最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
91話 女闘士軍 アマゾネス
「巣まで来たのはいいが……」
「見張リカ居ルナ」
洞窟の前にははぐれに比べてかなり良い装備を付けたゴブリン達が居た。数は二体。
俺達は少し離れた草むらに隠れており、まだバレてはいない。奇襲は容易、数も個々の強さも俺達が勝っている。
だが慎重に……
「ココニ居テモ話ハ進マン」
……行く気はないらしい。
雨刃は右手を突き出すと、マントについていた片手剣のうち、二本がゴブリン目掛けて飛んでいく。ゴブリンは気配を察知したものの対応しきれずそのまま心臓を貫かれて死んだ。
引き抜いた片手剣を巻き戻しながら雨刃は洞窟は草むらを出る。それに俺たちも続く。ゴブリンの血が付着したままの剣を強引に巻き取り、ローブに引き戻したため、血が飛び散ってエヴァが不快そうな顔を露わにする。
「同胞、困ッタナ」
「うむ、思ったよりも小さい……」
「なんの話だ?」
「クロト達ハ普段、洞窟デ戦ウ事ハアルカ?」
「洞窟? いや、無いな」
「なら覚えておいて損はない。洞窟内では平野で戦うのとは全く勝手が違う」
「と、言うと?」
「洞窟は基本的に視界は暗い上に両サイドは岩に囲まれている。リーチの長い剣では思ったようには振れないし、動きも制限される」
なるほど……確かにな。そんな事考えもしなかったが。
「俺の剣術、レオの抜刀術は使い物にならないって事か……」
「アア、武器ヲ使ッテ戦ウノガソモソモ難シイ。俺モ全力デハ戦エナイ。同胞モ同ジグダ」
「かなり不利……だな」
「マ!負ケルヨウナ事ハ、無イト思ウガ……」
「規模がわからない以上、警戒は怠らないようにしないとね」
最悪の事態を恐れてここでくすぶっていては始まらないという結論に至り、俺達は巣の中へ入っていった。
◇
北ルート。
クロト達一行が巣の正面入り口に突入した頃、別の入り口を見つけたディーナス達も早速中へ入っていた。
流石に冒険者の話を聞いていただけあり、背後への警戒も怠らず、数体のゴブリンを倒してどんどん前へ進んで行った。
「強い魔力を感じますわ。でも……どこかゴブリンとは違うような……」
「考えても仕方にゃい。とりあえず進もう!」
「そうですわね」
次々と現れるゴブリンを倒し、順調に進んでいた。だが……
「……っ!?」
「足音?」
かなりの数の足音が後方から聞こえてくる。
次の瞬間暗がりから飛び出して来たゴブリンを筆頭に何匹ものゴブリンが現れる。瞬く間に退路をゴブリンの大群に塞がれた。
中には魔術師や大物もいる。決して油断は出来ない。
「まずいですわね」
「一旦奥に逃げよう!」
「ちぃ……ステラ!」
「にゃい! 嵐術 風上絢爛」
ステラは肩に構えていた鎌に風を纏わせ、薙ぎ払う。
鎌はゴブリンと距離があった為直接は当たらなかったが、巨大な鎌鼬が放たれる。巨大な鎌鼬はまた別の鎌鼬を生み出し、洞窟中に竜巻が巻き起こる。
不用意に突っ込んだゴブリンは体中を滅多切りにされ、倒れるわけだ。
因みに彼女らは洞窟内の戦闘もある程度こなしてきている為、洞窟内でもある程度自由に動けている。
「しばらくは道を塞いでみせる! 今のうちにゃ」
「今のうちに奥へ行きますわよ」
「ゴブリンごときに逃げるのか?」
「ゴブリンを侮れば全滅しますわよ。それに、何者であれ不意打ちのまま戦えば万が一があるかもしれませんわ」
喋りながら走っているうちに四人は巨大な空洞に出た。正面と、右側に通路が続いている。ディーナス達は空洞の中央まで走り、そこで振り返り、それぞれ武器を構える。
「ギシャァァァァ」
「グガシャァァァァ」
今来た通路から大量のゴブリンが溢れてくる。
最初に来たゴブリンは鎌鼬で所々傷を追っているが、その後ろから来たゴブリンや魔術師、大物は無傷だ。
「さぁ……やりますわよ」
「もう一回行きます! 嵐術 風上絢爛!」
再びステラが鎌を振りかぶり、鎌鼬を発生させる。鎌鼬は先程と違って、周囲が広くなったせいで多方に散ってしまい、通路の時ほどの威力は出なかったが、数体のゴブリンを斬り刻む。
続けてディーナスはレイピアを、イズは片手剣を抜き、駆け出す。
「行きますわよ!」
ディーナスのレイピアから放たれる高速の突きがゴブリンを襲う。
「アストロレイ、行くよ」
イズはアストロレイと呼んだ刃の赤い剣を抜き、両手で持って横一文字に薙ぎ払う。アストロレイは、薙ぎ払われると赤黒い斬撃を放ち、ゴブリン達を真っ二つにしていく。
「チィ、食らいな!」
コモエフはナイフを投擲し、ゴブリンに攻撃する。
投げられたナイフ程度ではゴブリンを殺すまでには至らないが、それでも確実に相手の戦力を削っている。
「ふぅ、ただのゴブリンはあらかた殺りましたわね。でも……」
「魔術師、それに大物はまだ無傷……」
「チィ……こっちも消耗が激しい。どうすんだ! ディーナス!」
「やるしかないですわ。私とステラで大物を……イズは魔術師を、コモエフは後ろから援護を頼みますわ」
