センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
10話 常識は二度死ぬ
10話
このまま成長していけば、すぐに、この世界では異常な存在となってしまう。
秩序を乱すイレギュラー。
(そうなれば、おそらく、ゼノリカの上が俺を制御しようと動くだろう。自由はなくなり、ただ上の命令を淡々とこなすだけの傀儡になる……それは面白くない……)
・ゼノリカの力を使わなければ自由。
・ラムドの力だけで事をなすのであれば、どう転ぼうと、それは時勢。
そんな二つの前提から導き出される結論。
――すなわち、上は、『大きすぎる力による秩序の乱れ』をおそれている。
ゴートは思う。
まあ、理解できる考え方だ。
てか、そりゃそうだろう。
なんだって、そういうもんだ。
しかし、
(俺は今、素直に、強くなりたいと思っている――が、それは、可能性を広げたいから。だが、UV1の目がある現状で『常識をぶっちぎった強さ』を得てしまえば、可能性は閉じる……どうにか、上の目をかいくぐらないと……)
どうやって、ゼノリカの目から逃れるか。
考えてみたが、今のラムドにはその手段がない。
今の実力では、全力でフェイクオーラを展開しても余裕で見破られる。
(あの『塔最下層とかいうゼノリカの本部』で、なにか召喚してみるか。ゼノリカの素材を使えば、かなりのものが召喚できる。何かしら、この状況を打開する手段が見つかるかもしれない)
仮に『何かよさげなもの』が召喚できたとしても、
『外には持ちだせない』というルールがあるため、
(それも踏まえた上での何か……)
面倒だな、
などと考えながら、しかし、
(それもまたおもしろい)
と素直にそう思えた。
なんせ、現状、軽く閉塞的ではあるものの、
それは『自身に巨大な革命を起こせる』と分かったからこそ。
これをセンエースが面白いと思わない訳がない。
(とりあえず、なんにせよ、このまま、レベル上げを続行するのはまずい……今日のところは帰るか……)
と、ゴートが踵を返そうとした、
その時、
――ガチッ――
何かがかみ合う音がした。
ヒュンと上品な熱が脳に触れた気がした。
気付いた時には、
ゴートとUV1の足下に、奇妙なジオメトリが展開されていて、
――それを見たUV1は、
「……っっ?!」
反射的に悲鳴をあげそうになるほどの悪寒を感じた。
メイン職『暗殺者』である彼女の、研ぎ澄まされた感覚器官が、
この地下迷宮内で現在発生している狂ったような異常・異変を感じ取った瞬間。
実際、称賛モノの、最速の知覚だった。
だが、それでも、一手、遅かった。
「まずい!! ラムド! はなれっ――」
叫ぶよりも先に、そのワナは発動した。
UV1とゴートを、次のステージへと運ぶ転移のワナ。
転移は一瞬だった。
――真パラソルモンの地下迷宮『地下17777765553321階』――
そこは、奥の壁にジオメトリが描かれた、学校の体育館くらいの広さの場所。
先ほどまでよりも深い光に支配された場所。
いったい何が光っているのか分からないが、とにかく、奇妙なほど明るい。
転移の衝撃が、異常に大きい。
頭がグワングワンしている。
体にかかる圧力が増した気がした。
――『何がどうなったのか』に気付くまで、
ゴートは数秒、UV1でも二秒を必要とした。
その隙間――わずか二秒のスキを、
『ソレ』は狩りにきた。
機を見るに敏。
迷いない殺意。
「うぉおお!!」
「ヘルズ覇鬼?!」
突如襲われて、ただ慌てふためくだけのゴートと、そんなゴートの首根っこをひっぱりあげながら、敵の姿を確認してデジタルに恐れおののくUV1。
「あっぶねぇ……た、たすかりました……」
UV1が引っ張ってくれなければ、『ヘルズ覇鬼が振り下ろしてきた刀が自分の首を飛ばしていた』と、ヘルズ覇鬼の残身を見て明確に理解したゴートが、心底から沸き出る感謝の言葉をのべるが、UV1は、ゴートの言葉などまったく聞いていないようで、
ワナワナしながら、
「な、なんでっ……こ、ここは存在値20~30の最下級モンスターしか沸かないエックスのダンジョンのはずじゃ……なぜ、王級鬼種のヘルズ覇鬼が……」
