センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
28話 アダムでいる事の幸せ
28話
――ちなみに、十分後。
「全然……戻らないな……あれ?」
三体融合の制限時間はとっくに過ぎているのに、アダムの融合は終わらなかった。
圧倒的な存在値を発揮できる『究極完全体モード』は既に解除されているのだが、融合そのものは、まるで解除される気配を見せない。
それどころか、どんどん、コアオーラの統合値が強固になっている。
『最適化』されているのが傍目にも分かった。
「……どうなってんだ? えぇ? 融合しただけだよな……俺、なんもおかしいことはしてねぇぞ」
アダムたちに渡した指輪は、完全に、融合だけを目的として創造したアイテム。
それ以外のシステムは何も組み込まれていない。
「アダム、体調はどうだ? なにかおかしなところはないか?」
さすがに心配になったので、そう声をかけてみると、
「すこぶる健康です」
ツヤツヤの肌、潤っている髪。
確かに、問題はなさそうに見える。
どころか、
「というより……どんどん、体が、『今』に慣れていっているようです」
最初は、わずかにあった、少しの歪み。
ズレている、ひずんでいる、無理に重なっているという感覚。
だが、どんどん修正されていく。
もともと、こうであったかのように、
しまいには、『これこそが自分だ』という自覚すら芽生えてくる。
その流れの中で気付く。
この感覚は知っている。
――これは、
「……どうやら」
「ん、どうした?」
「私の体が、あの二人を勝手に吸収してしまったようです……」
「……ぇ、えー」
これまでの吸収のように、むりやり奪ったという感覚ではない。
――気付けば、一緒になっていた――
それがもっとも正しい表現。
「どういたしましょう……」
「ちなみに、二人の意識は残っているか?」
「完全に奪い切った訳ではないので、交信は可能です。今も、私の中で、互いに意見を交わし合っております」
「へぇ……ちなみに、何か結論的なものは出たのか?」
「サイもユンも、『どうせなら私でありたい』と言ってくれています」
「んー……ちなみに、分裂ってできそう? ちょくせつ、二人の意見も聞きたいところなんだが」
「頑張れば……少々おまちください」
そこで、アダムは気合いをいれた。
すると、ブブっと音がして、アダムの体が三つに分かれる。
もとの状態に戻った三人。
ただ、三人に分かれたとたん、三人そろって、
なんだか憔悴しきったような表情になって、
……まず、ユンドラが、青い顔で、
「この分裂している状態、酷くしんどいわ……はやく、アダムに戻りたい」
続いて、サイが、心底辛そうに、
「お母様……申し訳ありませんが、回収していただけますか……もはや、お母様のなかにいなければ……いろいろとダメなようで……」
そう言って、二人とも、まるで、『酸素をもとめて水中から顔を出すよう』に、アダムの中へと戻っていった。
「……ふぅ……はぁ……」
誰よりも消耗しているのはアダムのようで、
二人を回収してからも、
数秒、呼吸を整えるように肩を上下させていた。
その様子を見て、センは、
「あー、うん、なんかごめん」
「いえ、見苦しいところをお見せしました……」
(……よく分からんな……なんだ、この状況……)
// 本来、???の???である???と???が、???して、???の???になるはずだったのだが、???という???のせいで???//
センは少しだけ考えてみたが、情報がまったく足りていない現状では、いくら考えたところで、まともな答えなど出なさそうだったので、
(まあ、いいか)
心の中でそうつぶやいて、
「じゃあ、指輪はもういらないな」
そう言うと、
アダムは、
「え」
目を丸くして、そう声をもらした。
「いや、何でそんな顔……もうお前が二人を吸収してしまったんだから、別に、融合の指輪はいらないだろう。その指輪は、そこそこの素材を使って創ったものだから、普通に回収させてもらおうってだけの、当り前の話――」
そこで、アダムは、センからかばうように、左手の指輪を隠した。
そして、この世の終わりみたいな顔をしてみせる。
「……主上様」
言葉にこそしないが、『奪わないで』、と視線で訴えてくる。
その視線を受けて、センは、小さく溜息をつき、
(やっぱり……あの二人と合体して、若干、アダムの『我』が強くなっているようだな……それを悪影響だと思うか、そうではないと捉えるか……なんか、俺の度量しだいな気がするなぁ……なんというか、はぁ……まったく……)
心の中でそうつぶやいてから、
「……いや、うん……まあ、別に、欲しいなら……返さなくてもいいけど」
言われて、アダムは、パァアっと微笑み、
「感謝いたします」
