最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
208話 包囲網突破!
「我龍殲滅弾!」
リュウの両手から放たれた竜の魔力は散弾の様に細かく分かれ、地面に落下。盗賊達を吹き飛ばす。
その背中にサエの姿は無く、リュウ一人で盗賊団を相手にしている。そして襲撃しているのは北を包囲している盗賊達。そこにはラファームとエレノア公爵支部の支部長を除いた三人の支部長が勢揃いしていたのだ。
「こっちまで来てみろ!」
敵を煽りながら空を飛び、リュウは更に北、包囲網の外を目指す。
攻撃されて黙っている盗賊達ではなく、支部長を筆頭にそれを追いかける。が、これこそがリュウ達の作戦。包囲網を更に北へ進んだ所には一本の川が流れており、サエは既にそこで待機していた。
「さぁ、行くわよ!」
川の水が持ち上がり、その頂点にはサエが立っている。リュウも合流し、盗賊団を迎え撃つ。
一斉に走ってくる盗賊団の先頭を走っているのが支部長だろう。強い反応を三つ、リュウが感知した。
「この数相手にしきれるかな……?」
「今から弱気言ってんじゃないわよ。やるしかないんだから」
「わ、わかってるけど……」
やる気なサエに対し、リュウは若干不安げだ。とはいえ、そんなことを言っていても相手は来るもので……
「行くぞ。我々支部長の力、見せてくれよう!」
「行くわよ……土術奥義 三頭大蛇!」
「爆炎術 炎怨龍鬼桜」
「波術 神水起講」
一人が地中から巨大な土の蛇を三頭作り出す。三人の支部長はその真ん中の蛇の頭に乗り、両サイドを進む蛇に魔術をかける。強力な爆炎術と波術で、大蛇はかたや炎蛇となり、かたや水蛇となる。
これも一種の複合魔術で、支部長というだけはあり威力も強力だ。
「あの水の方、やれる?」
「ま、任せて……多分サラマンダーで行ける」
「頼むわよ。私は炎のほうやるから……そういえば、私って技名とかないのよね。基本水操ってぶつけるだけだから 何か考えてくれない?」
「え……そんな難しい事こんな局面で言う?」
「いいから考えなさいよ」
「…………激流龍咆哮とかは?」
「あんたと被るじゃない」
「じゃあ俺に言わないでよ!」
「まぁいいわ。有り難くその名前貰うことにする」
「あ、そう。それは良かった……ってすぐそこまで来てる!?」
「行くわよ 激流龍咆哮!」
「火竜砲」
サエの操った川の水が炎蛇にぶつかり、鎮火。そして土を粉砕し無力化する。リュウの手の平から繰り出された超火力火炎放射も水を蒸発させて土を崩していく。
「な、何なんだあいつら!?」
「ウェヌス盗賊団に手を出すだけのことはある……!」
「食らいなさい……この外道達がぁ!!」
川の水をまるで巨大な鞭のように操り、盗賊団と支部長達を一気に流していく。サエの支配下から解放されたあとも暫く渦潮のように回転し、団員達の体力を一気に奪う。
「我龍殲滅弾!」
そこへリュウのカノンが降り注ぎ、北の包囲は一瞬にして解かれることとなる。
「あ……」
いきなり魔力を使いすぎて足場にしていた水が重力に従って落ち、サエも身を投げ出されたが、間一髪のところでリュウがキャッチする。
「あ、ありがと」
「大丈夫?」
「大丈夫よ。ていうかチクチクするわ 離れて」
「それは仕方なくない!?」
◇
「〈黒き氷は我を守りし盾と
成りてこの地に顕現せし〉」
エヴァの詠唱に合わせて盾の形状をした四つの黒氷がエヴァの背中に現れる。背中と言っても黒氷は浮いており、自動的にエヴァを守るようになっている。
「黒い……氷だァ? ハハハ、お前も面白い力を持ってんのかよ」
「〈黒き氷は舞い踊る剣と成り
我に顕現せし〉」
柄も鍔も刃も全てが黒氷で出来た剣が空中に現れ、エヴァの手中に収まる。
「この力は……面白くなんかない」
