と言いたくなるほど。
何度も、何度も、何度も。
……はたして、それは、ゴート自身の言葉だったのか。
※ ソルは、はたして、本当に『遠く』にいるのだろうか。
もしかしたら、実は、ゴートの『中』にいて――
『――ゴート様。必ず成功させましょう。あなた様なら出来ます。いや! これは、あなた様にしか出来ない!』
『……ああ……そうだな……』
いつしかゴートは、トロンとした目になっていた。
言葉を信じただけだが、それでも信用は信用。
心は緩む。
緩めば、つけこまれる。
結果、ゴートは、少し虚ろ気に、
『わかった……』
素直に、そう返事をしていた。
ゴートの首肯を受けて、ソルは、満足そうに頷いて、
心の中で、
(洗脳完了……)
ボソっとそうつぶやいた。
――君が、自分で言ったんだよ、ゴート……
『洗脳していいぞ。今ならたぶんできる』
――随分と時間がかかったけれど、17兆7777億6555億3321回も失敗したけれど……ようやく完成した。
――ゴート、君は、唯一、センエースを殺せる可能性を秘めた究極のラスボス。
――センエースは無敵の英雄。勝てるとしたらセンエースだけ。
――もちろん、ただの『マガいモノ』なら、勝てないかもしれない。
――センエースは究極の英雄。
――誰もが心に描く理想の英雄。
――『そんなヤツは、いる訳がない』と本人ですら思うほどのイカれた英雄。
――本来であれば、誰も勝てない。
――絶対最強、絶対無敵。
――それが、センエース。
この私が、『不可能だ』と諦めた理想を、現実にしてしまった真のヒーロー。
『もしかしたら』と、この私に思わせた、究極の可能性。
――だけれど、ゴート・ラムド・セノワールは、『超えられなかった絶望』と『究極のチート』を背負った、理論上完璧なセンエース。
――そんな理論上完璧なセンエースと、
――天国の『箱』で眠る『アレ』が重なれば、真に完全なる絶望が完成する。
――『ゴート』と『天国の箱』が繋がるためのレールは、エレガが務める。
――すべてシナリオ通り。
――ゴートは、問題なく完成するだろう。
――究極超神センエースでも、完成したゴートには敵わない。
――つまり、『センエースの願い』は叶わない。
――『悲しい』けれど、それが事実。
――さあ、それでは本格的に、『終わり』を始めよう。
――ラスボス・プロジェクト(センエース補完計画)、
ファイナルフェイズに移行する。
『自分は悪ではなく、汚れた世界を浄化するだけ……そんな『自分に対する言い訳』として、俺を利用していると? ゼノリカに命じた『巨悪になれ』とは、実際のところ、それだけの意味でしかないと? 勇者の襲来・撃退は、その計画のキッカケに過ぎないと?』
全てが繋がったことで、ゴートの頭に、理解の熱が生じた。
熱は、脳の深部へと高速で浸透していく。
この瞬間、ゴートはソルの言葉を完全に信用した。
すでに、あるていど信用していたが、ここで完全に、ソルのストーリーが、ゴートにとっての真実となる。
こんな状態(正体が分からず魔法で通信するだけ)が続く限り、ソルそのものを信頼する事は、この先もありえないが、しかし、ゴートは、今、確かに、『ソルの言葉は真実である』と『誤解』した。
『そういうことです。しかし、一つ、誤算がうまれた。ただのコマとして使い捨てる予定だったラムド・セノワールが、エレガを殺せるほどの力を得てしまった。これは最初で最後のチャンスです。偶然によって生まれたこの唯一最大のチャンスを活かし、エレガを討つのです。もう一度いいます。これは、あなたにしか出来ない』
(確かに、エレガを討てる条件がそろっているのは俺だけ……だな……)
『まずは、フーマーの使徒と接触して、彼らが提示する条件をのむフリをしてください。そうすれば、天国に近づけます。エレガが望むとおりフーマーの使途となり、その後、フッキによる終末までに、うまく、世界を混乱させつつ、その上で、調節した力を上層部にアピールしてください』
