異世界の名のもとに!!

クロル

第12話 どうして…?

「ふう、セッティングはこんなもんだろ」

 デスクトップPCとかの機器を置き終わったところだ。

一息と壁沿いのソファーに座った。もとからあったものだ。

 今さらなんだが、何故ボク等は家族なんかに誘われたんだろう。疑問がボクの頭を過る。

特にボク等はあの姉妹に大それた事なんてしてないし。……美鈴とクルはケンカをよくするし。

いったい、何がそこまでさせたのか。ボクにはよく分かってない。

『理由が知りたい?』

 この、脳内に直接語りかけてくるのは二度目だ。まったく、心臓に悪い。

『あら、ごめんなさいね』

 それで、ボク等を家族に迎え入れた理由は?

『簡潔に言うと、クルがあなたを家族に迎え入れたいと言ったのよ。それで私は同意したの』

 簡潔過ぎて、分からないんだけど。

『仕方ないわね。…もうこれは、昔の話になるわ。200年程昔の話。私たちはその頃、王都の方で暮らしていたの。お父様とお母様はクルを産んでから10年程で死んだわ』

 なんでそんな早くに死んだんだ。もう、年だったのか?

『いえ?…そうではないのだけど今は置いておいて』

 あーわかった。

『話を続けるわね……』






――――海辺を1人の少女が夕陽を横に歩いている。特に目的は無く歩いている。

すると、近くの教会からパイプオルガンの音色が聞こえてきた。

その音色につられて教会の扉を開けた。

1人の少年がパイプオルガンを弾いていた。

周りには誰も居ず、少年がただ1人オルガンの前に座り弾き続けている。

「何弾いているの?」

 少女は弾き続ける少年に言った。

少年は引き続けながら質問に答えた。

「んー、適当に弾いてるから何とは言えないな」

 少女は少年の近くに行き、並んでいる椅子に座った。

「良い音だね」

「オルガンは落ち着く音を出してくれる。だからこそ教会にあるんだ」

 弾き終わった少年は少女の方へ歩みを進め、横に座った。

「聴いてくれてありがとう」

「落ち着いた~」

 笑顔で少女は言った。


――――それが全ての始まりだった。






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