最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
139話 反撃の狼煙
「だいしけいたい……?」
第二形態よりも筋肉は盛り上がり、体は一回り大きくなっている。背中から腕よりも細い触手が十本以上生えており、その先端には尖った骨のような爪が付いている。見た目は第二形態に近いが全身に白いラインが入り、鼓動に合わせて脈を打っている。一番変わったのは目。大きく一つしかなかった目は蜘蛛のように右に四つ、左に四つずつの計八個にまで増えている。
体長は三メートルはあるだろうか。背中に生えた触手も伸縮自在。雨刃とかなり近い戦い方をするのだろう。
コレと長期戦はまずい。まず相手側の攻撃をどれだけ凌げるかわからない。ここは一撃で決めるしか、ない……!
「……数秒時間を稼いでくれ!」
「わかりんした!」
「……我流 虎ノ太刀!熊ノ太刀!」
俺はシュデュンヤーを鞘にしまい、居合いの構えを取る。さっきは風陣牢に邪魔されたが、次こそ仕留める。
「きゃっ……」
「う……ぐ……」
炎斬の連続攻撃も全て防がれ、逆に弾き飛ばされている。シエラの矢も効果は無いらしい。
少し見ただけだが、少なくとも第二形態の硬さと第一形態の再生力は兼ね備えてる。その両方を上回る一撃を……
「雷帝流奥義!」
「ギャグガァァ!」
アンノウンは背中の触手でリンリを弾き飛ばし、俺を狙って一直線に触手を伸ばす。
「赤……」
「マァ待テ。ソウイウ必殺技ヲ使ウノハモット盛リ上ガッテカラダゼ」
あと寸前の所で踏み出していた俺の肩にポンッと手を置いて止めたのは謎の消失を遂げていた雨刃だ。
迫ってくる触手を片手で操っている二十本の片手剣で受け止め、更には触手を斬り裂き地面に落とす。斬られた触手はすぐに新しく生えたが、雨刃に警戒してるのか攻撃しては来ない。
「……どこ行ってたんだよ」
俺は自分でも情けないほど脱力した声で尋ねる。
二度の雷化・天装衣と紫電一閃。その他にも長期戦の中、魔力を使いすぎたせいだろう。安心した途端体からヘナヘナと力が抜けていく。
シエラも吹き飛ばされたリンリを介抱して雨刃の後ろまで下がってきた。一先ずは安全だ。雨刃が居れば無理にアレを使うという賭けに出なくてもなんとかなる。
「チョット絡マレテナ」
雨刃がマントを広げるとドサッという音と共に一人の女が地面に倒れた。
全身についた切り傷と口の端から泡を吹いていることから、雨刃を襲ったが返り討ちにあったと言うことか。
「一言ぐらい声をかけてくれれば良かったのに」
「コイツノ異能ダカナンダカ知ラネーガ、姿モ声モ匂イモ隠蔽する技ヲ持ッテテナ
俺モソノ技ニカケラレタンダ」
「……よく勝てたな」
「技ニカケラレタ者同士ハ見エルラシイゾ」
「へぇ……」
「し、色彩魔女まデ……エンデルも死んダと聞いタ。結局残ッたのはオレぇだけカよ」
「アイツ喋レタノカ」
「気を付けろ、気持ち悪い姿だが強い」
「ワカッテル、サッ!」
雨刃の言葉と共にアンノウンと雨刃が一斉に動いた。
目の前に一瞬光が走り、火花が散る。一瞬の間に雨刃の片手剣とアンノウンの触手がぶつかったのだ。
「十本ジャ互角カ……相手ノ触手ハ数ニシテ十六。ダッタラコッチハ三十ダ」
目にも止まらぬ速度でぶつかり合う触手と片手剣。アンノウンもよくあの雨刃についていけるな……
その一瞬一瞬を垣間見えるがパワー的には互角。速度至っては雨刃が若干押されている。
「チィ、速エナ」
「速度で言えばおそらく雷化・天装衣を使った時の俺と同じぐらいはあるぞ」
「厄介厄介。俺ノ必殺技デモ使ウカ」
「遂に思いついたのか?」
「アア、出発スル直前ニナ。オラヨット」
更に数を増やし五十本に至る片手剣に圧倒され、いくらアンノウンでも本体に攻撃を食らってしまっている。とはいえその傷も瞬時に塞がるため大した打撃にはなっていない。
「再生速度ガ速スギルナ。オ前ラ三人ノ力ヲ借リナイト厳シイ、準備シテクレ」
「何か作戦があるでありんすか?」
「マァ、取リ敢エズハ見テロ」
満を持して百本の片手剣を操作し、雨刃が攻める。
一本でアンノウンの触手を受け止め、他の片手剣が触手を斬り刻む。それでも追いつく程再生は速いが、そもそも数が多すぎて全身を斬り刻まれてしまっている。何本もの片手剣で斬られた腕や脚は切断されるが、それでもすぐさま再生する為ジリ貧である。
「コイツノ再生速度ハホボ瞬間再生ニ近イ。ソノ上コウイウタイプハ核ヲ破壊サレナイ限リハ無尽蔵ニ再生スル」
「じゃあその核を潰せば……」
「奴ノ体ノ中デモ特ニ硬イ部分ハ頭ト胴。ソコヲ炙リ出セレバ……」
「俺の技なら頭に当てて胴まで吹き飛ばせる。ただ少し溜めが要る」
「……ワカッタ。他ノ二人は一瞬デイイ、アイツヲ抑エテクレ」
「了解でありんす」
「わかりました!」
雨刃は両手を広げ、それに合わせて百本の片手剣もアンノウンから離れる。この一瞬が勝負。
俺はシュデュンヤーを抜刀の形で構える。
第二形態よりも筋肉は盛り上がり、体は一回り大きくなっている。背中から腕よりも細い触手が十本以上生えており、その先端には尖った骨のような爪が付いている。見た目は第二形態に近いが全身に白いラインが入り、鼓動に合わせて脈を打っている。一番変わったのは目。大きく一つしかなかった目は蜘蛛のように右に四つ、左に四つずつの計八個にまで増えている。
体長は三メートルはあるだろうか。背中に生えた触手も伸縮自在。雨刃とかなり近い戦い方をするのだろう。
コレと長期戦はまずい。まず相手側の攻撃をどれだけ凌げるかわからない。ここは一撃で決めるしか、ない……!
