最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
246話 散る嵐
「ッ!?」
嫌な予感が全身に走り、俺は勢い良く上体を起こす。冷や汗が頬を伝い、呼吸も荒い。外はまだ暗く、夜は明けていない。
「クロ、ト……? どうしたの?」
隣で眠っていたエヴァが、寝惚け眼をこすりながら起きる。
俺達は明日への英気を養うためにスーサの用意してくれたテントの中で眠っていた。リュウもサエも特に寝る前と変わった様子は無い。心臓も少しずつ落ち着き、冷や汗もひいている。
「いや、なんだろう。嫌な予感がして」
「レオ達の事で?」
「わからない。けど、もしかしたらそうかもしれない」
「レオもリンリも大丈夫だよ。特にレオなんて負ける姿が想像できないし」
「ああ、そうだよな……」
俺の姿を見てエヴァも不安になって来たのか、少し表情が曇る。
「悪い。考えても仕方ないよな。明日も早い、もう寝よう」
そんなエヴァを抱きしめ、また寝るために横たわる。
レオ、リンリ、シエラ……全員無事でいてくれ。
◇
「ザシャシャ。ま、オリハルコンじゃないにしてはよくやったんじゃねぇの?」
ベンケイが笑いながらレオのわきを通ってサーキンの加勢に向かう。
「まだ、だッ!」
「グッ! ああ??」
レオの拳が腹にねじ込まれ、ベンケイは動きを止める。
普通の人間なら立てるような傷ではない。むしろ生きていること自体がおかしい。そんな傷を負ってもなお、レオは立ち上がる。
「所詮お前は……ハァ、ハァ……ハザック以下だ」
「……今、なんか言ったか?」
「わかってる、クロト。おれは死なねぇ、任せとけ」
レオが小声で呟く。ベンケイの耳には届いていないが、既にベンケイは挑発に乗ってしまっている。水天一碧を再び構え、レオに狙いを定める。
「今度こそ確実に息の根を止めてやるよォ、ザシャシャ」
「至天破邪剣征流 奥義」
「水天一碧 制覇ァ!!」
「薙払の型 『神薙麒麟暴!!』
二人が同時に動く。初速はほぼ互角。
夜の闇に月の光が反射して二本の刃が光る。一撃目がぶつかると同時に同時に複数回の衝突が起こり、金属音が街に響く。『麒麟駆け』よりも数段速く強い『神薙麒麟暴』が制覇と同等、それ以上の威力で暴れまわる。
「ザシャシャ、これに対抗するのか!?」
「ここで沈め!!」
お互いに今まで多くの強敵を打ち破ってきた技が激突し、そして勝敗を決する。
斬撃の撃ち合いの中、レオの一撃が水天一碧を弾き、隙の出来たベンケイにそのまま袈裟斬りを決める。
「これで本当に終わりだ」
レオも振り切ったまま動かず、ベンケイも斬られ、膝を付いて水天一碧を下ろしたまま動かない。
「終われねぇ……このままじゃ終われねぇだろ!!」
息を吹き返したベンケイが再び水天一碧を掲げる。
「もう俺もお前も限界だ。だからこそ、いまこれを防げやしねぇだろォ! ザシャ……ザシャシャ、水天一碧 堂ォ……堂ォオオッ!!!」
「付き合ってやるよ……超奥義 黒き甪端」
真っ直ぐに振り下ろすベンケイに対し、レオは『銀光月華』を鞘にしまい始める。水天一碧の刃がレオの頭上に差し掛かったその時、レオが金打し、それと共にその動きが停止する。
直後、黒い斬撃がベンケイの周囲を走り、全身を斬り裂く。水天一碧はレオに当たることなく地面に落ち、ベンケイも白目を剥いたまま前のめりに倒れる。
「ハァ……ハァ……正真正銘、これでおれの勝ちだな」
倒れるベンケイを見下ろし、ニヤリと笑う。だがレオもかなり体力を消耗している。フラフラになりながらも『銀光月華』を杖代わりにどうにか倒れないように耐えている。
『嬢ちャん!?』
そんな時に聞こえて来たのはミストの驚くような声。見ればサーキンとミストが対峙しており、リンリの姿は無い。サーキンの様子も先程までと違い、まるでオーラでも漏れ出しているかのように影がまとわりついている。
そして二人の見ている先、そのはるか上空に……投げ飛ばされたリンリが居た。
