センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
23話 たとえば、こんな『復讐劇』
23話
そのサイフに関するエピソードは決して美しいものではない。
どちらかといえば、痛々しい大恥。
しかし、センにとっては大事な思い出。
そのサイフを見てセンが思い出すのは、はじめて母親に全力で殴られた記憶。
『人の財布から金を抜いても得られるものは何もない。この財布はあんたにやる。肌身離さず持ち歩いて、今日、わたしに言われた事を定期的に思いだしなさい』
愛情とは、相手を甘やかす事ではなく、相手の全てを真剣に考える事。
センの母親は、センを全力で愛してくれた。
だから、叱る時も全力だった。
センを殴った母の拳は、中節骨が折れて、少し腫れていた。
決して言葉にはしなかったが、しばらくは痛そうにしていた。
だから、本当は知っていたんだ。
人を殴る痛みくらい――
「……『自分が周りに与えている恐怖の度合いを確認するため』かなんか知らんけど……お前が踏みつけたものは、そういうものだ」
「心から謝罪します。本当に申し訳――」
「蝉原、お前さぁ……」
そこで、センは、いつもの冷めた目で、
「この場の切り抜け方しか考えてないだろ」
「……」
「別にいいんだ。仕方ないよ。信念に従って生きているヤツに『反省』を促すほど、俺は狂っていない。いるさ、この世には……結構な数で、何を言われたって絶対に改心なんてしないヤツが。どんな目にあっても、必ず繰り返すやつ……お前はソレだ。ここを無事に切りぬけられたら、また……まあ数日は、『警戒のため』に大人しくしているかもしれないけれど、また、きっと……いや、必ず、同じことを始める……」
そこで、蝉原は、グっと奥歯を噛んだ。
そして、
「センくん、おれは本当に、『君には』、謝罪をしたいと思っている。『君には』、忠誠を誓おう。今後、おれは、『君にとっては、とても便利な蝉原勇吾』で在り続けると誓う……それでいいんじゃないか、センくん」
「蝉原」
そこで、センは、
「時計仕掛けのオレンジって知ってるか?」
蝉原の顔が一気に青くなった。
センの問い、その意味が理解できたらしい。
「センくん……それは――」
「死ぬよりマシだろ」
「……」
「神様」
センは言う。
「そこに転がっているバカ女と蝉原に、『呪い』をかけてほしいんですけど、できますか?」
「できる。内容は?」
「死ぬまで、善人としての行動しか取れない呪い。……改心はさせないで、行動だけを縛ってほしいんです……思考はそのままで、絶対に悪い事はできないように……頭の中ではどう思ってくれてもいい……けど、今後、永遠に、『犯罪者ではない大多数の人間』が『善行と認識している行動』しか取れないようにしてください……」
「ふむ。非常に慎重で、実に好感が持てる提案だが……ヌルいな。このバカどもに相応しい罰ではない。――けれど、望むなら叶えよう」
「一つだけ条件があります。絶対に、『抜け道』を残さないでください。あの映画みたいな、気分の悪いオチはいらない」
「……くく……」
神は、楽しげに笑って、
(間違いなく、お前は俺だな……セン……)
心の中でそうつぶやいてから、
「了解した。それでは、これより、『閃 壱番の復讐』を執行する」
こうして、契約は交わされた。
蝉原とユズに対する復讐という報酬と引き換えに、
センは、神に導かれ、異世界に旅立つ。
そして、全てが動き出す。
そのサイフに関するエピソードは決して美しいものではない。
どちらかといえば、痛々しい大恥。
しかし、センにとっては大事な思い出。
そのサイフを見てセンが思い出すのは、はじめて母親に全力で殴られた記憶。
『人の財布から金を抜いても得られるものは何もない。この財布はあんたにやる。肌身離さず持ち歩いて、今日、わたしに言われた事を定期的に思いだしなさい』
愛情とは、相手を甘やかす事ではなく、相手の全てを真剣に考える事。
センの母親は、センを全力で愛してくれた。
だから、叱る時も全力だった。
センを殴った母の拳は、中節骨が折れて、少し腫れていた。
決して言葉にはしなかったが、しばらくは痛そうにしていた。
だから、本当は知っていたんだ。
人を殴る痛みくらい――
「……『自分が周りに与えている恐怖の度合いを確認するため』かなんか知らんけど……お前が踏みつけたものは、そういうものだ」
「心から謝罪します。本当に申し訳――」
「蝉原、お前さぁ……」
