センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
21話 解き放たれるラムド
21話
UV1は、ラムドがセンエースという名の別人だと言おうか悩んだ。
ただ、そこに踏み込むと、色々と面倒臭い説明が必要になってくるのは容易に想像できた。
センエース? なぜ神の名を?
今はゴート? はぁ?
そして、もろもろ面倒な説明を並べた果てに、結果、結論は同じになるのではないかとも危惧した。
UV1自身が、イマイチ、ラムドの現状について理解できていない点が痛い。
酒神終理が投げだした事で、ブナッティ・バロールは今回のミッションにおける実質的な頂点となった。
当然、現状、吐くほど忙しい。
テーゼが幼稚だからといって裏方が楽になる訳ではない。
むしろ、幼稚なテーゼをジンテーゼに昇華させる方が、支える側の労力は増す。
その事を、UV1も理解できている。
そして、天下に属する者は、例外なく、天上の存在に本物の敬意を表している。
ゆえに、UV1の頭に、『忙しいバロールの時間を割いてまで、今のラムドが実はセンエースという名の別人であるという事実を伝えるべきなのか』という疑問がよぎった。
結果、
「い、いえ……」
言葉が濁って終わる。
この逡巡は、決して反逆でも失態でもない。
仮に、ここで伝えていたとしても、結果は何も変わらないのだから。
「では行く」
結局、そのまま話は流れて、バロールは、去ってしまった。
★
――片膝をついたまま、バロールが去った後のわずかに残っている空間のヒズミを見つめているUV1と、
対照的に、
さっさと立ちあがって、膝のホコリを払うゴート。
「んー」
とノビをしているゴートの背中に、スっと視線を向けるUV1。
一秒後、UV1も立ちあがり、
「……どういうつもりだ、ゴート。お前は、ラムドそのものではないとい自分で言っていただろう」
バロールを慮った結果、あの場では流したが、
ゴートのバロールへの対応は、そのままスルーし難い案件。
ゴート・ラムド・セノワール(センエース)は、バロールに対して、意図的かつ明らかに、己が、『本物のラムドである』と偽った。
それが偽りであるかどうかすら、実際のところ、今のUV1には分からない。
しかし、『コスモゾーンの法則へのアクセス(真実の掌握)』は出来なくとも、直感が、ゴートの『歪み』を感じ取った。
歪みというのは少し強すぎる言い方かもしれない。
よどみ。
ゆらぎ。
なんであれ、しかし、確かに感じた。
ことと次第によっては反逆罪――
「面倒臭いのが嫌いなだけですよ。いちいち、説明するのも手間でしょう」
UV1の疑念に対して、ゴートは、言葉を慎重に選び、丁寧に並べていく。
UV1に対しても言い訳はしなければいけない。
彼女からも疑念を抱かれてはいけない。
むしろ、大変なのはここから。
ゴートは気合いを入れる。
「やればよかったんですか? あなたとやった、あの『私はセンエースで、だけど、その名前はまずいから、それを改名して、今はゴートで、その名前の理由はスケープゴートで、なぜスケープゴートかというと、ラムドから召喚される直前の世界で生贄にされた者と融合した結果で、だから云々~。――で、俺は、ラムドなんですけど、ラムドではなくて、中身はそうで、見た目は少し違っていて、けれど、中身が実は少しだけ違っていて、けど、見た目は云々~~で、最終的に、具体的には、私にもよくわかりません』――って一連を、いちいち説明したほうがよかったと? ……それ、なんか、意味あります?」
UV1の中にもあった『説明したとて』という懸念に切り込まれて、UV1はグっと押し黙った。
バロールが、ゴートのことを、ああも簡単に流したのは、ラムドのオーラが、ほぼ完全にラムドのものだったから。
バロールだって、ラムドに多少の変化が起きている事は理解していた。
しかし、それは、バロールにとって、『飼育キットの中で飼っている蟻の色と形に、若干、ほんのわずかな変化が見られた』という程度のこと。
UV1は、ラムドがセンエースという名の別人だと言おうか悩んだ。
ただ、そこに踏み込むと、色々と面倒臭い説明が必要になってくるのは容易に想像できた。
センエース? なぜ神の名を?
