悪役令嬢になった私は、死にたくないので、フラグ折りを頑張ることにした。

あおい

優しいお嬢様(コロン目線)


           ″お嬢様が倒れた″
その知らせを聞いたとき、使用人たちの反応は様々だった。でも、私や真雄しゆうさんなどの古参というか、ここで半年以上働いている使用人以外は、ほとんどみんな喜んでいた。

これまでのお嬢様の言動は、とても使用人を人とも思ってないような、まるで、おもちゃのような扱いをしているようだったから。

若い使用人たちは強敵を倒したんだというふうにはしゃぎ、年齢が上な使用人たちは大きくは口に出さないものの、陰で罵り笑っていた。

でも、私は、お嬢様が不器用で優しいことを知っているから、あのとき、知ってしまったから、そんなことをいう気にはなれなかった。

あれはまだ、私がこの屋敷で働きはじめて間もない頃、なれない仕事に、お嬢様の厳しい言動。メイド長にも毎日しかられていた。
とても辛くてもうやめようと毎日考えて、結局そんな勇気もなくて一日が過ぎて行く。そんなときに事件は起こった。

メイド長が、よりによって第二王子のエルヴィス様がお屋敷にこられる日に、お嬢様が着るはずだったドレスを破いてしまったのだ。

メイド長は、お嬢様のお怒りをとても恐れた。お嬢様が気に入らないことをした人は全員監獄いきと決まっていたから。

そして、メイド長はあろうことか私に罪を擦り付けようとしてきた。

「どうせやめたいと思ってるんだからいいでしょ。どうせなら、私の、いいえ皆の役に立ってからやめなさい。」といって。

私は、メイド長に逆らうことができない立場だったから、罪を被るしかなかった。でも、それは言い訳で、本当はこの日常から解放されたかったのかもしれない。

「お嬢様。申し訳ございません。このコロン・ハウヴィー、お嬢様の大切なドレスを破いてしましました。どんな処罰であろうと、甘んじて受け入れようと思います。」

これでいい。多分待っているのは監獄暮らし。まだ少しは楽になれるかな・・?

「顔をあげてくれないかしら。 うじうじされても迷惑なのよ。まさか、エルヴィス様がこられる日にそんなバカやらかすメイドがいるとは全く、どうしてそんなに仕事ができないのかしら・・。」

「申し訳ございません。」

「あー、はいはい。謝罪は求めてないの。それよりも、私はこれをやった真犯人を教えてほしいわ。というか、教えなさいよ!」

「お嬢様、そのドレスを破いてしまったのは、間違いなく私でございます。」

「あなたみたいな鈍くさいのがこのドレスを破いてたら、もっと大変なことになってるわよ。あー、よかった。このドレスをわざとやぶいたのが、まだ仕事ができる方のメイド長さんで。ちょうど遊ぶ相手に困ってたのよ」

「あ、そーだ。そういうことだからあんたおとがめ無し。おもちゃが減っても困るもの。あと、上の人のいうことだけ聞いて育っちゃダメだってお父様が言ってたわよ。また遊びましょ」

そして、次の日からメイド長は忽然と姿を消した。別に、すごく優しいことを言われたとかではないのに、このときはなんだかとても、救われたように感じたんだ。

そして、のちにヴィー様が教えてくれた。

「ルーナは不器用なだけで、本当は優しいいい子だよ。本当はドレスを破いたのはキミじゃないって、最初から知っていたはず。キミがなにかいってきて、それで即お咎め無しにしたら、またメイド長にいじめられるって思ったんじゃないかな。だから、長いことおもちゃだなんだって話してたんだよ。」

「まあ、みんなをいじめていいのは自分だけって思ってるだけかもだけど・・。全く、我が子ながら困った子だよ。」って付け加えて。

そのときから、私はお嬢様のことが、冷酷非道だとか、悪い人だとか、そんなふうには思えなくなった。

だから、お嬢様が倒れたときいたときは、思っていたよりもずっとショックだった。二週間も眠りっぱなしっていうのもまして、もうお嬢様に会えなくなるんじゃないかと思って、仕事がないときはずっとつきっきりでお嬢様のところにいた。

そして、ついにお嬢様が目を覚ました。

私が部屋にはいったとき、お嬢様は鏡を見ながら首をかしげていた。私は不審に思いつつ、声をかけた。

「お、お嬢様?もうお目覚めになった大丈夫なんですか!?」って。おどおどしている感じで。その方が、お嬢様は好きだから。

そしたら、あのお嬢様がありがとうって。真っ先に熱が残っている可能性を疑った。だって、熱でもないと、あのお嬢様がありがとうなんていうわけないから。

だけど、お嬢様にパット見たところ熱はなさそうで、私は少し混乱してしまった。

すると、なにか話題をごまかすように、お嬢様がいくつか質問してきた。

記憶が混乱しているのかと思い、きちんと丁寧に答えていくと、カルロス様が引きこもってしまったという話になった瞬間、お嬢様は部屋から飛び出そうとした。

もちろん、そんなこと許すわけない。カルロス様を傷つけるわけにはいかないし、お嬢様は目覚めたばかりだ。また倒れられたりなんてしたら、私の心臓は持ちそうにない。

だけど、お嬢様は本気のようだ。あのお嬢様が約束をするというくらいだから。

だから、ドアの前を退いた。そのあと、お嬢様は何を思ったのか、私の目をじっと見つめながら、「いつもありがとう」って、満面の笑顔で言った。その笑顔は、いくらなんでも反則過ぎる!!私は、十分くらい、その場から動くことができなかった・・。

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