センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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3話 冒険者を目指そう

 3話








 三分ほどかけて、ニーは、『世界のあれこれ』についてシグレに教えてあげた。


 シグレは、賢い訳ではないものの、決しておバカさんではないので、キチンと理解したようで、


「ふぅん、なるほどな……レベルを上げる手段が少ないから、地球人のレベルは低いっていうだけで、素質は最高峰なんか……で、あたしは、その素質もクソやと……ヘコむなぁ」


 深いため息をついてから、


「まあええ。自分の無能さを嘆いた所で何にもならん。受け入れて、呑みこんで、血ぃ吐いて、一歩でも前に進んだる」


「シグレのその考え、ニーは好きだよ」


「ありがと、あたしも、ニーの事、めっちゃ好きやで。賢くて、可愛くて、理想のパートナーや。頼むから、『ニーと契約して、魔法少女になってよ』とか言わんといてな」


 シグレが、ニーに頬ずりしながらそう言うと、ニーは、嬉しそうにプルプルと揺れた。


「ちなみに、もの知りのニー的には、この世界での、あたしの今後の行動、どうするべきやと思う?」


「シグレは、自由に生きたいんじゃないの?」


「何も分からん状態でテキトーに行動する行為を自由とは言わん。それは、ただのアホや。得られる情報は全部集め、じっくりと精査して、どうするべきか悩んだ上で、キチンと見繕った『いくつかのルート』の中から『自由』に行動を選択する。あたしが望む自由いうんはそういうもんや。あたしの言う事、なんか、間違っとる?」


「ぜんぜん。……おけー、シグレの質問に答えてあげるね。ニーは、『冒険者を目指す』べきだと思う」


「おぉ、ド定番やな。読者目線やと、食傷っぷりがハンパない流れやけど、当事者になった以上、やっぱり、そこは避けて通れんよなぁ」


 うんうんと頷きながら、


「ほな、サクっと登録して、ゴブリンでも狩ろうか。いや、いきなり討伐任務はないかなぁ。最初は薬草採取とかかな? まあ、なんでもええわ。とにかく、行こか。ニー、冒険者ギルドはどこにあるん?」


「そんなものはないよ」


「……へ?」


「序列一位の大国『聖霊国フーマー』管理下のもと、冒険者試験を運営している『委員会』と呼ばれている組織なら存在するし、その支部は、すぐ近くにあるけれど、今のシグレが出向いても、相手にはされないよ」


「……冒険者試験……なるほどな。試験があるタイプなんや。まあ、それも珍しいってほどやないな。けど、ギルドが無いんはちょっと驚きやなぁ……そうなると、依頼とかどこで受けるん?」


「冒険者に頼みごとが出来るのは王くらいだよ。一般人の雑用を請け負うなんて……まあ、無くもないけれど、かなりの珍事だね。だから、『依頼はどこで受けるのか』っていう質問に答えるとすれば、王城とかだね。君命以外で冒険者が動くって事は、ほとんどないんだよ」


「え、王様だけって……それ、どういうこと? ちょっと、意味がよぉ分か――」


「冒険者になれば、最低でも『子爵』以上の立場になるから、冒険者は、むしろ、治めることになった領地の問題を、徴発した『兵士』に依頼する側なんだよ」


「なんか……あたしが知っとる冒険者と違うんやけど……てか、それのどこが冒険者やねん。ただの偉いさんになるって事やないか」





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