「……数秒時間を稼いでくれ!」
「わかりんした!」
「……我流 虎ノ太刀!熊ノ太刀!」
俺はシュデュンヤーを鞘にしまい、居合いの構えを取る。さっきは風陣牢に邪魔されたが、次こそ仕留める。
「きゃっ……」
「う……ぐ……」
炎斬の連続攻撃も全て防がれ、逆に弾き飛ばされている。シエラの矢も効果は無いらしい。
少し見ただけだが、少なくとも第二形態の硬さと第一形態の再生力は兼ね備えてる。その両方を上回る一撃を……
「雷帝流奥義!」
「ギャグガァァ!」
アンノウンは背中の触手でリンリを弾き飛ばし、俺を狙って一直線に触手を伸ばす。
「赤……」
「マァ待テ。ソウイウ必殺技ヲ使ウノハモット盛リ上ガッテカラダゼ」
あと寸前の所で踏み出していた俺の肩にポンッと手を置いて止めたのは謎の消失を遂げていた雨刃だ。
迫ってくる触手を片手で操っている二十本の片手剣で受け止め、更には触手を斬り裂き地面に落とす。斬られた触手はすぐに新しく生えたが、雨刃に警戒してるのか攻撃しては来ない。
「……どこ行ってたんだよ」
俺は自分でも情けないほど脱力した声で尋ねる。
二度の雷化・天装衣と紫電一閃。その他にも長期戦の中、魔力を使いすぎたせいだろう。安心した途端体からヘナヘナと力が抜けていく。
シエラも吹き飛ばされたリンリを介抱して雨刃の後ろまで下がってきた。一先ずは安全だ。雨刃が居れば無理にアレを使うという賭けに出なくてもなんとかなる。
「チョット絡マレテナ」
雨刃がマントを広げるとドサッという音と共に一人の女が地面に倒れた。
全身についた切り傷と口の端から泡を吹いていることから、雨刃を襲ったが返り討ちにあったと言うことか。
「一言ぐらい声をかけてくれれば良かったのに」
「コイツノ異能ダカナンダカ知ラネーガ、姿モ声モ匂イモ隠蔽する技ヲ持ッテテナ
俺モソノ技ニカケラレタンダ」
「……よく勝てたな」
「技ニカケラレタ者同士ハ見エルラシイゾ」
「へぇ……」
「し、色彩魔女まデ……エンデルも死んダと聞いタ。結局残ッたのはオレぇだけカよ」
「アイツ喋レタノカ」
「気を付けろ、気持ち悪い姿だが強い」
「ワカッテル、サッ!」
雨刃の言葉と共にアンノウンと雨刃が一斉に動いた。
目の前に一瞬光が走り、火花が散る。一瞬の間に雨刃の片手剣とアンノウンの触手がぶつかったのだ。
「十本ジャ互角カ……相手ノ触手ハ数ニシテ十六。ダッタラコッチハ三十ダ」
目にも止まらぬ速度でぶつかり合う触手と片手剣。アンノウンもよくあの雨刃についていけるな……
その一瞬一瞬を垣間見えるがパワー的には互角。速度至っては雨刃が若干押されている。
「チィ、速エナ」
「速度で言えばおそらく雷化・天装衣を使った時の俺と同じぐらいはあるぞ」
「厄介厄介。俺ノ必殺技デモ使ウカ」
「遂に思いついたのか?」
「アア、出発スル直前ニナ。オラヨット」
更に数を増やし五十本に至る片手剣に圧倒され、いくらアンノウンでも本体に攻撃を食らってしまっている。とはいえその傷も瞬時に塞がるため大した打撃にはなっていない。
「再生速度ガ速スギルナ。オ前ラ三人ノ力ヲ借リナイト厳シイ、準備シテクレ」
「何か作戦があるでありんすか?」
「マァ、取リ敢エズハ見テロ」
満を持して百本の片手剣を操作し、雨刃が攻める。
一本でアンノウンの触手を受け止め、他の片手剣が触手を斬り刻む。それでも追いつく程再生は速いが、そもそも数が多すぎて全身を斬り刻まれてしまっている。何本もの片手剣で斬られた腕や脚は切断されるが、それでもすぐさま再生する為ジリ貧である。
「コイツノ再生速度ハホボ瞬間再生ニ近イ。ソノ上コウイウタイプハ核ヲ破壊サレナイ限リハ無尽蔵ニ再生スル」
「じゃあその核を潰せば……」
「奴ノ体ノ中デモ特ニ硬イ部分ハ頭ト胴。ソコヲ炙リ出セレバ……」
「俺の技なら頭に当てて胴まで吹き飛ばせる。ただ少し溜めが要る」
「……ワカッタ。他ノ二人は一瞬デイイ、アイツヲ抑エテクレ」
「了解でありんす」
「わかりました!」
雨刃は両手を広げ、それに合わせて百本の片手剣もアンノウンから離れる。この一瞬が勝負。
俺はシュデュンヤーを抜刀の形で構える。
コメント
330284【むつき・りんな】
さっさと、必殺技みせてくれ〜〜