最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
97話 想像以上
「な、何なんだ……」
さっきまで天に向けて切り立っていた岩山は崩れ、ゴブリンの巣は潰れた。岩山があった場所の地面は沈下し、巨大なクレーターの様になっている。
所々から緑色の手や足が瓦礫から突き出している事からさっきまで居た空洞だと言う事は辛うじてわかる。
「レオ! ディーナスやエヴァを頼むぞ」
「何をするんだ?」
「確認したいことがある!」
俺は沈下した地面を観察する。なぜいきなり……いや、おおよそ雨刃かリンが、またはあのオークが何かしたんだろう。
ならあの二人は普通に考えれば瓦礫の下。まさかそのまま下敷きになんてなってないはず。どこに行った……?
「おいっ!! 雨刃!! リン!!」
声は反響するのみで返事は無い……いや、今、石ころが動いたような。
再びカタカタっと石ころが動き……クレーターの中心部分の瓦礫が飛び、下から手が突き出される。
すぐにもう一方も手も瓦礫から抜け、その上半身が露になる。
赤色の皮膚。人間ではありえない筋肉量。頭部の角は二本の内一本かけてしまっている。全身から血を流し、荒い息を吐いてはいるが未だ健在。皇帝鬼……伝説級に匹敵する化物。
「仕留め残ってるじゃねーか……雨刃」
それだけじゃない。
エンペラーオーガを筆頭にホブやスペルも瓦礫の下から這い出てきている。
「やってくれたな、針鼠男……小鬼は全滅か。ホブも半数はやられたし、ロードも死んだな。スペルは何体か無事だが、ほぼ全滅か」
エンペラーオーガは自分の周りにいるゴブリン達の総数を数えながら呟いている。
全身の傷は既に修復が始まり、少しずつ力を取り戻している。完全に取り戻す前に勝負を決めたい所だが……
「しかしまぁ、良いとするか。あの針鼠男の代わりがそこにいるからな」
エンペラーオーガはキッと俺を睨みつけニンマリと笑う。その瞬間俺の全身に恐怖が走る。これが、伝説級にも匹敵する魔物の威圧。
空洞の中で会った時は力も未知数で雨刃も居た。何よりここまで直接的な威圧は無かった。
だが、今あいつは瓦礫の中から這い出てくるだけでなく全くものともせずに次の獲物を狙っている。こいつは……今殺さなければまずい!!
「雷術奥義 雷化・天装衣!!」
雷化と同時に駆け抜け、テンペスターとシュデュンヤーを抜き、テンペスターに雷を纏わせ、赤巨鬼に穿つ。
「雷帝流 雷撃一閃・突」
一直線に放たれた雷はエンペラーオーガの腕に当たると爆散し全身に電流を流す。
ほんの一瞬……一秒にも満たない時間ではあったが、麻痺によりエンペラーオーガの動きを止めた。俺は雷そのもの……一秒もあれば、余裕であいつに一撃入れれる!!
「神鳴術 神鳴放電砲」
エンペラーオーガの背後に回り込み、シュデュンヤーとテンペスターから雷撃大砲以上の高電圧で雷を放つ。
雷は激しい音を立てながら爆発し、辺り一帯に静電気を撒き散らす。だが、これで安心はしない。この程度で倒れる敵なら、さっきの崩落で死んでいる。
「雷帝流 稲妻剣!! 雷鋼剣・獄!! まだまだ……黒帝流 剣狼、二連剣狼、打上剣狼」
エンペラーオーガの周りを回りながら俺が使える剣技を叩き込む。
「この技はレオから学んだ……連撃は進化する!!」
エンペラーオーガの正面で足を止め、今一度両手に力を込める。レオ、お前の技『麒麟駆け』……もらうぞ。
「雷帝流……」
右手には白き雷を……左手には黒き雷を。敵を滅す……白黒の連撃剣。
「……白黒雷多連斬撃・獄」
殆ど適当。型も技もあったものじゃない。だが、俺は両刀を振るい、休む間もなくエンペラーオーガに剣を叩き込む。白と黒が入り混じり、目にも止まらぬスピードを生む。
「おらぁぁぁぁ!!」
テンペスターとシュデュンヤーを重ねた一太刀を最後に、俺の動きは止まった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
まるで、世界の時が止まったように、俺の息以外の音が聞こえない。俺が駆け出してから一分も経っていない。
「ぐ……ぐは……」
バチバチと帯電しながらもエンペラーオーガは膝を付き、血反吐を吐く。対する俺も両剣の剣先を地面につけ、がっくりと膝を付く。
「やってくれるな……ガキ。今の連撃、針鼠男にも勝る威力であった」
頼む……このまま……倒れろ……
これ以上やるなら……あれを使わなくちゃいけない。
「だが……俺を倒すには至らない!!」
エンペラーオーガは立ち上がり、その大木の如し足で蹴りを放つ。
俺は胴をもろに蹴られ、肺から空気が漏れ、体は宙に浮き、弧を描きながら飛び、地面に落ちた。
「ぐ……ごほ……ごほっごほっ……」
何故だ……雷化・天装衣を発動している間はどんな物理攻撃も効かないはず……
なのにしっかり痛い。
「少々妙な技を使っているようだが……無駄だ」
さっきまで天に向けて切り立っていた岩山は崩れ、ゴブリンの巣は潰れた。岩山があった場所の地面は沈下し、巨大なクレーターの様になっている。
所々から緑色の手や足が瓦礫から突き出している事からさっきまで居た空洞だと言う事は辛うじてわかる。
「レオ! ディーナスやエヴァを頼むぞ」
「何をするんだ?」
「確認したいことがある!」
俺は沈下した地面を観察する。なぜいきなり……いや、おおよそ雨刃かリンが、またはあのオークが何かしたんだろう。
ならあの二人は普通に考えれば瓦礫の下。まさかそのまま下敷きになんてなってないはず。どこに行った……?