毒大蛇を纏っているゼノンも今のエヴァが先程までのエヴァと同じではない事を悟る。
「この力を使うにゃ丁度いい相手かもなァ!」
毒で出来た巨腕がエヴァを殴らんと迫る。
黒氷剣を持たない右手を前に突き出すと、背中近くを浮遊していた盾のうち一つがエヴァの前に出てその拳をガードする。ただの氷よりも頑丈な黒氷で出来た盾はその程度ではヒビすら入らない。しかし、毒大蛇の毒は今までの毒よりも強い。
プシュっと嫌な音がして盾が腐敗して崩れ落ち、使い物にならなくなってしまう。
「やるね」
「まだまだこれからだぜェ?」
リュウの両手から放たれた竜の魔力は散弾の様に細かく分かれ、地面に落下。盗賊達を吹き飛ばす。
その背中にサエの姿は無く、リュウ一人で盗賊団を相手にしている。そして襲撃しているのは北を包囲している盗賊達。そこにはラファームとエレノア公爵支部の支部長を除いた三人の支部長が勢揃いしていたのだ。
「こっちまで来てみろ!」
敵を煽りながら空を飛び、リュウは更に北、包囲網の外を目指す。
攻撃されて黙っている盗賊達ではなく、支部長を筆頭にそれを追いかける。が、これこそがリュウ達の作戦。包囲網を更に北へ進んだ所には一本の川が流れており、サエは既にそこで待機していた。
「さぁ、行くわよ!」
川の水が持ち上がり、その頂点にはサエが立っている。リュウも合流し、盗賊団を迎え撃つ。
一斉に走ってくる盗賊団の先頭を走っているのが支部長だろう。強い反応を三つ、リュウが感知した。
「この数相手にしきれるかな……?」
「今から弱気言ってんじゃないわよ。やるしかないんだから」
「わ、わかってるけど……」
やる気なサエに対し、リュウは若干不安げだ。とはいえ、そんなことを言っていても相手は来るもので……
「行くぞ。我々支部長の力、見せてくれよう!」
「行くわよ……土術奥義 三頭大蛇!」
「爆炎術 炎怨龍鬼桜」
「波術 神水起講」
一人が地中から巨大な土の蛇を三頭作り出す。三人の支部長はその真ん中の蛇の頭に乗り、両サイドを進む蛇に魔術をかける。強力な爆炎術と波術で、大蛇はかたや炎蛇となり、かたや水蛇となる。
これも一種の複合魔術で、支部長というだけはあり威力も強力だ。
「あの水の方、やれる?」
「ま、任せて……多分サラマンダーで行ける」
「頼むわよ。私は炎のほうやるから……そういえば、私って技名とかないのよね。基本水操ってぶつけるだけだから 何か考えてくれない?」
「え……そんな難しい事こんな局面で言う?」
「いいから考えなさいよ」
「…………激流龍咆哮とかは?」
「あんたと被るじゃない」
「じゃあ俺に言わないでよ!」
「まぁいいわ。有り難くその名前貰うことにする」
「あ、そう。それは良かった……ってすぐそこまで来てる!?」
「行くわよ 激流龍咆哮!」
「火竜砲」
サエの操った川の水が炎蛇にぶつかり、鎮火。そして土を粉砕し無力化する。リュウの手の平から繰り出された超火力火炎放射も水を蒸発させて土を崩していく。
「な、何なんだあいつら!?」
「ウェヌス盗賊団に手を出すだけのことはある……!」
「食らいなさい……この外道達がぁ!!」
川の水をまるで巨大な鞭のように操り、盗賊団と支部長達を一気に流していく。サエの支配下から解放されたあとも暫く渦潮のように回転し、団員達の体力を一気に奪う。
「我龍殲滅弾!」
そこへリュウのカノンが降り注ぎ、北の包囲は一瞬にして解かれることとなる。
「あ……」
いきなり魔力を使いすぎて足場にしていた水が重力に従って落ち、サエも身を投げ出されたが、間一髪のところでリュウがキャッチする。
「あ、ありがと」
「大丈夫?」
「大丈夫よ。ていうかチクチクするわ 離れて」
「それは仕方なくない!?」
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