センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
37話 ――神化――
37話
「ぐ……ぁ……」
足の下で苦しそうに呻き声をあげるサイケルを見下ろしながら、
「これが最強だ。どこまでも哀れで無味無臭な、愚かさの発表会。泥臭くてたまらない、『穢れ』の詰め合わせ」
センは、サイケルの頭から足を離し、
「……七五三じゃねぇんだから、そんな小綺麗なまま名乗るなよ。最強ってのは、もっと不自由で、退屈で、貧しくて、なんというか、わずかな救いすらないもんなんだ」
ただの満たされない中空。
終わった夢。
何もない世界。
センは、自嘲交じりに、
「無色のしぼりカス。噛み終わったガムと言ってもいい。そんなもんだ、最強なんて」
「……ふぅ……はぁ……ふぅ……ふざけるな……」
サイケルは、立ちあがる。
原動力は、憤り。
憤怒ではない。
熱量は同じだが、方向性はまるで違う。
サイケルは、センを睨みつけて言う。
「愚かしい、愚かしい、愚かしいぃ!! まさか、弱い言葉を使えば強く見えるとでも思っているのか? むしろ、無様だぞ!」
「ははは」
センは笑って、
「確かに、強い言葉を使った際に弱く見える事は多々あるが、しかし、その逆はない。もし、俺の言葉に『強さ』を感じたのなら、それは、お前が小さすぎて、相対的に、俺が大きく見えたってだけの話だ」
「強さなど感じていない!! 私は、『無様』だと言っている! 勘違いするな!」
「聞いていられないツンデレだな。もし俺の発言に『強さ』を一つも感じていないのなら、さっきのような発言はしないはずなんだがね」
「黙れ、黙れ、黙れ!!」
「都合が悪くなったらカンシャクか。本当にガキだな」
「最強は! 美しさの結晶だ! 神の果て……完成した唯一……理想の具現――」
「否定はしねぇよ。けど、結局のところ、同じ事を言っているんだ。……アダムの美しさを尊いと思う気持ちも、最強って概念に対する憂いも……つきつめちまえば同じなんだ」
「違う! 最強とは、ただひたすらに美しい純粋な耀き! そして、私は、その最強! 真なる神!」
「真なる神じゃ俺には勝てない。俺はその二つ上にいるから」
「ほざけぇええええ!」
サイケルは、叫びながら、己の胸部に、
「ぬうぅう、ぅぉおおおおおお!!」
ズブシュっと腕をぶちこむ。
血が溢れ出るが、そんな事はお構いなしに、自分の心臓を、ワシ掴んで、
「うぶぅ……ごほ……くぬ……わ、私の中の全てよ! 沸きあがれ! まだあるはずだ! 私はまだ、完成していない! わかっているぞ、アダム! 貴様の可能性はこんなものじゃない!」
掴んだ心臓を無理矢理鼓動させる、ぶっ飛んでイカれた行動。
サイケルは己の全てを爆発させんと後先考えずに突っ走る。
「見える、見える、見えるぅうう! 私を超越した私! ある! 届く! そこにいる! 目覚めろ! 真なる私!!」
サイケルは己の心に沸騰を強制させる。
平伏させようと必死。
「拒絶は許さない! アダム、貴様のすべてをもらう! 届かせろ!! 極限の向こうに!! 命の限界を超えた先に、この手を!! 可能性の先に届かせろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
頭の中を熱で満たす。命をフル稼働させる。
「行けよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
―――――キュィイイイイイイイイイイン!!!
『己』の中へ深く潜っていくと、頭の中で、バチバチと火花が弾けた。
脳内を駆け巡る電位の衝動が、事象の地平線を超えていく。
臨界点に達したパルスの爆発が、サイケルの可能性をこじあける。
爆発的なブレイクスルー。
プツンと弾けて混ざり合う。
「プラチナァァ!!
