センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
3話 交渉
3話
「ハルス。シグレがあんたと交わした契約内容の詳細は既に聞いている」
ゼンはそこで、シグレから聞いた内容を、復唱した。
――可能な限り、冒険者試験で手を貸す。
――ハルスも合格するつもりで受けるから、もし、『ハルスとシグレ、どちらかしか受からない』という状況になったら、その時、ハルスは自分を優先させる。
――『努力さえすれば、どちらも受かる』という状況下でなら、必ず全力でサポートする。
「完璧な契約だ。それでいい。変な感情値が入っていないから、むしろ計算しやすい」
「最初にハッキリと言っておくが、お前を助けるってのは契約の範囲外だぜ。俺は、金貨20枚分、そっちの女のサポートをするだけだ」
「そこを、少しだけ融通きかしてくれないか? おんぶや抱っこを頼むつもりはないが、俺は頭が悪いんだ」
「だろうな、顔見りゃわかるぜ。チ○カスを煮詰めたような顔をしていやがる。残念だが、『チ○カスを煮詰めたような顔をしているヤツには手を貸しちゃダメだ』ってのが、今決まったウチの家訓でな。自由を信条とする俺だが、代々伝わっていく予定の家訓だけは破れねぇ、悪いな」
絶えず切り込んでくるハルス。
明確な拒否の意思表示。
しかし、ゼンは、あえて反応せず、
ただただ真摯に、
「もし、知恵が必要な時は、軽く力を貸してほしい。魔人はすべてのステータスが優れていると聞いた。つまり、あんたは頭もいいってことだろ?」
余計な疑念を抱かせないよう、ハルスが勇者だという事は知らない体を貫いて、ゼンは言う。
「全力で助けてくれなんて言わない。ただ、頭を回さなければいけない時は、ちょっとだけ手助けをしてくれ。もちろん、謝礼は追加する」
「……俺の発言は耳に入りませんって? 実にクールなシカトじゃねぇか。殺してぇ」
イラっとした態度を前面にだしたあと、
ハルスは、ニタっと笑って、
「ちなみに、その、追加の謝礼ってのに、お前の命を選んでもいいのか? 『ちょっと頭を使う【だけ】のかわりに、死ね』って要求を、お前は受け入れんのか? どうだ? んー?」
極悪な笑顔でそう問いかけてくるハルスに、ゼンは、一切ひるまずに、
「ああ、それでもいい。だから、頼む」
そこで、シグレが、
「いやいや、ちょっ、あんた、何言うて――」
声を出そうとしたが、ゼンが、強い視線で睨みつけて、
「少し、黙っていてくれ。頼む」
「……だまるか、ぼけ、アホか」
シグレは、スっと、恐い女の顔になって、
ハルスを睨み、
「ナメたことぬかすなよ、われ。いうとくけど、ゼンを殺したら、あたしがあんたを殺すからな」
普段なら、『ぉお、恐い、恐い』と煽るところだが、
ハルスは、シグレをシカトして、
「……お前、ゼンとかいったか」
ゼンの目をジっとみつめ、
「……お前、今、ガチで言いきったな。俺には分かる。さっきの断言は、踏み倒す気まんまんの戯言でも、引っ込みがつかなくなったってわけでもねぇ」
「ああ、本気で言っている。命だろ? くれてやるよ。俺には、冒険者になった後でやらなくてはいけない事があるから、それが終わるまでは待ってもらう事になるが、望むというのなら、必ず払う」
「……気色悪ぃ野郎だ……」
言いながら、ハルスは、頭の中で、『メリット』を計算しはじめた。
(便利に使われるのは趣味じゃねぇ……だが……)
心に決めているので、『情』では決して動かないが、
(覚悟を決めて利用しあうのは、あえて忌避するようなもんじゃねぇ……)
『反発する理由』がなく、かつ、『実』があるなら、わざわざそれを足蹴にはしない。
あえて忌避する必要がない。
その思想は、ハルスが自分を律する為に引いている線引き。
ともすれば、世界や神に対する嫌悪感から、『なんでもかんでも拒否してしまいそうになるガキくささ』をどうにかするための境界線。
ゆえに、破れない。
ハルスは、思考の起伏を強引に殺して、
「謝礼か……そうだな……じゃあ、持ちつ持たれつ……冒険者試験で協力をしてもらおうか」
冷静な交渉を開始する。
自分にとっての利を純粋に計算する。
「お前もフーマーの東方出身なら、そこの女と同じで、なんらかの切り札を持ってんだろ?」
「ああ。とびっきりの切札を持っている。その気になれば、あんたを殺すこともできる」
