最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
68話 反撃
「全員で鱗を削ぎ落とすぞ!」
「「「「了解!!」」」」
俺はシュデュンヤーを右手に持ち替え、走り出す。
シュデュンヤーに雷を流すとシュデュンヤーの持つ地獄の力と合わさり、黒雷が発生する。
「いくぞ、雷帝流!!」
ロックドラゴンに接近する。目では俺を捉えているが何もしてこない。余裕のつもりか。だが何もしてこないのならば好都合。鱗の中でも特に飛び出た鱗に足をかけ飛び上がる。
その勢いを利用してロックドラゴンの体を垂直に走る。
が、そんな物理法則を無視した動きができるわけでもなく、数歩走ったところで体が落下し始める。
「これだけ上がれれば十分。神鳴螺旋・獄」
シュデュンヤーを地面と平行に持ちながら体をひねり、回転する。黒い雷がそれに伴い俺の体を回転軸に回り、黒雷の竜巻が生まれる。
竜巻は一撃こそ強くないものの、継続的にロックドラゴンの鱗を削る。次第に回転軸が俺の体からロックドラゴンに変わり、黒雷の竜巻がロックドラゴンを閉じ込める。
黒雷の竜巻はロックドラゴンの鱗を削り取るが、この程度では鎧を剥がすまでには至らない。
もっと強くて、でかい攻撃が必要だろう。
エヴァと俺の……いや、シエラも加えた三人の複合魔術でどうにかなると良いが。
「クロト! 何かするぞ!」
アイリスの忠告通り、ロックドラゴンが黒雷の竜巻を破り巨大な右腕を天に掲げている。
「……ッ!!」
直後、ロックドラゴンの巨大な腕が空中にとどまっていた俺を捉え、俺は呆気なく投げ飛ばされる。
一瞬意識が飛ぶほどの衝撃を受け空を飛び、そして頭から地面に突っ込む。
雪が覆われていたおかげでいくらか衝撃は緩和されたが、それでも衝撃は凄まじく意識が飛びそうになる。数回雪の上をバウンドした後、俺は仰向けに倒れる形で地面に落ちた。
「がはっ……」
左半身が痺れて動かない。
食道を何かが逆流してくる嘔吐感がしたと思ったら口から血が吐き出され、雪を赤く染める。
頭がうまく回らない。思考が停止する。
視界もぼやけてよく見えない。辛うじてロックドラゴンの方を見ると、遠くに見えた。
かなり飛ばされたらしい。
目の前を黒い斑点が現れては消えを繰り返す。次第にチカチカしだし、まぶたが重くなる。身体全身が気絶を要求している。だがそれを気力だけでどうにか保つ。
右手にはまだシュデュンヤーを握っている。あの攻撃を受けてもちゃんと持ってたのか……
そんな事を思っているうちに気力に限界が訪れ、意識が途絶える。
◇
「クロトっ!!」
「エヴァリオン!! クロトなら大丈夫なはずだ! 今は目の前の敵に集中しろ」
クロトが吹き飛ばれた直後、動揺するエヴァをレオが止める。
「シエラ! クロトの所へ行ってくれ。癒術の使えるシエラなら、クロトを助けられるだろう」
「し、しかし……」
「行け!! クロトの強さは本物だ! 必ず必要になる!」
「わ、わかりんした」
アイリスの命によりシエラはクロトの元へ向かう。
ロックドラゴンは邪魔な竜巻を発生させていた人間を吹き飛ばし、新たな標的を全方位から矢を浴びせてくるハンター隊に変えた。が、ハンター隊は全方位に散っているため、あっちを向いたりこっちを向いたり、狙いが定まっていない。
「アイリス」
「ん?」
「ハンター隊を集めて目を狙ってくれ」
「目を?」
「ああ、あの図体でも眼球には攻撃が通るはずだ。接近戦しかできないおれじゃ、目には届かなかった。あんたらの弓なら可能だろう」
「それはいいが、今はハンター隊が注意を引いている状態だ。ハンター隊が目への攻撃に転換したあと、誰があいつを抑える?」
「俺と……エヴァリオンがいるだろ」