嫌な予感が全身に走り、俺は勢い良く上体を起こす。冷や汗が頬を伝い、呼吸も荒い。外はまだ暗く、夜は明けていない。
「クロ、ト……? どうしたの?」
隣で眠っていたエヴァが、寝惚け眼をこすりながら起きる。
俺達は明日への英気を養うためにスーサの用意してくれたテントの中で眠っていた。リュウもサエも特に寝る前と変わった様子は無い。心臓も少しずつ落ち着き、冷や汗もひいている。
「いや、なんだろう。嫌な予感がして」
「レオ達の事で?」
「わからない。けど、もしかしたらそうかもしれない」
「レオもリンリも大丈夫だよ。特にレオなんて負ける姿が想像できないし」
「ああ、そうだよな……」
俺の姿を見てエヴァも不安になって来たのか、少し表情が曇る。
「悪い。考えても仕方ないよな。明日も早い、もう寝よう」
そんなエヴァを抱きしめ、また寝るために横たわる。
レオ、リンリ、シエラ……全員無事でいてくれ。
◇
「ザシャシャ。ま、オリハルコンじゃないにしてはよくやったんじゃねぇの?」
ベンケイが笑いながらレオのわきを通ってサーキンの加勢に向かう。
「まだ、だッ!」
「グッ! ああ??」
レオの拳が腹にねじ込まれ、ベンケイは動きを止める。
普通の人間なら立てるような傷ではない。むしろ生きていること自体がおかしい。そんな傷を負ってもなお、レオは立ち上がる。
「所詮お前は……ハァ、ハァ……ハザック以下だ」
「……今、なんか言ったか?」
「わかってる、クロト。おれは死なねぇ、任せとけ」
レオが小声で呟く。ベンケイの耳には届いていないが、既にベンケイは挑発に乗ってしまっている。水天一碧を再び構え、レオに狙いを定める。
「今度こそ確実に息の根を止めてやるよォ、ザシャシャ」
「至天破邪剣征流 奥義」
「水天一碧 制覇ァ!!」
「薙払の型 『神薙麒麟暴!!』
二人が同時に動く。初速はほぼ互角。
夜の闇に月の光が反射して二本の刃が光る。一撃目がぶつかると同時に同時に複数回の衝突が起こり、金属音が街に響く。『麒麟駆け』よりも数段速く強い『神薙麒麟暴』が制覇と同等、それ以上の威力で暴れまわる。
「ザシャシャ、これに対抗するのか!?」
「ここで沈め!!」
お互いに今まで多くの強敵を打ち破ってきた技が激突し、そして勝敗を決する。
斬撃の撃ち合いの中、レオの一撃が水天一碧を弾き、隙の出来たベンケイにそのまま袈裟斬りを決める。
「これで本当に終わりだ」
レオも振り切ったまま動かず、ベンケイも斬られ、膝を付いて水天一碧を下ろしたまま動かない。
「終われねぇ……このままじゃ終われねぇだろ!!」
息を吹き返したベンケイが再び水天一碧を掲げる。
「もう俺もお前も限界だ。だからこそ、いまこれを防げやしねぇだろォ! ザシャ……ザシャシャ、水天一碧 堂ォ……堂ォオオッ!!!」
「付き合ってやるよ……超奥義 黒き甪端」
真っ直ぐに振り下ろすベンケイに対し、レオは『銀光月華』を鞘にしまい始める。水天一碧の刃がレオの頭上に差し掛かったその時、レオが金打し、それと共にその動きが停止する。
直後、黒い斬撃がベンケイの周囲を走り、全身を斬り裂く。水天一碧はレオに当たることなく地面に落ち、ベンケイも白目を剥いたまま前のめりに倒れる。
「ハァ……ハァ……正真正銘、これでおれの勝ちだな」
倒れるベンケイを見下ろし、ニヤリと笑う。だがレオもかなり体力を消耗している。フラフラになりながらも『銀光月華』を杖代わりにどうにか倒れないように耐えている。
『嬢ちャん!?』
そんな時に聞こえて来たのはミストの驚くような声。見ればサーキンとミストが対峙しており、リンリの姿は無い。サーキンの様子も先程までと違い、まるでオーラでも漏れ出しているかのように影がまとわりついている。
そして二人の見ている先、そのはるか上空に……投げ飛ばされたリンリが居た。
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コメント
330284 ( ^∀^)
超奥義!?!?