センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
32話 ゼノリカの御荷物
32話
「まあいい……」
アダムは、多くの想いを飲み込んで、そうつぶやいた。
まったく、いいわけないのだが、
しかし、
「で、何をしに来た?」
飲み込んで、おさめた。
酒神の態度は、とても容認できるものではない。
しかし、追及する訳にはいかない理由がある。
いと高き場所に御座す偉大なる御方が、それを望んでいないから。
「こたびの任務は、『繊細な調整』が必要不可欠。命令系統の乱れは許されない。つまり、『常に命令系統の枠外』にいる貴様には、最初から最後まで、用など一つとして無いのだが?」
酒神には、誰も命令できない。
言う事を聞かないという訳ではない。
三至天帝が命令すれば、「はいはい」と、一応、言う事は聞く。
ただ、まるで『猿の手』のように、『何をするか分からない』から、組織の歯車としては使えない。
猿の手のように、あえて『悪意』を滲ませる嫌がらせなどはしないが、
『いや、こういう事じゃねぇよ』と言いたくなる過程を、
それも『必ず』ではないが、稀によくある頻度で起こす問題児。
尋常じゃ無くマイペース。
奔放で、気ままなトラブルメーカー。
いつだって予測不可能。
多岐にわたり面倒くさすぎて、誰も使いたがらない、ゼノリカの御荷物。
礼儀知らずで無知蒙昧で、おまけに重度の健忘症。
人の話は聞かず、言動は常にラリっているとしか思えない。
ゼノリカ内で、
配下から『勘弁してくれよ、マジで』とウザがられているランキング堂々第一位。
上司から『面倒臭ぇなぁ、あいつ』と溜息をつかれているランキング堂々第一位。
同僚から『本当にいい加減にしなさいっ』と怒られているランキング堂々第一位。
それが、五生命王の一人、
酒神終理。
「実はお願いがあるんでちゅよ。今回のミッション、『総監督』をオイちゃんに任せてもらいたいんでちゅ」
「……は? 何を――」
「え、オッケー? やった、嬉しいでちゅ!」
「私は何も言って――」
「総監督の任務、確かに承りまちた。全身全霊で取り組む所存でちゅ。というわけで、これからは、オイちゃんが、九華の坊っちゃん・嬢ちゃんたちを指揮していくんで、今後、何か『下』に命令したい事があったら、その時は、まずオイちゃんに話を通してくだちゃい。それじゃあ、ばーいちゃ」
言って、酒神終理はタンっと円卓から立ちあがって、皆に背を向けて、颯爽と、主の間から出ていった。
その背中を睨みつけながら、アダムが、
「アレは、いつもああなのか?」
尋ねると、ミシャが、
「ええ。アレはいつもああよ。どう? 引くでしょ?」
「ああ、ドン引きだ。主上様から、簡単に話は聞いていたが……まさか、あれほどイカれているとは思わなかった……」
アダムは、頭を抱えて、
(なぜだ……主上様は、なぜ、あれを……)
悩んでいると、
そこで、銃崎心理が、
「勘違いされたくありませんので、一応、言っておきます。五聖命王に属する全てがああという訳ではございません。私をふくめ、五聖命王に属する者は、みな、一癖・二癖あるのは事実ですが、アレほどではありません。アレは全てにおいて異常なのです」
「勘違いなどしない。あんなヤツが他に何人もいてたまるか」
そこで、ミシャが、アダムに、
「どうやら、あの子は、統括をやりたがっているようだけれど……やらせるの? 一応、あの子も五聖命王だから、『誰に下を任せるか』という『その選択肢の中にいる一人』だけれど……アレにやらせると、色々としっちゃかめっちゃかになる可能性が高いわよ?」
そう言われて、アダムは、少し渋い顔をして、
キュっと両目を閉じ、ボソっと
「……やらせるしかない」
「? それはどういう意味?」
「主上様は仰った。もし、今回の件で、酒神終理が何かを望んだら、すべてを是とせよ、と」
