センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

9話 これが、言語取得70%の……力……っ

9話


 それは、妙なイントネーションだが、高次の知性を感じさせる話し方だった。


「店主さん、ちょっと待っててな。契約が成立したら、すぐにお金は払うから。あ、ちなみに、お金はちゃんと持っとるよ。ほら」


「……ぁあ、確認した。金を払うなら、なんの文句もねぇ。俺は持ち場に戻る。不成立の時は呼んでくれ。衛兵を呼ぶ」




「はいはーい」




 ハルスは、その女の仕草や口調から、農民・平民の類ではないと、一瞬で気付く。
 言葉の端々から薫る叡智。


(見た事ねぇツラ……)


 記憶にないので、最上級階級ではない。


 ハルスは、世界が認めるクソ野郎だが、
 事実、最強の冒険者『勇者』であり、一国の第一王子。


 当然、王族の嗜みとして、各国重鎮の顔と名前くらいは頭に入れてある。


(顔は知らんが……この女の雰囲気は、まちがいなく華族……問題はどこの、どのくらいのヤツか……)




 喋り方には品が出る。
 金の力で着飾る事はできても、『品』だけはごまかせない。


 砕けた口調にしても漂う品格はかき消せない。






 『成金』と『旧家の出』
 仮に、鑑定しろと言われれば、ハルスは百発百中で当てられる自信がある。


 そして、それはハルスだけの特技ではなく、一流所の出身者ならば、誰だって同じ。
 もちろん、一流出身者の中にも『教養が死んでいる阿呆』がいない訳ではないが、その数は少ない。


「あんた、魔人やんなぁ? あってるやろ? で、魔人って、めっちゃ優秀なんやろ?」


「あん? ……ぁあ、他のやつは知らんが、俺なら優秀だ。とびぬけてな。この俺が認めるんだから、間違いねぇ」


「何様やねん……まあ、ええわ。自信があるんはええこっちゃ。悪い場合もあるけど。……で、どうやろ。あたしに雇われてみぃひん?」


「……雇うって何に?」


「あたし、冒険者試験を受けたいんや。そのサポートをしてくれへん?」


 そこで、ハルスは頭を回転させた。
 『ウッカリで無銭飲食をしてしまう』という大失態をおかしたおバカさんではあるが、頭の出来が悪い訳ではない。


(冒険者試験ね、なるほど……てか、こりゃ、俺も受けねぇと、色々うぜぇなぁ……冒険の書がねぇと、南大陸に行けねぇし……)


 南大陸は、今でも、『危険な場所』と認識されており、事実、開拓されていない地域はバリバリ危険なので、一般人の立ち入りは当然のように禁止されている。


 他にも、ダンジョンに潜ったり、日銭を稼いだりするにも、冒険の書は必須。


 ――ちなみに、魔王国幹部の魔人が、この五年間、立て続けに受かっているので、ハルスが受けても問題は何もない。




(確か、試験は来月……いや、今月だったか? ……サポート……サポートねぇ。ふん、チームで試験を受けるのは珍しくもなんともねぇ。つぅか、俺が受かった時も、半分以上のヤツがチームで受けていた)


 最悪、チームである事にデメリットが生じる試験だったとしても、その場で解散すればいいだけ。


(もし、今年の試験が、チームじゃないと不利になるパターンだった場合、俺の状況や性格上、色々と問題が生じる……この状況は、むしろ願ったり叶ったりか? もし、俺を騙そうとしていたとしても問題は何もない。悪意確定で、殺して、金を奪って終了……)


 そこで、ハルスは、ニっと微笑み即断する。
 強者ゆえのおごり。
 そして、何より、『悪意をもって接してくれた方が色々と楽』という謎状況なので、決断はどうしても早くなる。




「いいだろう。雇われてやる。金をよこせ」






「このにーちゃん、常時、えらそうやなぁ……まあ、べつに、ええんやけどぉ」











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