最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
170話 至天破邪剣征流、炸裂!
「なんの騒ぎですか?」
忙しく廊下を走る団員達の中から一人を捕まえ、パンツェが話しかける。
「パンツェ様! 一人の男が正面から侵入してきたそうです!」
「正面から?……わかりました 私からラファーム様に伝えておきます。今すぐ迎撃にあたってください」
「はっ!」
団員はすぐに走り去っていき、パンツェも地下へ向かう。
◇
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ……ハァ……あぐっ……ぎゃぁぁっ……!!」
サエがアルバレス支部へ来て二日目になるその日も拷問部屋で拘束され、ひたすら痛みを与えられていた。
「昨日よりも元気ですなぁ、プリティガール。今日もたっぷり……」
「ラファーム様」
下衆な笑みを浮かべながらサエを眺めていたラファームの元へパンツェがやってくる。要件は侵入者に関してだ。
「そんなものはお前達でどうにかしろ。たかが一人、警戒する程でもないだろう」
「わかりました。では、行ってまいります。もしもの時は……」
「くどいな! 逆にお前はたった一人にこの支部が落とされると?」
「いえ、失言でした」
「わかればいいんだ。さっさと行け!」
「……はい」
パンツェは納得していないようだったが、渋々といった感じで部屋を出ていった。
「さぁて、今日もまだまだ長いよ?」
◇
「撃て!!」
号令と共にレオを取り囲む団員達から一斉に矢が放たれる。
円形に囲まれている為逃げ場はない。おまけにアジトの中からも狙われている為、上にジャンプして避けたとしてもすぐにやられてしまう。
「至天破邪剣征流 相殺の型 『幻像実斬』!」
抜刀の構えを取ったまま動かないレオを矢が撃ち抜く。が、レオの体は煙のように歪み、矢を貫通させた。
矢はそれぞれ反対側にいた団員に当たり、仲間同士で打ち合う結果となってしまった。
「なに……うがぁ」
更に号令をかけていた団員も煙のように現れたレオによって斬り伏せられる。
「こんなもんか?」
とはいえ盗賊団というだけはあって数は膨大。未だ何十、何百という数の団員達に取り囲まれている。
「至天破邪剣征流 相殺の型……」
「一斉にかかれー!」
一人の合図で全員が一斉にレオを討ち取らんと駆け出す。
「『龍驤虎視』!」
レオから黒い霧のようなものが吹き出し、虎と龍を象る。とてつもない圧を放ちながら吠える虎と龍を見、団員達は一歩踏みとどまる。
「突破の型 『虎武璃・再再』」
瞬間移動に近い速度でレオは姿が消え、団員達は龍驤虎視に注目が集まっていた事もあってレオを見失った。
「うぎゃぁ!」
団員達がどこに行ったと辺りを見渡していると、突然その中の一人が体から血を吹き出し、倒れた。なんの前触れもなく、突然だ。よくよく見ると切り傷がついており、何かに切られた事だけがわかる。
「うぐぁ……」
「がふ……」
「な、なんなんだ……」
それから次々に団員達が斬られていく。完全にランダムで、あっちで斬られたかと思ったらこっちで斬られ……前触れがないだけに避けることも叶わず、どうすることも出来ずに団員達は斬り伏せられる。
この『虎武璃・再再』という技は、俊足の居合『虎武璃』を何度も何度も行う技で、『麒麟駆け』と違い完全にコントロールを失った無差別斬雨を行う。
まさに雨の如く斬り裂く技だ。
「落ち着け! いずれ止まる。落ち着くんだ!」
その男が言った通りでこの技はある程度したらどうしても動きが止まってしまう。それは姿を消す程の動きで飛び回っている事が大きい。案の定暫く無差別攻撃が続いた後、再びレオは姿を表した。
地面を滑るように現れたレオは抜刀の構えを取りながら膝を付き、荒い息をついている。
「多少は減ったか?」
◇
「何者ですか……あれは……」
アジト内から戦闘の様子を見ていたパンツェは驚愕を隠せなかった。
アジト前で戦っている侵入者は四方八方から迫ってくる団員を斬り伏せ、全方位から飛んでくる矢を撃ち落としている。その動きは傍から見ても人間離れしている。
「隊長?」
侵入者排除の為に集まった〈猿狩り〉メンバーも初めて見るパンツェの表情に侵入者の強さを再確認する。
「確かに驚くべき力ではある。が、問題ではない。有象無象の雑魚相手に力を振るっているだけでは真の強者とは言えない」
そこへ依頼人に扮していたオルセイン、ダーリア、カーミンの三人が現れた。今は本来の格好に戻っている為、三人とも腰に剣をさし、フレアコートを着ている。
この三人は現在はアルバレス支部長ラファームの元で動いているが、元々は本部で活動する三人組だ。その強さは団長、副団長に次ぐ三番手とも言われている。とはいえ副団長から上が強すぎて、差はかなり大きいが。
「オルセイン……私達も行きますよ」