このまま成長していけば、すぐに、この世界では異常な存在となってしまう。
秩序を乱すイレギュラー。
(そうなれば、おそらく、ゼノリカの上が俺を制御しようと動くだろう。自由はなくなり、ただ上の命令を淡々とこなすだけの傀儡になる……それは面白くない……)
・ゼノリカの力を使わなければ自由。
・ラムドの力だけで事をなすのであれば、どう転ぼうと、それは時勢。
そんな二つの前提から導き出される結論。
――すなわち、上は、『大きすぎる力による秩序の乱れ』をおそれている。
ゴートは思う。
まあ、理解できる考え方だ。
てか、そりゃそうだろう。
なんだって、そういうもんだ。
しかし、
(俺は今、素直に、強くなりたいと思っている――が、それは、可能性を広げたいから。だが、UV1の目がある現状で『常識をぶっちぎった強さ』を得てしまえば、可能性は閉じる……どうにか、上の目をかいくぐらないと……)
どうやって、ゼノリカの目から逃れるか。
考えてみたが、今のラムドにはその手段がない。
今の実力では、全力でフェイクオーラを展開しても余裕で見破られる。
(あの『塔最下層とかいうゼノリカの本部』で、なにか召喚してみるか。ゼノリカの素材を使えば、かなりのものが召喚できる。何かしら、この状況を打開する手段が見つかるかもしれない)
仮に『何かよさげなもの』が召喚できたとしても、
『外には持ちだせない』というルールがあるため、
(それも踏まえた上での何か……)
面倒だな、
などと考えながら、しかし、
(それもまたおもしろい)
と素直にそう思えた。
なんせ、現状、軽く閉塞的ではあるものの、
それは『自身に巨大な革命を起こせる』と分かったからこそ。
これをセンエースが面白いと思わない訳がない。
(とりあえず、なんにせよ、このまま、レベル上げを続行するのはまずい……今日のところは帰るか……)
と、ゴートが踵を返そうとした、
その時、
――ガチッ――
何かがかみ合う音がした。
ヒュンと上品な熱が脳に触れた気がした。
気付いた時には、
ゴートとUV1の足下に、奇妙なジオメトリが展開されていて、
――それを見たUV1は、
「……っっ?!」
反射的に悲鳴をあげそうになるほどの悪寒を感じた。
メイン職『暗殺者』である彼女の、研ぎ澄まされた感覚器官が、
この地下迷宮内で現在発生している狂ったような異常・異変を感じ取った瞬間。
実際、称賛モノの、最速の知覚だった。
だが、それでも、一手、遅かった。
「まずい!! ラムド! はなれっ――」
叫ぶよりも先に、そのワナは発動した。
UV1とゴートを、次のステージへと運ぶ転移のワナ。
転移は一瞬だった。
――真パラソルモンの地下迷宮『地下17777765553321階』――
そこは、奥の壁にジオメトリが描かれた、学校の体育館くらいの広さの場所。
先ほどまでよりも深い光に支配された場所。
いったい何が光っているのか分からないが、とにかく、奇妙なほど明るい。
転移の衝撃が、異常に大きい。
頭がグワングワンしている。
体にかかる圧力が増した気がした。
――『何がどうなったのか』に気付くまで、
ゴートは数秒、UV1でも二秒を必要とした。
その隙間――わずか二秒のスキを、
『ソレ』は狩りにきた。
機を見るに敏。
迷いない殺意。
「うぉおお!!」
「ヘルズ覇鬼?!」
突如襲われて、ただ慌てふためくだけのゴートと、そんなゴートの首根っこをひっぱりあげながら、敵の姿を確認してデジタルに恐れおののくUV1。
「あっぶねぇ……た、たすかりました……」
UV1が引っ張ってくれなければ、『ヘルズ覇鬼が振り下ろしてきた刀が自分の首を飛ばしていた』と、ヘルズ覇鬼の残身を見て明確に理解したゴートが、心底から沸き出る感謝の言葉をのべるが、UV1は、ゴートの言葉などまったく聞いていないようで、
ワナワナしながら、
「な、なんでっ……こ、ここは存在値20~30の最下級モンスターしか沸かないエックスのダンジョンのはずじゃ……なぜ、王級鬼種のヘルズ覇鬼が……」
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