そこで、センは、いつもの冷めた目で、
「この場の切り抜け方しか考えてないだろ」
「……」
「別にいいんだ。仕方ないよ。信念に従って生きているヤツに『反省』を促すほど、俺は狂っていない。いるさ、この世には……結構な数で、何を言われたって絶対に改心なんてしないヤツが。どんな目にあっても、必ず繰り返すやつ……お前はソレだ。ここを無事に切りぬけられたら、また……まあ数日は、『警戒のため』に大人しくしているかもしれないけれど、また、きっと……いや、必ず、同じことを始める……」
そこで、蝉原は、グっと奥歯を噛んだ。
そして、
「センくん、おれは本当に、『君には』、謝罪をしたいと思っている。『君には』、忠誠を誓おう。今後、おれは、『君にとっては、とても便利な蝉原勇吾』で在り続けると誓う……それでいいんじゃないか、センくん」
「蝉原」
そこで、センは、
「時計仕掛けのオレンジって知ってるか?」
蝉原の顔が一気に青くなった。
センの問い、その意味が理解できたらしい。
「センくん……それは――」
「死ぬよりマシだろ」
「……」
「神様」
センは言う。
「そこに転がっているバカ女と蝉原に、『呪い』をかけてほしいんですけど、できますか?」
「できる。内容は?」
「死ぬまで、善人としての行動しか取れない呪い。……改心はさせないで、行動だけを縛ってほしいんです……思考はそのままで、絶対に悪い事はできないように……頭の中ではどう思ってくれてもいい……けど、今後、永遠に、『犯罪者ではない大多数の人間』が『善行と認識している行動』しか取れないようにしてください……」
「ふむ。非常に慎重で、実に好感が持てる提案だが……ヌルいな。このバカどもに相応しい罰ではない。――けれど、望むなら叶えよう」
「一つだけ条件があります。絶対に、『抜け道』を残さないでください。あの映画みたいな、気分の悪いオチはいらない」
「……くく……」
神は、楽しげに笑って、
(間違いなく、お前は俺だな……セン……)
心の中でそうつぶやいてから、
「了解した。それでは、これより、『閃 壱番の復讐』を執行する」
こうして、契約は交わされた。
蝉原とユズに対する復讐という報酬と引き換えに、
センは、神に導かれ、異世界に旅立つ。
そして、全てが動き出す。
「ファンタジー」の人気作品
-
暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが-
4.9万
-
転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~-
7万
-
クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!-
4.8万
-
異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~-
2.3万
-
妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~-
1.6万
-
劣等眼の転生魔術師 ~ 虐げられた元勇者は未来の世界を余裕で生き抜く ~-
1.1万
-
勇者になれなかった俺は異世界で-
2.4万
-
引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―-
2.3万
-
転生貴族のハーレムチート生活【120万pv突破】-
5.5万
書籍化作品
-
オフラインで打ち合わせ 〜真面目な神絵師との適切な距離感〜-
58
-
【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~-
-
3435
-
-
【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~-
516
-
僕は御茶ノ水勤務のサラリーマン。新宿で転職の話をしたら、渋谷で探索者をすることになった。(書籍版・普通のリーマン、異世界渋谷でジョブチェンジ)-
4
-
お久しぶりです。俺と偽装婚約してもらいます。~年下ワケあり生真面目弁護士と湯けむり婚前旅行~-
140
-
モブ令嬢の旦那様は主人公のライバルにもなれない当て馬だった件-
310
-
錬成七剣神(セブンスソード)-
757
-
冬フェンリルの愛子となった私が、絶望から癒されていく話-
337
-
嘘と微熱〜甘美な一夜から始まる溺愛御曹司の愛執〜-
93

コメント
コメントを書く