恭しく頭をさげたのだった。
――ちなみに、十分後。
「全然……戻らないな……あれ?」
三体融合の制限時間はとっくに過ぎているのに、アダムの融合は終わらなかった。
圧倒的な存在値を発揮できる『究極完全体モード』は既に解除されているのだが、融合そのものは、まるで解除される気配を見せない。
それどころか、どんどん、コアオーラの統合値が強固になっている。
『最適化』されているのが傍目にも分かった。
「……どうなってんだ? えぇ? 融合しただけだよな……俺、なんもおかしいことはしてねぇぞ」
アダムたちに渡した指輪は、完全に、融合だけを目的として創造したアイテム。
それ以外のシステムは何も組み込まれていない。
「アダム、体調はどうだ? なにかおかしなところはないか?」
さすがに心配になったので、そう声をかけてみると、
「すこぶる健康です」
ツヤツヤの肌、潤っている髪。
確かに、問題はなさそうに見える。
どころか、
「というより……どんどん、体が、『今』に慣れていっているようです」
最初は、わずかにあった、少しの歪み。
ズレている、ひずんでいる、無理に重なっているという感覚。
だが、どんどん修正されていく。
もともと、こうであったかのように、
しまいには、『これこそが自分だ』という自覚すら芽生えてくる。
その流れの中で気付く。
この感覚は知っている。
――これは、
「……どうやら」
「ん、どうした?」
「私の体が、あの二人を勝手に吸収してしまったようです……」
「……ぇ、えー」
これまでの吸収のように、むりやり奪ったという感覚ではない。
――気付けば、一緒になっていた――
それがもっとも正しい表現。
「どういたしましょう……」
「ちなみに、二人の意識は残っているか?」
「完全に奪い切った訳ではないので、交信は可能です。今も、私の中で、互いに意見を交わし合っております」
「へぇ……ちなみに、何か結論的なものは出たのか?」
「サイもユンも、『どうせなら私でありたい』と言ってくれています」
「んー……ちなみに、分裂ってできそう? ちょくせつ、二人の意見も聞きたいところなんだが」
「頑張れば……少々おまちください」
そこで、アダムは気合いをいれた。
すると、ブブっと音がして、アダムの体が三つに分かれる。
もとの状態に戻った三人。
ただ、三人に分かれたとたん、三人そろって、
なんだか憔悴しきったような表情になって、
……まず、ユンドラが、青い顔で、
「この分裂している状態、酷くしんどいわ……はやく、アダムに戻りたい」
続いて、サイが、心底辛そうに、
「お母様……申し訳ありませんが、回収していただけますか……もはや、お母様のなかにいなければ……いろいろとダメなようで……」
そう言って、二人とも、まるで、『酸素をもとめて水中から顔を出すよう』に、アダムの中へと戻っていった。
「……ふぅ……はぁ……」
誰よりも消耗しているのはアダムのようで、
二人を回収してからも、
数秒、呼吸を整えるように肩を上下させていた。
その様子を見て、センは、
「あー、うん、なんかごめん」
「いえ、見苦しいところをお見せしました……」
(……よく分からんな……なんだ、この状況……)
// 本来、???の???である???と???が、???して、???の???になるはずだったのだが、???という???のせいで???//
センは少しだけ考えてみたが、情報がまったく足りていない現状では、いくら考えたところで、まともな答えなど出なさそうだったので、
(まあ、いいか)
心の中でそうつぶやいて、
「じゃあ、指輪はもういらないな」
そう言うと、
アダムは、
「え」
目を丸くして、そう声をもらした。
「いや、何でそんな顔……もうお前が二人を吸収してしまったんだから、別に、融合の指輪はいらないだろう。その指輪は、そこそこの素材を使って創ったものだから、普通に回収させてもらおうってだけの、当り前の話――」
そこで、アダムは、センからかばうように、左手の指輪を隠した。
そして、この世の終わりみたいな顔をしてみせる。
「……主上様」
言葉にこそしないが、『奪わないで』、と視線で訴えてくる。
その視線を受けて、センは、小さく溜息をつき、
(やっぱり……あの二人と合体して、若干、アダムの『我』が強くなっているようだな……それを悪影響だと思うか、そうではないと捉えるか……なんか、俺の度量しだいな気がするなぁ……なんというか、はぁ……まったく……)
心の中でそうつぶやいてから、
「……いや、うん……まあ、別に、欲しいなら……返さなくてもいいけど」
言われて、アダムは、パァアっと微笑み、
「感謝いたします」
恭しく頭をさげたのだった。
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