最弱属性魔剣士の雷鳴轟く

アイズ

62話 光属性の狩人

「しかしこんな所で会うとはな」

「こっちもびっくりだ アイリス」


雷獣・トゥエルノティーグルを倒した後、傷の手当と魔力回復のためそのすぐ近くでハンター隊と共に野営をすることにした。
今はいくつかのグループに分かれ焚き火をしている。
俺達の所にはアイリス、青髪の女の子、俺、エヴァ、少し離れたところにレオがいる。


しかし超級があんな普通の森にいるなんて……
これもアグリアの言っていた魔物の凶暴化なのか。


「しかしお前達は死んだと思っていたが……?」

「テリア山の事か?
雪崩なら確かに巻き込まれたが、生きてたさ」

「でも……三年前、お前達を探すためドラゴン騎士団と天馬ペガサス騎士団、そして私達ハンター隊が走り回った
そして見つけたのが、お前達の死体だ」

「なに?」


死体? でも俺達は現に生きている。
どう転んでも死体なんて出てこないはず。


「そのせいもあって帝国内でまだお前が生きていると思っている者はいないんだが」

「なんだそれ……」

「私にもわからない
間違いないのは、何者かが何らかの理由で偽の死体を作ったということだ」

「普通に考えればそうだよな
いつかそいつも見つけ出してやる」

「うむ、しかしお前達に再び会えてよかったよ」

「俺もだ
しかしこんな所で何してたんだ?」


確かハンター隊はテリア山を拠点にしていたはず。
ここはハングル公爵領からは近いが、テリア山はまだ先だ。


「うむ 帝会に参加してきた」

「帝会?」

「正式名称 帝国大会議
定期的に行われる国の重鎮と私達十二公爵が集まり、話し合う場だ」

「そんなのあったのか」

「うむ、 参加するのはデルタアール国王、ブルックス大臣、騎士団長、三大将軍、十二公爵、そして七老会」

「七老会……?」


どこかで聞いたことある気もしなくもなくもない。


「国の最高権力者だ 時として国王にも意見できる」

「すご」

「そう、魔導を極めし七人の老人
三大将軍だったとしても、戦えば無事ではないだろうな」

「そんなすごい人なのか……
なんの話をするんだ?」

「一応秘密なんだが、まぁいいか
こいつらについてだ」


と、アイリスは二枚の紙を俺に渡す。
何度見たかもう分からないほど見た例の手配書だ。
一年たった今でも根強く出回ってるなんて。


「あ、ああ……」

「魔王だ こいつらは最近特に活発でな
被害にあった街ももう十を超える」

「あー、でもやってるのはこいつらじゃないよ」

「ん? なぜわかる?」

「これ、俺達の事なんだ」


沈黙が辺りを包み込む。
遠くで他の隊員の談笑する声も聞こえるのに、なぜかここだけ沈黙。なんか不気味だ。
俺はなるべくおどおどしないように直立を努めた。エヴァは少し気まずそうに俺の服を掴む。
アイリスは一点を見つめたまま動かず、青髪の女の子は若干目に殺意がこもった。
レオは…………後ろの木にもたれかかりながら寝てる。
いや寝てるんかい。


「そ、それは驚いたな
てことはお前達が……」

「あ、いや 違う違う
一年前、ヴァント襲撃事件があっただろ?」

「ああ、そこで目撃した証言を元に作られたと聞いたが」

「たしかにあの場に俺達もいたが、俺達は魔王と戦っていた
そこを見られ、魔王と勘違いされたんだ」

「…………なる、ほど」


アイリスはしばらく考えた後それだけ言った。


「だがしかし、現場ではこの手配書によく似た二人組が目撃されている」

「ここからは推測だけど、多分この手配書になりすます事で俺達へ疑いを向けたいんじゃないかな」

「なるほど、それなら辻褄も合う……か
そもそも四魔王と呼ばれてるのだから四人いるのが当然
逆にその指名手配された二人組だけを出してくるのは怪しい……か」

「全ては推測だけどな
とにかく死んだと思われてるならそれはそれで好都合
死んだまま魔王を倒すさ」


また周りが沈黙に包まれる。


「あ、そういえば」


突然思い出したようにエヴァが口を開く。


「さっきトゥエルノティーグルの攻撃を結界術で助けてくれたのは誰?」

「ああ、それはこいつだ」


とアイリスは隣に座っていた青髪の女の子を指す。


「さっきはありがとう! 私はエヴァリオン よろしくね」

「役に立てたのならわっちとしても嬉しいでありんす
わっちはシエラ・アグリアス ハンター隊の副隊長を努めておりんす」


へぇ、珍しい喋り方だな。
シエラもこれまた美形で青い髪は流れるようなポニーテールで、目はオッドアイだ。
右目は金色、左目は赤色だ。


シエラとすぐに仲良くなった俺達は再び話に花を咲かせた。


「ところでお前達は何をしていたんだ?
なぜあんな所でトゥエルノティーグルと戦っていた?」


しばらく談話した後、アイリスが真剣な表情に変わる。
こういうところを見るとやっぱり公爵の名は伊達じゃないなと思う。
今まで友達同士って雰囲気から一気に変わった。


「うん つい最近まで遠い場所で修行してたんだけど魔王の動きが目立ってきたから倒すために戻ってきたの
で、今はヘレリル公爵領に向かう途中で野宿して、朝起きたら……って感じ」


俺の代わりにエヴァが話し出す。


「魔王を倒すために仲間集めの途中でもあるけどな
あそこで突っ立ってんのが新しい仲間のレオ」

「うむ、そうか……」


アイリスは何かを考えてるのだろう、一点を見つめている。


その後俺達は他愛もない話を少ししてそれぞれ眠ることにした。
見張りはハンター隊がしてくれるらしい。
最近は夜ずっと交代で見張りしていたから夜ゆっくり眠れるなんて久々だし、ありがたくお願いすることにした。

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