センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
55話 決着
55話
その光景を見て、ザーノは、青い顔をしていた。
(まてまて……どういうことだ、その凶悪な力……たかが、雷術のランク1で、どうして、そこまでの力を……雷術のランク1なんて、せいぜい、武器の威力が2割増しになる程度、もしくは、低位の雷属性が付与されるくらい……警戒するとしたら、麻痺の状態異常くらい、それが常識だろ……どうなっていやがる……)
こめかみに浮かんだ冷や汗が、顎まで流れて、地に落ちた。
(……ま、まさか、異常なのは生命力だけではなく、魔力も? も、もし、この異常な生命力に匹敵するほどの魔力を保有していて、かつ、その全てを注ぎ込んだのだとしたら……や、やばい、やばい、やばいぃい――)
「さあ、行こうか。……せめて、100くらいは減ってくれよ」
言いながら、ゼンは全力ダッシュで、ザーノとの距離をつめ――ようとしたが、ザーノは、
「ぬぉお!」
近づかれまいと、距離をとった。
ダッシュの速度が違いすぎて、追いつくことはできない。
だが、ここは狭い空間。
逃げるにも限界はある。
「くっ」
鬼ごっこが得意な訳ではないが、脚力にどれだけ差があろうと、教室サイズの小さな空間内で、いつまでも逃げられる訳がない。
そして、アホみたいに、グルグル追いかけまわす訳じゃなく、真ん中に陣取って、逃走スペースを削っていけば、
「どうした? もっと逃げろよ」
相手に全力の逃走を強制させる事ができる。
最小限の動きで、敵のスタミナを殺せる。
「俺の目じゃ『見えない』が、お前にだってスタミナゲージはあるはずだ。勝手に減らしてくれるのは大歓迎」
「……く」
何度か角に追い詰めた直後、息を切らしながら、ザーノは、
「くそがぁ!」
捨て身で殴りかかってきた。
素晴らしい踏み込み。
最短距離で届く拳。
高速の一撃。
ゼンの顔面に思いっきり入った。
ガツンと脳に響く骨の音。
痛い。
とうぜん。
鼻がジンジンしている。
一瞬、視界もグラついた。
――しかし、我慢できないほどじゃない。
だから!!
「おらぁあああああ!!」
暴力的な電気を纏っているこんぼうを全力で叩きつけると、
「がががががががががががが!!」
悲鳴と共に、バチバチバチィっと切り裂くような音が響いた。
これがマンガなら、ザーノのスケルトンが見えていただろう。
割れたような、断末魔。
白目をむき出しにして、死に包まれる。
一秒後、
真黒になったザーノが、
「…………っ……」
膝から崩れ落ちた。
ジンとした強いにおいが辺りにたちこめる。
そして、同時に消える、特殊な空間。
気がつけば、ゼンは、元の森に戻っていた。
(え、うそ? ぇ……マジ? 一撃で殺したの? ウソだろ? だって、こいつのHP、まだ500以上残っていたのに……ぇえ、マジか、たかがランク1の魔法なのに……いや、ほんと、なんでだ……)
ゼンは気付いていないが、先ほどの一撃は、1000以上あった魔力を全て注ぎ込んでの一撃だった。
MP1000は、存在値50クラスの魔力量。
たとえ、魔法攻撃力が低くとも、それだけの魔力が込められた一撃の威力は絶大。
そんな一手を受けて、『魔法防御が低いタイプ』の『存在値25前後』が耐えられるはずなどない。
とはいえ、ギリギリ。
計算式でいえば、( 【HP:505】-【ダメージ:510】 )くらい。
――だが、そんな事などまったく理解できていないゼンは、
勝ったというのに、顔中の至るところに大量の冷や汗を溢れさせて、
(こりゃ、魔法についての勉強が急務だな……)
確かに勝った。
しかし、こういう、何が何だか分からない、地に足がついていない勝利は、喜びよりも、不安を感じさせる。
(自分に何ができるかはもちろん、相手に何ができるかを知っておかないと、色々やべぇ。この先、今回のこういう結果が、逆転して俺の身に振りかかる可能性は充分にありうる。目の前の敵を、自分よりも弱者だと侮った結果、よく分からない逆転の一手を撃たれて即死。……ありえすぎて震える。……とかく、無知はやべぇ)
ふぅうっと溜息をつきつつ、今の己が『何も知らな過ぎている』という状況に、正式な恐怖を感じてから、
(おっと……まだ、何も終わっちゃいねぇ。気を引き締めなおせ。シグレから逃げてきた連中が、まだその辺にいるかもしれねぇ。このホブだけが運よく逃げられたという可能性ももちろんあるが、そうじゃない可能性も余裕である……)
