的外れな催眠チート ~面倒臭がりが召喚されました~
打ちのめそう
皆さん、お待たせしました!
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再び起き上がる四天王たち。
何が起こったのか分からない観客たちは、その勇姿に歓喜し叫んでいる。
『…………』
だが、当の本人たちは違った。
顔面真っ青、意識蒼白……血の気が失せるとはこのことである。
「どうした? 客どもはお前たちの戦いを楽しみにしているぞ。早く構えろよ、そして俺も楽しませてくれよ」
「く、クソ野郎が……」
「そんなに褒めないでくれ。照れてうっかりもう一本──射っちゃった」
『ッ……!』
回復した体に向けて、さらに『青の矢』を射る──それにより、肉体はほぼ完璧に活性化を終えただろう四天王たち。
ボロボロだった体も完全に治り、二本目の効果で魔力も少し回復していると思う。
ふらふらと立ち上がる四人。
だが、先ほども挙げた通り本人たちに俺との戦いに燃やす闘志はない。
「ふわーはっはっはっは! 見ていろ、哀れな愚民共! この俺が、貴様らの大好きな四天王を捻り潰すその瞬間を!」
『そんなはずがあるか! 我らを守護してくださる四天王様が、貴様のような下等な異世界人に負けるはずがなかろう!』
おっと、イイ返事をしてくれる魔族だ。
代わりに血の気が失せる、というより魂が消えているとも思えるほどに真っ青で真っ白な四天王の姿が映るが……魔王が何もしていないので、問題ないだろう。
「そうかそうか、貴様らの想いがはたしてこいつらに届くかな? 当然、俺は届かない方に賭けているが」
『四天王様! どうかソイツを、二度とそんなことが言えないように叩きのめしてください! 我ら魔族の底力、その証明を!』
『…………』
無理無理、本人たち死んだ目をしてる。
一部はもう死んでいるが……それ以上にもう、彼らは心が折れていた。
「けど、だからと言ってそれで終わらせるわけにはいかないからな──“瞬間装着”」
弓を仕舞い、異なる武器を使用する。
磨き上げられ、鍛え上げられた──拳。
ボクシングのような構えを取り、四天王たちに向けて叫ぶ。
「お前たちが魔王様の命を果たせない、残念な奴らなことはよく分かった! だが、俺の話が上手くいけば、俺とお前たちはこれから仲間となる! ……もう分かったようだな。俺が鍛えてやるってことだよ!!」
ズシンと足踏みをすると、四天王と俺を結ぶ地面が勢いよく裂け始める。
治った体を動かして回避する四天王に、観客たちは騒ぎだす。
「やはり動けるではないか……魔族の民よ、貴様らが崇める四天王は、どうやら俺の想定以上にやるようだな」
『そうだ! お前なんかすぐに敗れる!』
「ふははははっ! そうかそうか、それは楽しみなことだ」
俺のテンションが高い理由? 催眠でそうしてるってだけだよ。
精神を操作すれば人格に歪みが出る、俺はそれを応用しているだけだ。
──だからこそ、拳を交わして熱くなるという熱血物みたいな展開に持ち込める。
「なあ、ドラゴン。俺は間違ったことを言っているか? 魔王様を守るために、俺より強くはなりたくはないのか?」
「そ、それは……」
「なあ、ウルフ。このまま人族に魔族が蹂躙されていいのか? ここで頭を下げようと、俺より強くなるべきだろ?」
「ぐっ……」
まず二人、武闘派タイプの奴らにそう尋ねてみる。
この際、精神魔法や交渉スキルを使って精神に揺さぶりをかけておく。
まあ、魔王の加護的なナニカがあることは確認しているので意味は無いだろうけど。
「タナトス、魔王様は好きだろ? このままだと、いつか勇者が来るぞ? 守るためには力がいるんじゃないのか?」
「うぅ……」
「オーガ、魔力を底上げすることもいちおうできるぞ? それに、その不完全なアンデッド共を改良することもできる? 自分で戦いたくないなら、それなりの貢献をしろよ」
「む、無理ですよ!」
ようやくまともに返事をしてくれる奴が現れたが、やはりこちらの二人も乗り気ではないようだ。
しかし、あまり暴力的な交渉をすると魔王に怒られるし……何よりこっちでのんびりするときに反感を買いそうである。
「仕方ない……少しレベルを下げるか。魔王様、一つよろしいでしょうか!」
「なんだ?」
「私の勝ちでよろしいでしょうか!」
「……そう、だな」
では、と俺の勝利宣言をしようとしたところで──
『待ってください!』
四人の配下たちはいっせいに立ち上がり、俺にファイティングポーズを向けた。
「まだ、まだやれます!」
「だから、そこで見ていてくれよ!」
「……頑張る!」
「が、頑張ってください!」
一人だけ三人に向けて言っている気もするが、全員がやる気に火が点いたようで何よりだと感心する。
俺の手駒は、はたして自身の意思でここまでやってくれるだろうか?
催眠で仮初の忠誠は得ているが……心の底から俺に尽くそうと思う奴なんて、一人もいないんじゃないか?
