最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
61話 再会の矢
虎の雷を纏った前足がエヴァを捉えるその瞬間。虎とエヴァの間に光の結界が張られ、虎の腕を弾き返す。
「グルァ」
虎は光の結界に弾かれ、驚いている。やはり知能も高く、結界を力任せにこじ開けるのではなく結界を出現させた者を特定しようと周りを見渡す。
俺も見た事のない種類だが、あれは恐らく結界術の一つだ。結界術は光属性から派生する魔術だから俺やエヴァには当然使えない。可能性があるとしたらレオか……?
「なんだッ!?」
直後、ヒュウっという風を切る音が後方、頭上から聞こえ、見上げると無数の矢が弧を描きながら虎に向かって飛んできていた。矢は正確に軌道を辿って虎へと降り注ぐ。
いくつかの矢が虎に刺さり一瞬怯む。
矢の放たれた方向を見ると二台の馬車が近づいていた。どちらも俺たちのより一回りでかい馬車で旅人と言うよりは貴族の要人が乗っていそうな豪華な造りだ。
幌の部分には月をバックに弓矢と鹿が描かれている。あれは確か……
「放て!!」
「グォォォォォォォ」
再び矢が降り注ぎ、虎に突き刺さる。あの巨体に矢では効果は薄そうだが、煩わしいのか、俺の見立て違いでかなりのダメージを負っているのか怒りに吠える。
「無事か!」
二台の馬車は俺達の馬車のすぐ近くに止まり中から数十人の女性が降りてくる。全員白いコートを着ており、一様に矢ずつを背負い、弓を構えている。
どこかで見た事があると思っていたが、この人たちはハングル公爵のハンター隊だ。三年前の雪山合宿の時にかなりお世話になった。そしてその先頭に立っている女の人、黒髪をポニーテールにし、自分の背丈以上もある弓を担いでいる。ハングル公爵のアイリス。ハンター隊の隊長だ。
そしてその後ろに青い髪を同じくポニーテールにしている女の子がいる。歳は俺達と同じぐらいか。多分、さっき結界を張ったのもこの子だ。
なんとなくではあるが、直感でわかる。
「ん? お前は……まさかテリア山であった帝国の学生か? なんで生きて……話は後にしよう。今はこの場を切り抜ける!」
一瞬俺を見つけ驚くが、すぐに状況を思い出し矢をつがえる。正直覚えられているとは思えなかったが、覚えてくれているなら話も速くて助かりそうだ。
「行くぞ!! ハンター隊!!」
「「おーーッ!!」」
掛け声と共にアイリスとその後ろにいる青髪の女の子を除いた隊員が一斉に矢を放つ。反撃する間も無く降り注がれる矢の猛激による痛みと怯みで虎は反撃できず一方的に攻撃される。
「俺達があんなに苦戦したのに……」
「お前達があそこまで弱らせてくれたおかげでここまで一方的に戦える。通常時のこいつに会ったらとても向かっていこうとは思わん」
「え?」
「こいつは雷獣・トゥエルノティーグル。超級に分類される魔物だ」
「超級!? 数体で街一つは潰せるほどの力を持つっていう……」
アルギュロス同じってことか。でも確かジャイアントウルフは超級の中でもかなり弱い方だって言ってたっけ。そう考えるとアルギュロスの数匹分の力って事になる。……なるほど苦戦するわけだ。
「もちろん超級にも色々いるから一概には言えないが、トゥエルノティーグルはかなり強い分類に入る。それを三人でここまで弱らせたんだ。誇って良い事だと思うぞ」
「そうだったのか……」
「さて、そろそろ奴も終わりだな」
アイリスの言葉通りその数秒後にはトゥエルノティーグルは倒れた。圧倒的物量差を前に、トゥエルノティーグルは何も出来ずに死んでしまった。確かに弱っていただろうが、こうもあっさりだと拍子抜けだな。
「グルァ」
虎は光の結界に弾かれ、驚いている。やはり知能も高く、結界を力任せにこじ開けるのではなく結界を出現させた者を特定しようと周りを見渡す。
俺も見た事のない種類だが、あれは恐らく結界術の一つだ。結界術は光属性から派生する魔術だから俺やエヴァには当然使えない。可能性があるとしたらレオか……?
「なんだッ!?」
直後、ヒュウっという風を切る音が後方、頭上から聞こえ、見上げると無数の矢が弧を描きながら虎に向かって飛んできていた。矢は正確に軌道を辿って虎へと降り注ぐ。
いくつかの矢が虎に刺さり一瞬怯む。
矢の放たれた方向を見ると二台の馬車が近づいていた。どちらも俺たちのより一回りでかい馬車で旅人と言うよりは貴族の要人が乗っていそうな豪華な造りだ。
幌の部分には月をバックに弓矢と鹿が描かれている。あれは確か……
「放て!!」
「グォォォォォォォ」
再び矢が降り注ぎ、虎に突き刺さる。あの巨体に矢では効果は薄そうだが、煩わしいのか、俺の見立て違いでかなりのダメージを負っているのか怒りに吠える。
「無事か!」
二台の馬車は俺達の馬車のすぐ近くに止まり中から数十人の女性が降りてくる。全員白いコートを着ており、一様に矢ずつを背負い、弓を構えている。
どこかで見た事があると思っていたが、この人たちはハングル公爵のハンター隊だ。三年前の雪山合宿の時にかなりお世話になった。そしてその先頭に立っている女の人、黒髪をポニーテールにし、自分の背丈以上もある弓を担いでいる。ハングル公爵のアイリス。ハンター隊の隊長だ。
そしてその後ろに青い髪を同じくポニーテールにしている女の子がいる。歳は俺達と同じぐらいか。多分、さっき結界を張ったのもこの子だ。
なんとなくではあるが、直感でわかる。
「ん? お前は……まさかテリア山であった帝国の学生か? なんで生きて……話は後にしよう。今はこの場を切り抜ける!」
一瞬俺を見つけ驚くが、すぐに状況を思い出し矢をつがえる。正直覚えられているとは思えなかったが、覚えてくれているなら話も速くて助かりそうだ。
「行くぞ!! ハンター隊!!」
「「おーーッ!!」」
掛け声と共にアイリスとその後ろにいる青髪の女の子を除いた隊員が一斉に矢を放つ。反撃する間も無く降り注がれる矢の猛激による痛みと怯みで虎は反撃できず一方的に攻撃される。
「俺達があんなに苦戦したのに……」
「お前達があそこまで弱らせてくれたおかげでここまで一方的に戦える。通常時のこいつに会ったらとても向かっていこうとは思わん」
「え?」
「こいつは雷獣・トゥエルノティーグル。超級に分類される魔物だ」
「超級!? 数体で街一つは潰せるほどの力を持つっていう……」
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