「まあいい……」
アダムは、多くの想いを飲み込んで、そうつぶやいた。
まったく、いいわけないのだが、
しかし、
「で、何をしに来た?」
飲み込んで、おさめた。
酒神の態度は、とても容認できるものではない。
しかし、追及する訳にはいかない理由がある。
いと高き場所に御座す偉大なる御方が、それを望んでいないから。
「こたびの任務は、『繊細な調整』が必要不可欠。命令系統の乱れは許されない。つまり、『常に命令系統の枠外』にいる貴様には、最初から最後まで、用など一つとして無いのだが?」
酒神には、誰も命令できない。
言う事を聞かないという訳ではない。
三至天帝が命令すれば、「はいはい」と、一応、言う事は聞く。
ただ、まるで『猿の手』のように、『何をするか分からない』から、組織の歯車としては使えない。
猿の手のように、あえて『悪意』を滲ませる嫌がらせなどはしないが、
『いや、こういう事じゃねぇよ』と言いたくなる過程を、
それも『必ず』ではないが、稀によくある頻度で起こす問題児。
尋常じゃ無くマイペース。
奔放で、気ままなトラブルメーカー。
いつだって予測不可能。
多岐にわたり面倒くさすぎて、誰も使いたがらない、ゼノリカの御荷物。
礼儀知らずで無知蒙昧で、おまけに重度の健忘症。
人の話は聞かず、言動は常にラリっているとしか思えない。
ゼノリカ内で、
配下から『勘弁してくれよ、マジで』とウザがられているランキング堂々第一位。
上司から『面倒臭ぇなぁ、あいつ』と溜息をつかれているランキング堂々第一位。
同僚から『本当にいい加減にしなさいっ』と怒られているランキング堂々第一位。
それが、五生命王の一人、
酒神終理。
「実はお願いがあるんでちゅよ。今回のミッション、『総監督』をオイちゃんに任せてもらいたいんでちゅ」
「……は? 何を――」
「え、オッケー? やった、嬉しいでちゅ!」
「私は何も言って――」
「総監督の任務、確かに承りまちた。全身全霊で取り組む所存でちゅ。というわけで、これからは、オイちゃんが、九華の坊っちゃん・嬢ちゃんたちを指揮していくんで、今後、何か『下』に命令したい事があったら、その時は、まずオイちゃんに話を通してくだちゃい。それじゃあ、ばーいちゃ」
言って、酒神終理はタンっと円卓から立ちあがって、皆に背を向けて、颯爽と、主の間から出ていった。
その背中を睨みつけながら、アダムが、
「アレは、いつもああなのか?」
尋ねると、ミシャが、
「ええ。アレはいつもああよ。どう? 引くでしょ?」
「ああ、ドン引きだ。主上様から、簡単に話は聞いていたが……まさか、あれほどイカれているとは思わなかった……」
アダムは、頭を抱えて、
(なぜだ……主上様は、なぜ、あれを……)
悩んでいると、
そこで、銃崎心理が、
「勘違いされたくありませんので、一応、言っておきます。五聖命王に属する全てがああという訳ではございません。私をふくめ、五聖命王に属する者は、みな、一癖・二癖あるのは事実ですが、アレほどではありません。アレは全てにおいて異常なのです」
「勘違いなどしない。あんなヤツが他に何人もいてたまるか」
そこで、ミシャが、アダムに、
「どうやら、あの子は、統括をやりたがっているようだけれど……やらせるの? 一応、あの子も五聖命王だから、『誰に下を任せるか』という『その選択肢の中にいる一人』だけれど……アレにやらせると、色々としっちゃかめっちゃかになる可能性が高いわよ?」
そう言われて、アダムは、少し渋い顔をして、
キュっと両目を閉じ、ボソっと
「……やらせるしかない」
「? それはどういう意味?」
「主上様は仰った。もし、今回の件で、酒神終理が何かを望んだら、すべてを是とせよ、と」
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