ディーナスの言葉を聞き、三人は一斉に動き出す。
「見張リカ居ルナ」
洞窟の前にははぐれに比べてかなり良い装備を付けたゴブリン達が居た。数は二体。
俺達は少し離れた草むらに隠れており、まだバレてはいない。奇襲は容易、数も個々の強さも俺達が勝っている。
だが慎重に……
「ココニ居テモ話ハ進マン」
……行く気はないらしい。
雨刃は右手を突き出すと、マントについていた片手剣のうち、二本がゴブリン目掛けて飛んでいく。ゴブリンは気配を察知したものの対応しきれずそのまま心臓を貫かれて死んだ。
引き抜いた片手剣を巻き戻しながら雨刃は洞窟は草むらを出る。それに俺たちも続く。ゴブリンの血が付着したままの剣を強引に巻き取り、ローブに引き戻したため、血が飛び散ってエヴァが不快そうな顔を露わにする。
「同胞、困ッタナ」
「うむ、思ったよりも小さい……」
「なんの話だ?」
「クロト達ハ普段、洞窟デ戦ウ事ハアルカ?」
「洞窟? いや、無いな」
「なら覚えておいて損はない。洞窟内では平野で戦うのとは全く勝手が違う」
「と、言うと?」
「洞窟は基本的に視界は暗い上に両サイドは岩に囲まれている。リーチの長い剣では思ったようには振れないし、動きも制限される」
なるほど……確かにな。そんな事考えもしなかったが。
「俺の剣術、レオの抜刀術は使い物にならないって事か……」
「アア、武器ヲ使ッテ戦ウノガソモソモ難シイ。俺モ全力デハ戦エナイ。同胞モ同ジグダ」
「かなり不利……だな」
「マ!負ケルヨウナ事ハ、無イト思ウガ……」
「規模がわからない以上、警戒は怠らないようにしないとね」
最悪の事態を恐れてここでくすぶっていては始まらないという結論に至り、俺達は巣の中へ入っていった。
◇
北ルート。
クロト達一行が巣の正面入り口に突入した頃、別の入り口を見つけたディーナス達も早速中へ入っていた。
流石に冒険者の話を聞いていただけあり、背後への警戒も怠らず、数体のゴブリンを倒してどんどん前へ進んで行った。
「強い魔力を感じますわ。でも……どこかゴブリンとは違うような……」
「考えても仕方にゃい。とりあえず進もう!」
「そうですわね」
次々と現れるゴブリンを倒し、順調に進んでいた。だが……
「……っ!?」
「足音?」
かなりの数の足音が後方から聞こえてくる。
次の瞬間暗がりから飛び出して来たゴブリンを筆頭に何匹ものゴブリンが現れる。瞬く間に退路をゴブリンの大群に塞がれた。
中には魔術師や大物もいる。決して油断は出来ない。
「まずいですわね」
「一旦奥に逃げよう!」
「ちぃ……ステラ!」
「にゃい! 嵐術 風上絢爛」
ステラは肩に構えていた鎌に風を纏わせ、薙ぎ払う。
鎌はゴブリンと距離があった為直接は当たらなかったが、巨大な鎌鼬が放たれる。巨大な鎌鼬はまた別の鎌鼬を生み出し、洞窟中に竜巻が巻き起こる。
不用意に突っ込んだゴブリンは体中を滅多切りにされ、倒れるわけだ。
因みに彼女らは洞窟内の戦闘もある程度こなしてきている為、洞窟内でもある程度自由に動けている。
「しばらくは道を塞いでみせる! 今のうちにゃ」
「今のうちに奥へ行きますわよ」
「ゴブリンごときに逃げるのか?」
「ゴブリンを侮れば全滅しますわよ。それに、何者であれ不意打ちのまま戦えば万が一があるかもしれませんわ」
喋りながら走っているうちに四人は巨大な空洞に出た。正面と、右側に通路が続いている。ディーナス達は空洞の中央まで走り、そこで振り返り、それぞれ武器を構える。
「ギシャァァァァ」
「グガシャァァァァ」
今来た通路から大量のゴブリンが溢れてくる。
最初に来たゴブリンは鎌鼬で所々傷を追っているが、その後ろから来たゴブリンや魔術師、大物は無傷だ。
「さぁ……やりますわよ」
「もう一回行きます! 嵐術 風上絢爛!」
再びステラが鎌を振りかぶり、鎌鼬を発生させる。鎌鼬は先程と違って、周囲が広くなったせいで多方に散ってしまい、通路の時ほどの威力は出なかったが、数体のゴブリンを斬り刻む。
続けてディーナスはレイピアを、イズは片手剣を抜き、駆け出す。
「行きますわよ!」
ディーナスのレイピアから放たれる高速の突きがゴブリンを襲う。
「アストロレイ、行くよ」
イズはアストロレイと呼んだ刃の赤い剣を抜き、両手で持って横一文字に薙ぎ払う。アストロレイは、薙ぎ払われると赤黒い斬撃を放ち、ゴブリン達を真っ二つにしていく。
「チィ、食らいな!」
コモエフはナイフを投擲し、ゴブリンに攻撃する。
投げられたナイフ程度ではゴブリンを殺すまでには至らないが、それでも確実に相手の戦力を削っている。
「ふぅ、ただのゴブリンはあらかた殺りましたわね。でも……」
「魔術師、それに大物はまだ無傷……」
「チィ……こっちも消耗が激しい。どうすんだ! ディーナス!」
「やるしかないですわ。私とステラで大物を……イズは魔術師を、コモエフは後ろから援護を頼みますわ」
ディーナスの言葉を聞き、三人は一斉に動き出す。
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