周囲を警戒しつつ、
「つぅか、逃がしてんじゃねぇよ、バカ女が。テンプレよろしく、盗賊団を襲撃するなら、ちゃんとキッチリ全滅させろっつぅの。会ったこともない、顔も知らない女だけど……嫌いだわぁ……そういう、色々な配慮が足りていない女……ムリだわぁ」
ことここに至るまでの間に何があったか、具体的な事はもちろん分からないが、ザーノの発言と、頭の中にある情報を組み合わせれば、おおよそを推測するくらいはできる。
「賭けに勝ったかなんか知らんけど、結構な召喚系のチートをもらったんだろ? ケルベロスとか、呪いの兵士とか、超性能スライムとか……そんだけのチートもってて、この程度の連中を取り逃がしてんじゃねぇ、無能が」
ブツブツとそんな事を言いながら、ゼンは、
(誰もいない……よな……足音も、何もしない……)
キョロキョロと『辺りの隠れやすそうなポイント』を睨みつけつつ、スマホを取り出して、
(気配は感じない。俺の察知能力が低いだけかもしれないけど、そんだけ完璧に気配を消せる相手なら、注意をしていたところで無駄だから、結果は同じ。……『疑心暗鬼』や『思考の堂々巡り』に陥っていても仕方ねぇ……周囲に敵はいないと仮定して、今のうちにステ確認をしておこう……相当な苦戦だったし……まあまあ上がったんじゃないかな)
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《レベル》 【3】
《GODレベル》 【579】
[生命力バリア] 【10662/10662】
[MP] 【3599/3599】
[スタミナ] 【2/35】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【3】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【2】
「敏捷性」 【2】
「耐性値」 【3】
「バリア再生力」 【2(+2000)】
「魔力回復力」 【3(+2000)】
「スタミナ回復速度」 【3】
「反応速度」 【2】
「隠しパラメータ合計値」【239】
「獲得経験値」 【17】
「ネクストEXP」 【1】
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その光景を見て、ザーノは、青い顔をしていた。
(まてまて……どういうことだ、その凶悪な力……たかが、雷術のランク1で、どうして、そこまでの力を……雷術のランク1なんて、せいぜい、武器の威力が2割増しになる程度、もしくは、低位の雷属性が付与されるくらい……警戒するとしたら、麻痺の状態異常くらい、それが常識だろ……どうなっていやがる……)
こめかみに浮かんだ冷や汗が、顎まで流れて、地に落ちた。
(……ま、まさか、異常なのは生命力だけではなく、魔力も? も、もし、この異常な生命力に匹敵するほどの魔力を保有していて、かつ、その全てを注ぎ込んだのだとしたら……や、やばい、やばい、やばいぃい――)
「さあ、行こうか。……せめて、100くらいは減ってくれよ」
言いながら、ゼンは全力ダッシュで、ザーノとの距離をつめ――ようとしたが、ザーノは、
「ぬぉお!」
近づかれまいと、距離をとった。
ダッシュの速度が違いすぎて、追いつくことはできない。
だが、ここは狭い空間。
逃げるにも限界はある。
「くっ」
鬼ごっこが得意な訳ではないが、脚力にどれだけ差があろうと、教室サイズの小さな空間内で、いつまでも逃げられる訳がない。
そして、アホみたいに、グルグル追いかけまわす訳じゃなく、真ん中に陣取って、逃走スペースを削っていけば、
「どうした? もっと逃げろよ」
相手に全力の逃走を強制させる事ができる。
最小限の動きで、敵のスタミナを殺せる。
「俺の目じゃ『見えない』が、お前にだってスタミナゲージはあるはずだ。勝手に減らしてくれるのは大歓迎」
「……く」
何度か角に追い詰めた直後、息を切らしながら、ザーノは、
「くそがぁ!」
捨て身で殴りかかってきた。
素晴らしい踏み込み。
最短距離で届く拳。
高速の一撃。
ゼンの顔面に思いっきり入った。
ガツンと脳に響く骨の音。
痛い。
とうぜん。
鼻がジンジンしている。
一瞬、視界もグラついた。
――しかし、我慢できないほどじゃない。
だから!!