二重の獅子身中の虫として、
世界を混乱させつつ、
自分が、エレガの手足にも成りえるとアピールしていく。
かなり緻密で膨大な働きが要求される仕事。
『全てが上手くいけば、エレガは、ラムド・セノワールを、【最後には始末する使途】に留めておかず、【今後も利用していく手下の神】に昇格させようとするでしょう。神になれるほどの者は少ない。うまくアピールできれば、必ずスカウトしてくるはずです。そこを討つのです』
『……飼い主の喉を噛み切るトロイの木馬作戦か、なるほど』
ラムドがラムドのままであれば、『世界を終わらせる理由』で終わっていただろう。
だが、ラムドはゴートとなり、強大な力を得た。
今のゴートなら、エレガの懐に近づける。
世界の終末までに、上手くフーマー内でのし上がり、手下の神としてエレガに選ばれれば――エレガを討てる。
(エレガさえ死ねば、世界は救われる……)
単純な結論。
(エレガを殺せば、世界は終わらない)
繰り返す事で現実になる。
俺が世界を護る。
俺が世界を護る。
神帝陛下になる。
神帝陛下になる。
――ここまで、ことあるごとに、ゴートは、何度も、何度も決意を口にしてきた。
しつこいほど。
『もういい、わかった』と言いたくなるほど。
何度も、何度も、何度も。
……はたして、それは、ゴート自身の言葉だったのか。
※ ソルは、はたして、本当に『遠く』にいるのだろうか。
もしかしたら、実は、ゴートの『中』にいて――
『――ゴート様。必ず成功させましょう。あなた様なら出来ます。いや! これは、あなた様にしか出来ない!』
『……ああ……そうだな……』
いつしかゴートは、トロンとした目になっていた。
言葉を信じただけだが、それでも信用は信用。
心は緩む。
緩めば、つけこまれる。
結果、ゴートは、少し虚ろ気に、
『わかった……』
素直に、そう返事をしていた。
ゴートの首肯を受けて、ソルは、満足そうに頷いて、
心の中で、
(洗脳完了……)
ボソっとそうつぶやいた。
――君が、自分で言ったんだよ、ゴート……
『洗脳していいぞ。今ならたぶんできる』
――随分と時間がかかったけれど、17兆7777億6555億3321回も失敗したけれど……ようやく完成した。
――ゴート、君は、唯一、センエースを殺せる可能性を秘めた究極のラスボス。
――センエースは無敵の英雄。勝てるとしたらセンエースだけ。
――もちろん、ただの『マガいモノ』なら、勝てないかもしれない。
――センエースは究極の英雄。
――誰もが心に描く理想の英雄。
――『そんなヤツは、いる訳がない』と本人ですら思うほどのイカれた英雄。
――本来であれば、誰も勝てない。
――絶対最強、絶対無敵。
――それが、センエース。
この私が、『不可能だ』と諦めた理想を、現実にしてしまった真のヒーロー。
『もしかしたら』と、この私に思わせた、究極の可能性。
――だけれど、ゴート・ラムド・セノワールは、『超えられなかった絶望』と『究極のチート』を背負った、理論上完璧なセンエース。
――そんな理論上完璧なセンエースと、
――天国の『箱』で眠る『アレ』が重なれば、真に完全なる絶望が完成する。
――『ゴート』と『天国の箱』が繋がるためのレールは、エレガが務める。
――すべてシナリオ通り。
――ゴートは、問題なく完成するだろう。
――究極超神センエースでも、完成したゴートには敵わない。
――つまり、『センエースの願い』は叶わない。
――『悲しい』けれど、それが事実。
――さあ、それでは本格的に、『終わり』を始めよう。
――ラスボス・プロジェクト(センエース補完計画)、
ファイナルフェイズに移行する。
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