「……無駄な思考だな。おらぁ、それなら俺に勝てよ! やれるもんならなぁ!」
かくして、俺たちの戦いはまだまだこれからだ! 的な感じに纏まった。
結局のところ、拳術だけで四天王を打ちのめして俺の勝利となる。
──だが、観客たちからの印象がまともになっていたので、良かったとも言えよう。
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再び起き上がる四天王たち。
何が起こったのか分からない観客たちは、その勇姿に歓喜し叫んでいる。
『…………』
だが、当の本人たちは違った。
顔面真っ青、意識蒼白……血の気が失せるとはこのことである。
「どうした? 客どもはお前たちの戦いを楽しみにしているぞ。早く構えろよ、そして俺も楽しませてくれよ」
「く、クソ野郎が……」
「そんなに褒めないでくれ。照れてうっかりもう一本──射っちゃった」
『ッ……!』
回復した体に向けて、さらに『青の矢』を射る──それにより、肉体はほぼ完璧に活性化を終えただろう四天王たち。
ボロボロだった体も完全に治り、二本目の効果で魔力も少し回復していると思う。
ふらふらと立ち上がる四人。
だが、先ほども挙げた通り本人たちに俺との戦いに燃やす闘志はない。
「ふわーはっはっはっは! 見ていろ、哀れな愚民共! この俺が、貴様らの大好きな四天王を捻り潰すその瞬間を!」
『そんなはずがあるか! 我らを守護してくださる四天王様が、貴様のような下等な異世界人に負けるはずがなかろう!』
おっと、イイ返事をしてくれる魔族だ。
代わりに血の気が失せる、というより魂が消えているとも思えるほどに真っ青で真っ白な四天王の姿が映るが……魔王が何もしていないので、問題ないだろう。
「そうかそうか、貴様らの想いがはたしてこいつらに届くかな? 当然、俺は届かない方に賭けているが」
『四天王様! どうかソイツを、二度とそんなことが言えないように叩きのめしてください! 我ら魔族の底力、その証明を!』
『…………』
無理無理、本人たち死んだ目をしてる。
一部はもう死んでいるが……それ以上にもう、彼らは心が折れていた。
「けど、だからと言ってそれで終わらせるわけにはいかないからな──“瞬間装着”」
弓を仕舞い、異なる武器を使用する。
磨き上げられ、鍛え上げられた──拳。
ボクシングのような構えを取り、四天王たちに向けて叫ぶ。
「お前たちが魔王様の命を果たせない、残念な奴らなことはよく分かった! だが、俺の話が上手くいけば、俺とお前たちはこれから仲間となる! ……もう分かったようだな。俺が鍛えてやるってことだよ!!」
ズシンと足踏みをすると、四天王と俺を結ぶ地面が勢いよく裂け始める。
治った体を動かして回避する四天王に、観客たちは騒ぎだす。
「やはり動けるではないか……魔族の民よ、貴様らが崇める四天王は、どうやら俺の想定以上にやるようだな」
『そうだ! お前なんかすぐに敗れる!』
「ふははははっ! そうかそうか、それは楽しみなことだ」
俺のテンションが高い理由? 催眠でそうしてるってだけだよ。
精神を操作すれば人格に歪みが出る、俺はそれを応用しているだけだ。
──だからこそ、拳を交わして熱くなるという熱血物みたいな展開に持ち込める。
「なあ、ドラゴン。俺は間違ったことを言っているか? 魔王様を守るために、俺より強くはなりたくはないのか?」
「そ、それは……」
「なあ、ウルフ。このまま人族に魔族が蹂躙されていいのか? ここで頭を下げようと、俺より強くなるべきだろ?」
「ぐっ……」
まず二人、武闘派タイプの奴らにそう尋ねてみる。
この際、精神魔法や交渉スキルを使って精神に揺さぶりをかけておく。
まあ、魔王の加護的なナニカがあることは確認しているので意味は無いだろうけど。
「タナトス、魔王様は好きだろ? このままだと、いつか勇者が来るぞ? 守るためには力がいるんじゃないのか?」
「うぅ……」
「オーガ、魔力を底上げすることもいちおうできるぞ? それに、その不完全なアンデッド共を改良することもできる? 自分で戦いたくないなら、それなりの貢献をしろよ」
「む、無理ですよ!」
ようやくまともに返事をしてくれる奴が現れたが、やはりこちらの二人も乗り気ではないようだ。
しかし、あまり暴力的な交渉をすると魔王に怒られるし……何よりこっちでのんびりするときに反感を買いそうである。
「仕方ない……少しレベルを下げるか。魔王様、一つよろしいでしょうか!」
「なんだ?」
「私の勝ちでよろしいでしょうか!」
「……そう、だな」
では、と俺の勝利宣言をしようとしたところで──
『待ってください!』
四人の配下たちはいっせいに立ち上がり、俺にファイティングポーズを向けた。
「まだ、まだやれます!」
「だから、そこで見ていてくれよ!」
「……頑張る!」
「が、頑張ってください!」
一人だけ三人に向けて言っている気もするが、全員がやる気に火が点いたようで何よりだと感心する。
俺の手駒は、はたして自身の意思でここまでやってくれるだろうか?
催眠で仮初の忠誠は得ているが……心の底から俺に尽くそうと思う奴なんて、一人もいないんじゃないか?
「……無駄な思考だな。おらぁ、それなら俺に勝てよ! やれるもんならなぁ!」
かくして、俺たちの戦いはまだまだこれからだ! 的な感じに纏まった。
結局のところ、拳術だけで四天王を打ちのめして俺の勝利となる。
──だが、観客たちからの印象がまともになっていたので、良かったとも言えよう。
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