最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
122話 勝負あり
ありえない程の集中力で繰り出した技はアジェンダの巨斧によって防がれたが、その威力を殺すことは出来ず、背後の木々を叩き斬った。
「こんな技、今まで見たことない……」
「恐ラクハ居合ノ最終形……威力ト速度ヲ極限マデ高メタ必殺技ト言ウワケダ」
「んんん! 良いわねぇ良いわねぇ。アジェンダが先手を取られるなんて!」
三つの型と多彩な技を持つレオに対し、アジェンダは特に技という技もなく、その斧さばきが一番の攻撃手段だ。
どちらかといえばレオに分があるような気がする。
「……ハァッ!!」
「ク……フッ!」
レオとアジェンダは既に三度打ち合っている。
だが、力は均衡。少しアジェンダが押している様にも見えるが、レオは得意の身体能力で上手く流している。
「至天破邪剣征流 突破の型 『突き立てる牙』!!」
「……クッ……フン!」
レオの突きを斧の腹で受け止めたアジェンダはそれを弾き飛ばし、ありえない速度で回転。そのまま斬り込む。
「至天……フ……」
技を出そうとするも速過ぎる斧の攻撃に間に合わず、慌てて受け身を取る。
全長二メートルは超えるほどの巨大な斧を、防御する間もなく振るうアジェンダの身体能力はどうなってるんだろう。
「まだまだ行くよ!」
「く……速い……」
スピードもパワーも兼ね備えて攻めるレオが両方においてアジェンダに押されてる。身体能力も互角かと思ったが、アジェンダの方が速いし力も強いな。
この三年でまた腕を上げたのかも。
「この間のゴブリン事件の時も思ったが、レオの抜刀術は私が知ってる物とはやはり違うな」
いつの間にやら隣で座っていたリンが考え込むようにレオを見ていた。
「そういえばリンも刀を使うんだよな。大和出身だったのか?」
「ああ、そうだ。だが、私は抜刀術は好きじゃなくてな。あまり使わないんだが、あんな抜刀術は見たことすらない」
「大和の中にも色々な流派があるんだな」
「この大陸にも剣術なら豪傑流、疾風流、神明流。魔術なら炎術、水術、土術……と色々あるだろう?」
「確かに……」
「あの至天破邪剣征流という流派……見た感じでは一点火力の突破型、回避防御の相殺型、多数撃破の薙払型……攻防隙きのない流派だ」
「それだけ会得も難しいって言ってたぜ」
「それはそうだろうけど……そんな流派があればもっと広まっていると思うんだ。大和に伝わる流派は基本的に流派ごとに回避の流派や攻撃の流派って別れてるしな」
「そうなのか?」
「うむ……一流派で……ブツブツブツブツ」
腑に落ちないらしいな。
リンの流派はどんなのなんだろう?……聞きたいけどブツブツ言ってるしあとにしよう。
「クッ……」
お、リンと話してる間に勝負がついたらしい。
二代銀月が地面に突き刺さり、アジェンダの斧がレオの頭上で止められている。雨刃の片手剣に。
やっぱりまだオリハルコン級には勝てないよな。俺もアジェンダには勝てそうにない。
「んんん!いい勝負だったわ!」
「最後、危ナカッタナ。レオ」
「ああ、実力不足を思い知らされた。少し森に入ってくる」
と、そのままスタスタ森に向かってしまった。
ん? なんだろう。レオの後ろを赤い何かが付いて行ってるような……遠すぎて見えない。
まぁいいか。
「少しは自信が戻ったか? アジェンダ」
「うん! こんなに集中した戦いは久々だったよ」
「それは良かった」
「さ、今夜は騒ぎましょ!」
「ソレハ此処ニ迷惑ジャナイカ?」
「ブツブツ……ブツブツ……」
「気にしたら負けよ!」
「気にしないと負けだと思うボーン」
「あ、悪い。俺用事があるから先に戻っててくれ」
「……? ワカッタ」
「早く戻ってきてねん!」
「待ってるボーン」
「ああ!」
俺は一人ブルーバードを離れ、レオが入っていったのとは別の方向の森へ近づく。あまり近くでやると目立つからな。ここなら人目もないし、見られる心配もないだろう。
「開け! 地獄の鍵よ! 地獄へ導け!」
◇
黒い光に包まれたあと、目を開けると黒い宮殿がそびえ立っていた。久しぶりに見た地獄、ハデスの神殿だ。相変わらず空は暗いし地面は黒いし川は赤いな。
「アオォォォォン」
「キャンキャン」
「バフバフ」
「グルルルゥ」
宮殿へ入ろうとした俺を出迎えたのは白い巨犬……もといジャイアントウルフのアルギュロス。
そして普通のウルフより大きいウルフが三匹。一匹は黒い一本首、一匹は白い二本首、一匹は白い三本首と中々に個性派揃いだ。
「久しぶりだな アルギュロス」
「お久しぶりでございます、主」
「キャンキャン」
「この子達は?」
「その……我とアリサの……ぽっ」
ぽっ……って。お前そんなキャラだっけか。
「主は、どうして地獄へ?」
「少しハデスに用事があってな」