スペシャル!!!」
宣言に呼応する耀き。
濁流のような白銀のオーラがサイケルの全身を包み込んだ。
膨れ上がった白銀の輝きは、凝縮され、サイケルの核にしみこんでいく。
と同時に、グツグツと湧き上がっていた激情が凍結した。
頭がシンと静かになる。
――高次のブレイクスルーによってサイケルに発現したスペシャルは、
ゴールドスペシャルをも上回る究極特性『プラチナスペシャル』。
――膨れ上がる『GODレベル』。
ただのレベルとは異なる『高次の可能性』が引き上げられる。
全てが進化する。
命が羽ばたく。
生命の限界など遥かに超えて、サイケルの魂は、ありえない領域へと至る。
そこで、サイケルは、静かに両手を合わせた。
祈っている訳ではない。
ただ、心を整えているだけ。
そして言う。
「――神化――」
覚醒する魂。
収束する耀き。
木漏れ日のように優しい光が、幻想の虹を描く。
サイケルは、
「……ぁあ……」
見事、生命の限界をぶっちぎる事に成功した。
――その高み、
存在値『23億』――
「ぐ……ぁ……」
足の下で苦しそうに呻き声をあげるサイケルを見下ろしながら、
「これが最強だ。どこまでも哀れで無味無臭な、愚かさの発表会。泥臭くてたまらない、『穢れ』の詰め合わせ」
センは、サイケルの頭から足を離し、
「……七五三じゃねぇんだから、そんな小綺麗なまま名乗るなよ。最強ってのは、もっと不自由で、退屈で、貧しくて、なんというか、わずかな救いすらないもんなんだ」
ただの満たされない中空。
終わった夢。
何もない世界。
センは、自嘲交じりに、
「無色のしぼりカス。噛み終わったガムと言ってもいい。そんなもんだ、最強なんて」
「……ふぅ……はぁ……ふぅ……ふざけるな……」
サイケルは、立ちあがる。
原動力は、憤り。
憤怒ではない。
熱量は同じだが、方向性はまるで違う。
サイケルは、センを睨みつけて言う。
「愚かしい、愚かしい、愚かしいぃ!! まさか、弱い言葉を使えば強く見えるとでも思っているのか? むしろ、無様だぞ!」
「ははは」
センは笑って、
「確かに、強い言葉を使った際に弱く見える事は多々あるが、しかし、その逆はない。もし、俺の言葉に『強さ』を感じたのなら、それは、お前が小さすぎて、相対的に、俺が大きく見えたってだけの話だ」
「強さなど感じていない!! 私は、『無様』だと言っている! 勘違いするな!」
「聞いていられないツンデレだな。もし俺の発言に『強さ』を一つも感じていないのなら、さっきのような発言はしないはずなんだがね」
「黙れ、黙れ、黙れ!!」
「都合が悪くなったらカンシャクか。本当にガキだな」
「最強は! 美しさの結晶だ! 神の果て……完成した唯一……理想の具現――」
「否定はしねぇよ。けど、結局のところ、同じ事を言っているんだ。……アダムの美しさを尊いと思う気持ちも、最強って概念に対する憂いも……つきつめちまえば同じなんだ」
「違う! 最強とは、ただひたすらに美しい純粋な耀き! そして、私は、その最強! 真なる神!」
「真なる神じゃ俺には勝てない。俺はその二つ上にいるから」
「ほざけぇええええ!」
サイケルは、叫びながら、己の胸部に、
「ぬうぅう、ぅぉおおおおおお!!」
ズブシュっと腕をぶちこむ。
血が溢れ出るが、そんな事はお構いなしに、自分の心臓を、ワシ掴んで、
「うぶぅ……ごほ……くぬ……わ、私の中の全てよ! 沸きあがれ! まだあるはずだ! 私はまだ、完成していない! わかっているぞ、アダム! 貴様の可能性はこんなものじゃない!」
掴んだ心臓を無理矢理鼓動させる、ぶっ飛んでイカれた行動。
サイケルは己の全てを爆発させんと後先考えずに突っ走る。
「見える、見える、見えるぅうう! 私を超越した私! ある! 届く! そこにいる! 目覚めろ! 真なる私!!」
サイケルは己の心に沸騰を強制させる。
平伏させようと必死。
「拒絶は許さない! アダム、貴様のすべてをもらう! 届かせろ!! 極限の向こうに!! 命の限界を超えた先に、この手を!! 可能性の先に届かせろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
頭の中を熱で満たす。命をフル稼働させる。
「行けよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
―――――キュィイイイイイイイイイイン!!!
『己』の中へ深く潜っていくと、頭の中で、バチバチと火花が弾けた。
脳内を駆け巡る電位の衝動が、事象の地平線を超えていく。
臨界点に達したパルスの爆発が、サイケルの可能性をこじあける。
爆発的なブレイクスルー。
プツンと弾けて混ざり合う。
「プラチナァァ!!
スペシャル!!!」
宣言に呼応する耀き。
濁流のような白銀のオーラがサイケルの全身を包み込んだ。
膨れ上がった白銀の輝きは、凝縮され、サイケルの核にしみこんでいく。
と同時に、グツグツと湧き上がっていた激情が凍結した。
頭がシンと静かになる。
――高次のブレイクスルーによってサイケルに発現したスペシャルは、
ゴールドスペシャルをも上回る究極特性『プラチナスペシャル』。
――膨れ上がる『GODレベル』。
ただのレベルとは異なる『高次の可能性』が引き上げられる。
全てが進化する。
命が羽ばたく。
生命の限界など遥かに超えて、サイケルの魂は、ありえない領域へと至る。
そこで、サイケルは、静かに両手を合わせた。
祈っている訳ではない。
ただ、心を整えているだけ。
そして言う。
「――神化――」
覚醒する魂。
収束する耀き。
木漏れ日のように優しい光が、幻想の虹を描く。
サイケルは、
「……ぁあ……」
見事、生命の限界をぶっちぎる事に成功した。
――その高み、
存在値『23億』――
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