「おいっ!! 雨刃!! リン!!」
声は反響するのみで返事は無い……いや、今、石ころが動いたような。
再びカタカタっと石ころが動き……クレーターの中心部分の瓦礫が飛び、下から手が突き出される。
すぐにもう一方も手も瓦礫から抜け、その上半身が露になる。
赤色の皮膚。人間ではありえない筋肉量。頭部の角は二本の内一本かけてしまっている。全身から血を流し、荒い息を吐いてはいるが未だ健在。皇帝鬼……伝説級に匹敵する化物。
「仕留め残ってるじゃねーか……雨刃」
それだけじゃない。
エンペラーオーガを筆頭にホブやスペルも瓦礫の下から這い出てきている。
「やってくれたな、針鼠男……小鬼は全滅か。ホブも半数はやられたし、ロードも死んだな。スペルは何体か無事だが、ほぼ全滅か」
エンペラーオーガは自分の周りにいるゴブリン達の総数を数えながら呟いている。
全身の傷は既に修復が始まり、少しずつ力を取り戻している。完全に取り戻す前に勝負を決めたい所だが……
「しかしまぁ、良いとするか。あの針鼠男の代わりがそこにいるからな」
エンペラーオーガはキッと俺を睨みつけニンマリと笑う。その瞬間俺の全身に恐怖が走る。これが、伝説級にも匹敵する魔物の威圧。
空洞の中で会った時は力も未知数で雨刃も居た。何よりここまで直接的な威圧は無かった。
だが、今あいつは瓦礫の中から這い出てくるだけでなく全くものともせずに次の獲物を狙っている。こいつは……今殺さなければまずい!!
「雷術奥義 雷化・天装衣!!」
雷化と同時に駆け抜け、テンペスターとシュデュンヤーを抜き、テンペスターに雷を纏わせ、赤巨鬼に穿つ。
「雷帝流 雷撃一閃・突」
一直線に放たれた雷はエンペラーオーガの腕に当たると爆散し全身に電流を流す。
ほんの一瞬……一秒にも満たない時間ではあったが、麻痺によりエンペラーオーガの動きを止めた。俺は雷そのもの……一秒もあれば、余裕であいつに一撃入れれる!!
「神鳴術 神鳴放電砲」
エンペラーオーガの背後に回り込み、シュデュンヤーとテンペスターから雷撃大砲以上の高電圧で雷を放つ。
雷は激しい音を立てながら爆発し、辺り一帯に静電気を撒き散らす。だが、これで安心はしない。この程度で倒れる敵なら、さっきの崩落で死んでいる。
「雷帝流 稲妻剣!! 雷鋼剣・獄!! まだまだ……黒帝流 剣狼、二連剣狼、打上剣狼」
エンペラーオーガの周りを回りながら俺が使える剣技を叩き込む。
「この技はレオから学んだ……連撃は進化する!!」
エンペラーオーガの正面で足を止め、今一度両手に力を込める。レオ、お前の技『麒麟駆け』……もらうぞ。
「雷帝流……」
右手には白き雷を……左手には黒き雷を。敵を滅す……白黒の連撃剣。
「……白黒雷多連斬撃・獄」
殆ど適当。型も技もあったものじゃない。だが、俺は両刀を振るい、休む間もなくエンペラーオーガに剣を叩き込む。白と黒が入り混じり、目にも止まらぬスピードを生む。
「おらぁぁぁぁ!!」
テンペスターとシュデュンヤーを重ねた一太刀を最後に、俺の動きは止まった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
まるで、世界の時が止まったように、俺の息以外の音が聞こえない。俺が駆け出してから一分も経っていない。
「ぐ……ぐは……」
バチバチと帯電しながらもエンペラーオーガは膝を付き、血反吐を吐く。対する俺も両剣の剣先を地面につけ、がっくりと膝を付く。
「やってくれるな……ガキ。今の連撃、針鼠男にも勝る威力であった」
頼む……このまま……倒れろ……
これ以上やるなら……あれを使わなくちゃいけない。
「だが……俺を倒すには至らない!!」
エンペラーオーガは立ち上がり、その大木の如し足で蹴りを放つ。
俺は胴をもろに蹴られ、肺から空気が漏れ、体は宙に浮き、弧を描きながら飛び、地面に落ちた。
「ぐ……ごほ……ごほっごほっ……」
何故だ……雷化・天装衣を発動している間はどんな物理攻撃も効かないはず……
なのにしっかり痛い。
「少々妙な技を使っているようだが……無駄だ」
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