今はゴート? はぁ?
そして、もろもろ面倒な説明を並べた果てに、結果、結論は同じになるのではないかとも危惧した。
UV1自身が、イマイチ、ラムドの現状について理解できていない点が痛い。
酒神終理が投げだした事で、ブナッティ・バロールは今回のミッションにおける実質的な頂点となった。
当然、現状、吐くほど忙しい。
テーゼが幼稚だからといって裏方が楽になる訳ではない。
むしろ、幼稚なテーゼをジンテーゼに昇華させる方が、支える側の労力は増す。
その事を、UV1も理解できている。
そして、天下に属する者は、例外なく、天上の存在に本物の敬意を表している。
ゆえに、UV1の頭に、『忙しいバロールの時間を割いてまで、今のラムドが実はセンエースという名の別人であるという事実を伝えるべきなのか』という疑問がよぎった。
結果、
「い、いえ……」
言葉が濁って終わる。
この逡巡は、決して反逆でも失態でもない。
仮に、ここで伝えていたとしても、結果は何も変わらないのだから。
「では行く」
結局、そのまま話は流れて、バロールは、去ってしまった。
★
――片膝をついたまま、バロールが去った後のわずかに残っている空間のヒズミを見つめているUV1と、
対照的に、
さっさと立ちあがって、膝のホコリを払うゴート。
「んー」
とノビをしているゴートの背中に、スっと視線を向けるUV1。
一秒後、UV1も立ちあがり、
「……どういうつもりだ、ゴート。お前は、ラムドそのものではないとい自分で言っていただろう」
バロールを慮った結果、あの場では流したが、
ゴートのバロールへの対応は、そのままスルーし難い案件。
ゴート・ラムド・セノワール(センエース)は、バロールに対して、意図的かつ明らかに、己が、『本物のラムドである』と偽った。
それが偽りであるかどうかすら、実際のところ、今のUV1には分からない。
しかし、『コスモゾーンの法則へのアクセス(真実の掌握)』は出来なくとも、直感が、ゴートの『歪み』を感じ取った。
歪みというのは少し強すぎる言い方かもしれない。
よどみ。
ゆらぎ。
なんであれ、しかし、確かに感じた。
ことと次第によっては反逆罪――
「面倒臭いのが嫌いなだけですよ。いちいち、説明するのも手間でしょう」
UV1の疑念に対して、ゴートは、言葉を慎重に選び、丁寧に並べていく。
UV1に対しても言い訳はしなければいけない。
彼女からも疑念を抱かれてはいけない。
むしろ、大変なのはここから。
ゴートは気合いを入れる。
「やればよかったんですか? あなたとやった、あの『私はセンエースで、だけど、その名前はまずいから、それを改名して、今はゴートで、その名前の理由はスケープゴートで、なぜスケープゴートかというと、ラムドから召喚される直前の世界で生贄にされた者と融合した結果で、だから云々~。――で、俺は、ラムドなんですけど、ラムドではなくて、中身はそうで、見た目は少し違っていて、けれど、中身が実は少しだけ違っていて、けど、見た目は云々~~で、最終的に、具体的には、私にもよくわかりません』――って一連を、いちいち説明したほうがよかったと? ……それ、なんか、意味あります?」
UV1の中にもあった『説明したとて』という懸念に切り込まれて、UV1はグっと押し黙った。
バロールが、ゴートのことを、ああも簡単に流したのは、ラムドのオーラが、ほぼ完全にラムドのものだったから。
バロールだって、ラムドに多少の変化が起きている事は理解していた。
しかし、それは、バロールにとって、『飼育キットの中で飼っている蟻の色と形に、若干、ほんのわずかな変化が見られた』という程度のこと。
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