センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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18話 アダム「ごめんね~、負ける気しな~い」

 18話




二言にごんはありませんね?」


「いいから、とっととかかってこい」




「――では」




 アダムが消えたと認識――と同時に、センは、吹っ飛んだ。
 肉の軋み、その知覚が、かなり後から追いかけてくる。
 電気の音が、骨を砕く音を追い越す。




 ――凶悪な一撃。




 重たさを感じる余裕がないほどの重厚感。
 痛みの先――


(見えなっ――)


 止まらない連撃。
 アダムの動きは、どこまでも華麗でみやび


 流麗な点が、交差する線の中で落雷の煉獄を描く。
 衝撃波は吹雪になった。




 誰の目にもとまらない。
 アダムは、はやすぎる。




「がはっ!!」




 続けての一撃も、見えなかった。


 ただ、吹っ飛ばされた。
 どの方向に飛ばされたのかすらわからない。


 神経が錯綜。
 R‐R間隔がどんどん短くなる。






 ――もし、俺に一撃でもいれる事ができたら――






 ……あっさりと二撃もいれられた。
 対処どころか、視界にとらえることすらできない攻撃を二発。


「くっ」


 吹っ飛ばされている途中――空中で、どうにか停止して、自分の状況を確かめる。
 ようやく気付く。


 後頭部と、脇腹に損傷。
 ダメージでいうと、5%ってところ。
 ――マジかっ?!
 ホンモノの驚愕。


(どうやら、ガチで、アダムの存在値は、異常な領域にあるらしい……素の究極超人化だと、ステ差がありすぎて、何もできねぇ……アダムの速度を認識するには、最低でも究極超神化5は必要……)










「主上様……」










 そこで、アダムが、蕩けたような顔で、


「約束……絶対に守っていただきますよ」


 そんな事を言ってくる。
 情欲にまみれた表情で、かるく小指を噛んでいた。
 欲望の化身となり、濡れた目でセンをナメるように見る。




「私の神、私だけの神……私を自由にしてくださった、最強の神……その瞳も、頬も、唇も……すべて……私の……」




 センは、


(自由にしてくださった? ……ああ、サイから奪い返した時のことか)


 心の中で、一度、そうつぶやいてから、






「まだ、俺は、お前のものじゃねぇ。その所有物を見るような目は不快だぜ」






 言いながら、ググっと丹田に力をこめて、


「一撃……だけじゃなく、二撃もくらっちまったな。しゃーねぇ。俺が提示した約束の方は果たしてやるよ」


 輝く龍のようなオーラが、センを包み込んだ。
 死に餓えた鬼のように荒々しい瞳がギラリと光る。


 グゴゴゴっと、地獄を揺らして、気血を充実させる。


「……しかし、お前と交わした不愉快な約束が果たされることはねぇ……」


 センはそう吐き捨てた。


「今から、きちんと、『現実』を教えてやるから、身の程をしりやがれ」


 語気が強くなる。
 眼球に血が走る。


 センの言葉を聞いて、


「……」


 アダムは、わずかにシュンとして見せて、
















「……少し、悲しいです」


 ボソっと、


「私ではダメでしょうか?」
















 その弱気な声を聞いて、センは、ハッキリと、






「前にも言っただろ。俺は、お前に惚れている」






 言われて、アダムの顔がボっと赤くなる。
 ドクンと、体の芯が熱く震える。
 脳味噌が、幸福という痺れで満たされていく。


 視界が歪むほどの幸福。
 頭がおかしくなりそうなほどの快楽。




 悦だけが、魂を包み込んで離さない。
 永遠にして飾りたい時間。




「――だが、俺にもプライドはある……ていうかなぁ……」


 センは、
 スゥウっと息を吸い、


「俺のプライドは、かなりエグい方なんだよ……流石に、シューリには負けるがなぁ」


 センの発言が、アダムの魂を現実に引き戻した。
 聞き逃せない名前――


(シューリ? ……まさか、酒神の事?)


 脳がグルグルとまわった。
 甘い熱が冷たい電撃に変化する。
 全身を豪速で暴れ刺してくる焦燥。
 気付けば、魂が炎上して、轟々と――


(……なぜ、あの程度のカスのことを、それほどまで親しげに……)


 嫉妬の炎を燃やしているアダムを睨みつけたまま、
 センは、


「流石に練武時間が短すぎて、『究極超神化6』をノータイムで使えるまでには至らなかったが……究極超神化5までなら、なんとか、ほぼノータイムでも発動できるようになった……これなら、最前線のタイマンでも使える」


 スゥウっと息を吸い、




「……究極超神化5」




 流石に気合いを入れるだけでは使えないが、五秒もあれば変身できる。
 聖なる覚醒。
 それは、最果てを示す道標。
 センのコアオーラが、解放されて、グワァアっと膨れ上がった。
 栄光の銀河、神の威圧感。
 洪水のようなエネルギー。
 狂気的とも言える煌めき。


 それを見て、アダムは、


「ああ、美しい。流石でございます」


 ほめたたえる。
 そこには嘘はない。
 アダムはセンを愛している。
 いつだって、真剣に、センに憧憬の眼差しを向けている。
 歪んですら見える暴力的な深き愛。
 今も、膨れ上がり続けている熱情。
 センエースという神の輝きに夢中。
 留まりかたを忘れた、敬意と恋慕。
 これまではもちろん、
 これからだってずっと。


 ――が、








「けれど、負ける気がいたしません……もうしわけございません、主上様」










 ニタっと笑いながら、少しだけ頭をさげた。
 慇懃いんぎんかしこまりて、しかし、わらう。


















 センのボルテージが、また一段階上がった。
 ……アップは終わった。









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