「……わかった。頼むぞ!」
「ああ! 行くぞ、エヴァリオン!」
「うん……!」
レオもエヴァはロックドラゴン目掛けて走り出す。
後ろからハンター隊を集めるアイリスの声を聞きながらレオは考えていた。
クロトも居ない。シエラも居ない。
敵はまだまだ余力がある。
今の最高戦力はレオとエヴァリオン。それも既に一撃食らって疲労している。状況は絶望的。
全身の鎧を剥がす作戦は一旦やめて、奴の動きを止めることから考えるべきか……
「レオ!」
「ああ?」
「どうするの?」
「そうだな……」
未だ四方から飛んでくる矢に翻弄されているロックドラゴンを見ながら考える。
奴の中で一番危険な部分はどこか、どこを使えなくすればこの状況は打破できるか……ドラゴン特有の鋭い五感の内、特に鋭い目か……クロトを投げ飛ばした巨大な腕か……いや、もっと潰すべき部位がある。
「足を……使えなくしたい」
ロックドラゴンの後ろ足二本は太く、がっしりとしており、脚力はその巨体で遥か天空に飛び上がるほどだ。
あの足がロックドラゴンの機動力の源なら、まずはそこから潰す。
「任せて。氷術 武器具現 『トマホーク』 氷斧両断二投撃」
エヴァの頭上に作り出された二丁の氷の巨斧はその場でクルクルと回転し、そのままロックドラゴンの右足めがけて飛んでいく。
氷の巨斧は右足に当たると、チェーンソーのようにガリガリと岩石の鱗鎧を削りながら進む。
鱗鎧はボロボロと削れ少しずつ足本体に近づいて行く。
だか、それをロックドラゴンが黙ってみているはずもなく、右足を切断しようとする二本の氷斧の内一本をくわえ、頭を大きく回して勢いを付け、噛み砕く。
もう一本は角度的に届かず、だがなんとかしようとロックドラゴンはもがく。
「そりゃ、足が削られてるんだ。必死なのはわかるが……隙だらけだぜ。至天破邪剣征流 薙払の型 『麒麟駆け』!!」
「「「「了解!!」」」」
俺はシュデュンヤーを右手に持ち替え、走り出す。
シュデュンヤーに雷を流すとシュデュンヤーの持つ地獄の力と合わさり、黒雷が発生する。
「いくぞ、雷帝流!!」
ロックドラゴンに接近する。目では俺を捉えているが何もしてこない。余裕のつもりか。だが何もしてこないのならば好都合。鱗の中でも特に飛び出た鱗に足をかけ飛び上がる。
その勢いを利用してロックドラゴンの体を垂直に走る。
が、そんな物理法則を無視した動きができるわけでもなく、数歩走ったところで体が落下し始める。
「これだけ上がれれば十分。神鳴螺旋・獄」
シュデュンヤーを地面と平行に持ちながら体をひねり、回転する。黒い雷がそれに伴い俺の体を回転軸に回り、黒雷の竜巻が生まれる。
竜巻は一撃こそ強くないものの、継続的にロックドラゴンの鱗を削る。次第に回転軸が俺の体からロックドラゴンに変わり、黒雷の竜巻がロックドラゴンを閉じ込める。
黒雷の竜巻はロックドラゴンの鱗を削り取るが、この程度では鎧を剥がすまでには至らない。
もっと強くて、でかい攻撃が必要だろう。
エヴァと俺の……いや、シエラも加えた三人の複合魔術でどうにかなると良いが。
「クロト! 何かするぞ!」
アイリスの忠告通り、ロックドラゴンが黒雷の竜巻を破り巨大な右腕を天に掲げている。
「……ッ!!」
直後、ロックドラゴンの巨大な腕が空中にとどまっていた俺を捉え、俺は呆気なく投げ飛ばされる。
一瞬意識が飛ぶほどの衝撃を受け空を飛び、そして頭から地面に突っ込む。
雪が覆われていたおかげでいくらか衝撃は緩和されたが、それでも衝撃は凄まじく意識が飛びそうになる。数回雪の上をバウンドした後、俺は仰向けに倒れる形で地面に落ちた。
「がはっ……」
左半身が痺れて動かない。
食道を何かが逆流してくる嘔吐感がしたと思ったら口から血が吐き出され、雪を赤く染める。