「こんな技、今まで見たことない……」
「恐ラクハ居合ノ最終形……威力ト速度ヲ極限マデ高メタ必殺技ト言ウワケダ」
「んんん! 良いわねぇ良いわねぇ。アジェンダが先手を取られるなんて!」
三つの型と多彩な技を持つレオに対し、アジェンダは特に技という技もなく、その斧さばきが一番の攻撃手段だ。
どちらかといえばレオに分があるような気がする。
「……ハァッ!!」
「ク……フッ!」
レオとアジェンダは既に三度打ち合っている。
だが、力は均衡。少しアジェンダが押している様にも見えるが、レオは得意の身体能力で上手く流している。
「至天破邪剣征流 突破の型 『突き立てる牙』!!」
「……クッ……フン!」
レオの突きを斧の腹で受け止めたアジェンダはそれを弾き飛ばし、ありえない速度で回転。そのまま斬り込む。
「至天……フ……」
技を出そうとするも速過ぎる斧の攻撃に間に合わず、慌てて受け身を取る。
全長二メートルは超えるほどの巨大な斧を、防御する間もなく振るうアジェンダの身体能力はどうなってるんだろう。
「まだまだ行くよ!」
「く……速い……」
スピードもパワーも兼ね備えて攻めるレオが両方においてアジェンダに押されてる。身体能力も互角かと思ったが、アジェンダの方が速いし力も強いな。
この三年でまた腕を上げたのかも。
「この間のゴブリン事件の時も思ったが、レオの抜刀術は私が知ってる物とはやはり違うな」
いつの間にやら隣で座っていたリンが考え込むようにレオを見ていた。
「そういえばリンも刀を使うんだよな。大和出身だったのか?」
「ああ、そうだ。だが、私は抜刀術は好きじゃなくてな。あまり使わないんだが、あんな抜刀術は見たことすらない」
「大和の中にも色々な流派があるんだな」
「この大陸にも剣術なら豪傑流、疾風流、神明流。魔術なら炎術、水術、土術……と色々あるだろう?」
「確かに……」
「あの至天破邪剣征流という流派……見た感じでは一点火力の突破型、回避防御の相殺型、多数撃破の薙払型……攻防隙きのない流派だ」
「それだけ会得も難しいって言ってたぜ」
「それはそうだろうけど……そんな流派があればもっと広まっていると思うんだ。大和に伝わる流派は基本的に流派ごとに回避の流派や攻撃の流派って別れてるしな」
「そうなのか?」
「うむ……一流派で……ブツブツブツブツ」
腑に落ちないらしいな。
リンの流派はどんなのなんだろう?……聞きたいけどブツブツ言ってるしあとにしよう。
「クッ……」
お、リンと話してる間に勝負がついたらしい。
二代銀月が地面に突き刺さり、アジェンダの斧がレオの頭上で止められている。雨刃の片手剣に。
やっぱりまだオリハルコン級には勝てないよな。俺もアジェンダには勝てそうにない。
「んんん!いい勝負だったわ!」
「最後、危ナカッタナ。レオ」
「ああ、実力不足を思い知らされた。少し森に入ってくる」
と、そのままスタスタ森に向かってしまった。
ん? なんだろう。レオの後ろを赤い何かが付いて行ってるような……遠すぎて見えない。
まぁいいか。
「少しは自信が戻ったか? アジェンダ」
「うん! こんなに集中した戦いは久々だったよ」
「それは良かった」
「さ、今夜は騒ぎましょ!」
「ソレハ此処ニ迷惑ジャナイカ?」
「ブツブツ……ブツブツ……」
「気にしたら負けよ!」
「気にしないと負けだと思うボーン」
「あ、悪い。俺用事があるから先に戻っててくれ」
「……? ワカッタ」
「早く戻ってきてねん!」
「待ってるボーン」
「ああ!」
俺は一人ブルーバードを離れ、レオが入っていったのとは別の方向の森へ近づく。あまり近くでやると目立つからな。ここなら人目もないし、見られる心配もないだろう。
「開け! 地獄の鍵よ! 地獄へ導け!」
◇
黒い光に包まれたあと、目を開けると黒い宮殿がそびえ立っていた。久しぶりに見た地獄、ハデスの神殿だ。相変わらず空は暗いし地面は黒いし川は赤いな。
「アオォォォォン」
「キャンキャン」
「バフバフ」
「グルルルゥ」
宮殿へ入ろうとした俺を出迎えたのは白い巨犬……もといジャイアントウルフのアルギュロス。
そして普通のウルフより大きいウルフが三匹。一匹は黒い一本首、一匹は白い二本首、一匹は白い三本首と中々に個性派揃いだ。
「久しぶりだな アルギュロス」
「お久しぶりでございます、主」
「キャンキャン」
「この子達は?」
「その……我とアリサの……ぽっ」
ぽっ……って。お前そんなキャラだっけか。
「主は、どうして地獄へ?」
「少しハデスに用事があってな」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
58
-
-
969
-
-
361
-
-
52
-
-
17
-
-
63
-
-
140
-
-
75
-
-
2
コメント