「おらぁあああああ!!」
暴力的な電気を纏っているこんぼうを全力で叩きつけると、
「がががががががががががが!!」
悲鳴と共に、バチバチバチィっと切り裂くような音が響いた。
これがマンガなら、ザーノのスケルトンが見えていただろう。
割れたような、断末魔。
白目をむき出しにして、死に包まれる。
一秒後、
真黒になったザーノが、
「…………っ……」
膝から崩れ落ちた。
ジンとした強いにおいが辺りにたちこめる。
そして、同時に消える、特殊な空間。
気がつけば、ゼンは、元の森に戻っていた。
(え、うそ? ぇ……マジ? 一撃で殺したの? ウソだろ? だって、こいつのHP、まだ500以上残っていたのに……ぇえ、マジか、たかがランク1の魔法なのに……いや、ほんと、なんでだ……)
ゼンは気付いていないが、先ほどの一撃は、1000以上あった魔力を全て注ぎ込んでの一撃だった。
MP1000は、存在値50クラスの魔力量。
たとえ、魔法攻撃力が低くとも、それだけの魔力が込められた一撃の威力は絶大。
そんな一手を受けて、『魔法防御が低いタイプ』の『存在値25前後』が耐えられるはずなどない。
とはいえ、ギリギリ。
計算式でいえば、( 【HP:505】-【ダメージ:510】 )くらい。
――だが、そんな事などまったく理解できていないゼンは、
勝ったというのに、顔中の至るところに大量の冷や汗を溢れさせて、
(こりゃ、魔法についての勉強が急務だな……)
確かに勝った。
しかし、こういう、何が何だか分からない、地に足がついていない勝利は、喜びよりも、不安を感じさせる。
(自分に何ができるかはもちろん、相手に何ができるかを知っておかないと、色々やべぇ。この先、今回のこういう結果が、逆転して俺の身に振りかかる可能性は充分にありうる。目の前の敵を、自分よりも弱者だと侮った結果、よく分からない逆転の一手を撃たれて即死。……ありえすぎて震える。……とかく、無知はやべぇ)
ふぅうっと溜息をつきつつ、今の己が『何も知らな過ぎている』という状況に、正式な恐怖を感じてから、
(おっと……まだ、何も終わっちゃいねぇ。気を引き締めなおせ。シグレから逃げてきた連中が、まだその辺にいるかもしれねぇ。このホブだけが運よく逃げられたという可能性ももちろんあるが、そうじゃない可能性も余裕である……)
周囲を警戒しつつ、
「つぅか、逃がしてんじゃねぇよ、バカ女が。テンプレよろしく、盗賊団を襲撃するなら、ちゃんとキッチリ全滅させろっつぅの。会ったこともない、顔も知らない女だけど……嫌いだわぁ……そういう、色々な配慮が足りていない女……ムリだわぁ」
ことここに至るまでの間に何があったか、具体的な事はもちろん分からないが、ザーノの発言と、頭の中にある情報を組み合わせれば、おおよそを推測するくらいはできる。
「賭けに勝ったかなんか知らんけど、結構な召喚系のチートをもらったんだろ? ケルベロスとか、呪いの兵士とか、超性能スライムとか……そんだけのチートもってて、この程度の連中を取り逃がしてんじゃねぇ、無能が」
ブツブツとそんな事を言いながら、ゼンは、
(誰もいない……よな……足音も、何もしない……)
キョロキョロと『辺りの隠れやすそうなポイント』を睨みつけつつ、スマホを取り出して、
(気配は感じない。俺の察知能力が低いだけかもしれないけど、そんだけ完璧に気配を消せる相手なら、注意をしていたところで無駄だから、結果は同じ。……『疑心暗鬼』や『思考の堂々巡り』に陥っていても仕方ねぇ……周囲に敵はいないと仮定して、今のうちにステ確認をしておこう……相当な苦戦だったし……まあまあ上がったんじゃないかな)
000000000000000000000000000000000000000
《レベル》 【3】
《GODレベル》 【579】
[生命力バリア] 【10662/10662】
[MP] 【3599/3599】
[スタミナ] 【2/35】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【3】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【2】
「敏捷性」 【2】
「耐性値」 【3】
「バリア再生力」 【2(+2000)】
「魔力回復力」 【3(+2000)】
「スタミナ回復速度」 【3】
「反応速度」 【2】
「隠しパラメータ合計値」【239】
「獲得経験値」 【17】
「ネクストEXP」 【1】
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