「見ているだけになるでしょうがね」
忙しく廊下を走る団員達の中から一人を捕まえ、パンツェが話しかける。
「パンツェ様! 一人の男が正面から侵入してきたそうです!」
「正面から?……わかりました 私からラファーム様に伝えておきます。今すぐ迎撃にあたってください」
「はっ!」
団員はすぐに走り去っていき、パンツェも地下へ向かう。
◇
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ……ハァ……あぐっ……ぎゃぁぁっ……!!」
サエがアルバレス支部へ来て二日目になるその日も拷問部屋で拘束され、ひたすら痛みを与えられていた。
「昨日よりも元気ですなぁ、プリティガール。今日もたっぷり……」
「ラファーム様」
下衆な笑みを浮かべながらサエを眺めていたラファームの元へパンツェがやってくる。要件は侵入者に関してだ。
「そんなものはお前達でどうにかしろ。たかが一人、警戒する程でもないだろう」
「わかりました。では、行ってまいります。もしもの時は……」
「くどいな! 逆にお前はたった一人にこの支部が落とされると?」
「いえ、失言でした」
「わかればいいんだ。さっさと行け!」
「……はい」
パンツェは納得していないようだったが、渋々といった感じで部屋を出ていった。
「さぁて、今日もまだまだ長いよ?」
◇
「撃て!!」
号令と共にレオを取り囲む団員達から一斉に矢が放たれる。
円形に囲まれている為逃げ場はない。おまけにアジトの中からも狙われている為、上にジャンプして避けたとしてもすぐにやられてしまう。
「至天破邪剣征流 相殺の型 『幻像実斬』!」
抜刀の構えを取ったまま動かないレオを矢が撃ち抜く。が、レオの体は煙のように歪み、矢を貫通させた。
矢はそれぞれ反対側にいた団員に当たり、仲間同士で打ち合う結果となってしまった。
「なに……うがぁ」
更に号令をかけていた団員も煙のように現れたレオによって斬り伏せられる。
「こんなもんか?」
とはいえ盗賊団というだけはあって数は膨大。未だ何十、何百という数の団員達に取り囲まれている。
「至天破邪剣征流 相殺の型……」
「一斉にかかれー!」
一人の合図で全員が一斉にレオを討ち取らんと駆け出す。
「『龍驤虎視』!」
レオから黒い霧のようなものが吹き出し、虎と龍を象る。とてつもない圧を放ちながら吠える虎と龍を見、団員達は一歩踏みとどまる。
「突破の型 『虎武璃・再再』」
瞬間移動に近い速度でレオは姿が消え、団員達は龍驤虎視に注目が集まっていた事もあってレオを見失った。
「うぎゃぁ!」
団員達がどこに行ったと辺りを見渡していると、突然その中の一人が体から血を吹き出し、倒れた。なんの前触れもなく、突然だ。よくよく見ると切り傷がついており、何かに切られた事だけがわかる。
「うぐぁ……」
「がふ……」
「な、なんなんだ……」
それから次々に団員達が斬られていく。完全にランダムで、あっちで斬られたかと思ったらこっちで斬られ……前触れがないだけに避けることも叶わず、どうすることも出来ずに団員達は斬り伏せられる。
この『虎武璃・再再』という技は、俊足の居合『虎武璃』を何度も何度も行う技で、『麒麟駆け』と違い完全にコントロールを失った無差別斬雨を行う。
まさに雨の如く斬り裂く技だ。
「落ち着け! いずれ止まる。落ち着くんだ!」
その男が言った通りでこの技はある程度したらどうしても動きが止まってしまう。それは姿を消す程の動きで飛び回っている事が大きい。案の定暫く無差別攻撃が続いた後、再びレオは姿を表した。
地面を滑るように現れたレオは抜刀の構えを取りながら膝を付き、荒い息をついている。
「多少は減ったか?」
◇
「何者ですか……あれは……」
アジト内から戦闘の様子を見ていたパンツェは驚愕を隠せなかった。
アジト前で戦っている侵入者は四方八方から迫ってくる団員を斬り伏せ、全方位から飛んでくる矢を撃ち落としている。その動きは傍から見ても人間離れしている。
「隊長?」
侵入者排除の為に集まった〈猿狩り〉メンバーも初めて見るパンツェの表情に侵入者の強さを再確認する。
「確かに驚くべき力ではある。が、問題ではない。有象無象の雑魚相手に力を振るっているだけでは真の強者とは言えない」
そこへ依頼人に扮していたオルセイン、ダーリア、カーミンの三人が現れた。今は本来の格好に戻っている為、三人とも腰に剣をさし、フレアコートを着ている。
この三人は現在はアルバレス支部長ラファームの元で動いているが、元々は本部で活動する三人組だ。その強さは団長、副団長に次ぐ三番手とも言われている。とはいえ副団長から上が強すぎて、差はかなり大きいが。
「オルセイン……私達も行きますよ」
「見ているだけになるでしょうがね」
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