頭がうまく回らない。思考が停止する。
視界もぼやけてよく見えない。辛うじてロックドラゴンの方を見ると、遠くに見えた。
かなり飛ばされたらしい。
目の前を黒い斑点が現れては消えを繰り返す。次第にチカチカしだし、まぶたが重くなる。身体全身が気絶を要求している。だがそれを気力だけでどうにか保つ。
右手にはまだシュデュンヤーを握っている。あの攻撃を受けてもちゃんと持ってたのか……
そんな事を思っているうちに気力に限界が訪れ、意識が途絶える。
◇
「クロトっ!!」
「エヴァリオン!! クロトなら大丈夫なはずだ! 今は目の前の敵に集中しろ」
クロトが吹き飛ばれた直後、動揺するエヴァをレオが止める。
「シエラ! クロトの所へ行ってくれ。癒術の使えるシエラなら、クロトを助けられるだろう」
「し、しかし……」
「行け!! クロトの強さは本物だ! 必ず必要になる!」
「わ、わかりんした」
アイリスの命によりシエラはクロトの元へ向かう。
ロックドラゴンは邪魔な竜巻を発生させていた人間を吹き飛ばし、新たな標的を全方位から矢を浴びせてくるハンター隊に変えた。が、ハンター隊は全方位に散っているため、あっちを向いたりこっちを向いたり、狙いが定まっていない。
「アイリス」
「ん?」
「ハンター隊を集めて目を狙ってくれ」
「目を?」
「ああ、あの図体でも眼球には攻撃が通るはずだ。接近戦しかできないおれじゃ、目には届かなかった。あんたらの弓なら可能だろう」
「それはいいが、今はハンター隊が注意を引いている状態だ。ハンター隊が目への攻撃に転換したあと、誰があいつを抑える?」
「俺と……エヴァリオンがいるだろ」
「……わかった。頼むぞ!」
「ああ! 行くぞ、エヴァリオン!」
「うん……!」
レオもエヴァはロックドラゴン目掛けて走り出す。
後ろからハンター隊を集めるアイリスの声を聞きながらレオは考えていた。
クロトも居ない。シエラも居ない。
敵はまだまだ余力がある。
今の最高戦力はレオとエヴァリオン。それも既に一撃食らって疲労している。状況は絶望的。
全身の鎧を剥がす作戦は一旦やめて、奴の動きを止めることから考えるべきか……
「レオ!」
「ああ?」
「どうするの?」
「そうだな……」
未だ四方から飛んでくる矢に翻弄されているロックドラゴンを見ながら考える。
奴の中で一番危険な部分はどこか、どこを使えなくすればこの状況は打破できるか……ドラゴン特有の鋭い五感の内、特に鋭い目か……クロトを投げ飛ばした巨大な腕か……いや、もっと潰すべき部位がある。
「足を……使えなくしたい」
ロックドラゴンの後ろ足二本は太く、がっしりとしており、脚力はその巨体で遥か天空に飛び上がるほどだ。
あの足がロックドラゴンの機動力の源なら、まずはそこから潰す。
「任せて。氷術 武器具現 『トマホーク』 氷斧両断二投撃」
エヴァの頭上に作り出された二丁の氷の巨斧はその場でクルクルと回転し、そのままロックドラゴンの右足めがけて飛んでいく。
氷の巨斧は右足に当たると、チェーンソーのようにガリガリと岩石の鱗鎧を削りながら進む。
鱗鎧はボロボロと削れ少しずつ足本体に近づいて行く。
だか、それをロックドラゴンが黙ってみているはずもなく、右足を切断しようとする二本の氷斧の内一本をくわえ、頭を大きく回して勢いを付け、噛み砕く。
もう一本は角度的に届かず、だがなんとかしようとロックドラゴンはもがく。
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コメント
相鶴ソウ
確かに…
今回は珍しく頭を使った模様
コング“シルバーバック”
レオってなんかこう、もっと本能で動く奴かと思ってたw