「ハルス。シグレがあんたと交わした契約内容の詳細は既に聞いている」
ゼンはそこで、シグレから聞いた内容を、復唱した。
――可能な限り、冒険者試験で手を貸す。
――ハルスも合格するつもりで受けるから、もし、『ハルスとシグレ、どちらかしか受からない』という状況になったら、その時、ハルスは自分を優先させる。
――『努力さえすれば、どちらも受かる』という状況下でなら、必ず全力でサポートする。
「完璧な契約だ。それでいい。変な感情値が入っていないから、むしろ計算しやすい」
「最初にハッキリと言っておくが、お前を助けるってのは契約の範囲外だぜ。俺は、金貨20枚分、そっちの女のサポートをするだけだ」
「そこを、少しだけ融通きかしてくれないか? おんぶや抱っこを頼むつもりはないが、俺は頭が悪いんだ」
「だろうな、顔見りゃわかるぜ。チ○カスを煮詰めたような顔をしていやがる。残念だが、『チ○カスを煮詰めたような顔をしているヤツには手を貸しちゃダメだ』ってのが、今決まったウチの家訓でな。自由を信条とする俺だが、代々伝わっていく予定の家訓だけは破れねぇ、悪いな」
絶えず切り込んでくるハルス。
明確な拒否の意思表示。
しかし、ゼンは、あえて反応せず、
ただただ真摯に、
「もし、知恵が必要な時は、軽く力を貸してほしい。魔人はすべてのステータスが優れていると聞いた。つまり、あんたは頭もいいってことだろ?」
余計な疑念を抱かせないよう、ハルスが勇者だという事は知らない体を貫いて、ゼンは言う。
「全力で助けてくれなんて言わない。ただ、頭を回さなければいけない時は、ちょっとだけ手助けをしてくれ。もちろん、謝礼は追加する」
「……俺の発言は耳に入りませんって? 実にクールなシカトじゃねぇか。殺してぇ」
イラっとした態度を前面にだしたあと、
ハルスは、ニタっと笑って、
「ちなみに、その、追加の謝礼ってのに、お前の命を選んでもいいのか? 『ちょっと頭を使う【だけ】のかわりに、死ね』って要求を、お前は受け入れんのか? どうだ? んー?」
極悪な笑顔でそう問いかけてくるハルスに、ゼンは、一切ひるまずに、
「ああ、それでもいい。だから、頼む」
そこで、シグレが、
「いやいや、ちょっ、あんた、何言うて――」
声を出そうとしたが、ゼンが、強い視線で睨みつけて、
「少し、黙っていてくれ。頼む」
「……だまるか、ぼけ、アホか」
シグレは、スっと、恐い女の顔になって、
ハルスを睨み、
「ナメたことぬかすなよ、われ。いうとくけど、ゼンを殺したら、あたしがあんたを殺すからな」
普段なら、『ぉお、恐い、恐い』と煽るところだが、
ハルスは、シグレをシカトして、
「……お前、ゼンとかいったか」
ゼンの目をジっとみつめ、
「……お前、今、ガチで言いきったな。俺には分かる。さっきの断言は、踏み倒す気まんまんの戯言でも、引っ込みがつかなくなったってわけでもねぇ」
「ああ、本気で言っている。命だろ? くれてやるよ。俺には、冒険者になった後でやらなくてはいけない事があるから、それが終わるまでは待ってもらう事になるが、望むというのなら、必ず払う」
「……気色悪ぃ野郎だ……」
言いながら、ハルスは、頭の中で、『メリット』を計算しはじめた。
(便利に使われるのは趣味じゃねぇ……だが……)
心に決めているので、『情』では決して動かないが、
(覚悟を決めて利用しあうのは、あえて忌避するようなもんじゃねぇ……)
『反発する理由』がなく、かつ、『実』があるなら、わざわざそれを足蹴にはしない。
あえて忌避する必要がない。
その思想は、ハルスが自分を律する為に引いている線引き。
ともすれば、世界や神に対する嫌悪感から、『なんでもかんでも拒否してしまいそうになるガキくささ』をどうにかするための境界線。
ゆえに、破れない。
ハルスは、思考の起伏を強引に殺して、
「謝礼か……そうだな……じゃあ、持ちつ持たれつ……冒険者試験で協力をしてもらおうか」
冷静な交渉を開始する。
自分にとっての利を純粋に計算する。
「お前もフーマーの東方出身なら、そこの女と同じで、なんらかの切り札を持ってんだろ?」
「ああ。とびっきりの切札を持っている。その気になれば、あんたを殺すこともできる」
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