最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
53話 至天破邪剣征流
「おい、いないぞ」
「どこだ!」
「こっちで倒れてるぞ!」
下から聞こえてくる声を聞きつつ、俺は屋根の一番上までよじ登りエヴァを離す。
「大丈夫か?」
「う、うん!びっくりした」
さてと、包囲網は脱したがどうしようか。レオとリーダー格の一騎打ちに、俺の脱出時の攻防。どう見てもこいつらは大したことないそこらの盗賊団だ。てことはそんなに警戒する必要も無いのかもしれないが……
そういえばリーダー格の男はどうなったんだ。
「レオ!」
「ああ?」
「どこに伏兵が居るかわからない! 気を付けろ!」
「調子に乗るなよクソガキども!!」
言った数秒後にはリーダー格の男が起き上がり剣を振り上げる。
「ちっ……」
レオは二代銀月で流し、数歩後ろに下がる。
ちょうどそのタイミングで窓を破って小屋に入った男達が出てくる。一人の男が俺の殴った男を担いでる。あの一撃で沈んだのならば一人一人の練度は高いとは言えない。
「俺達ユーノ盗賊団の恐ろしさ教えてやれ!」
三人の盗賊が一斉に動き出す。レオを囲い、各々剣やナイフを構える。数で不利を取られているが、レオのあの目は手を出すなと強く訴えている。あの状況になってもむしろ闘志が上がっている。戦闘狂ってああいう奴の事を言うんだろうな。
「行くぜぇ?」
「俺たちの力見せてやる!」
三人が一気に武器を振り上げる。
「至天破邪剣征流 相殺の型 『廻り流し』」
レオの体がぐにゃぐにゃになったのかと思うほど体が自在に曲がり全ての剣を避ける。恐らくは自分で関節を外す事で、軟体動物の様に自由な動きを可能としているのだろうが、自力で関節を外すと言うのは常人に出来るような芸当ではない。
レオ……相当に強いんだろうとは思っていたが、これは期待以上かもしれない。
「回避や威嚇に特化したのが相殺の型。お前らの一直線な太刀筋じゃどうやっても当たらねぇよ。一旦……眠れ」
レオは腰を落とし抜刀の構えを取る。
「き、気をつけろ……」
「何かしてくるぞ」
「至天破邪剣征流 相殺の型 『龍驤虎視』」
レオの体からオーラが吹き出し、空へ立ち上る。
オーラはレオの頭上でとぐろを巻き、龍をかたどる。そして別のオーラがレオを取り巻くように集まり虎に変化する。
「天を司る龍と地を司る虎。この両者に睨まれれば体は逃げる事も忘れて硬直する」
オーラはすぐに消えたが盗賊団は完全に怖気ずき、ガチャガチャと武器を落とす。
「すごいな、気迫でここまで出来るのか」
「き、気迫なの……?」
エヴァは怯えたように腕を掴む。
地獄に居てもこんな気迫見たことないからな。怯えるのも無理はない。
「チッ、腑抜けどもが」
「やっぱリーダークラスになると耐えてくるか」
「見事な気迫だが、この程度じゃ俺は倒せねーぜ」
「至天破邪剣征流……」
「まて! レオ」
「……?」
俺は隣のエヴェをもう一度抱え地面に飛び降りる。
「きゃ……!」
「やっと降りてきたか。三人まとめて相手してやるよ」
「俺が相手してやる」
俺はテンペスターを抜き一歩前に出る。
「雷帝流 稲妻剣」
俺は雷を剣にまとわせ振り下ろす。
「鉄術 突鉄甲」
地面から突き出した土が鉄化し盾になる。雷をまとった剣は鉄に半分ほど食い込んで止まる。テンペスターの硬度と雷術の切断力をもってすればこの程度切れなくはないだろうが、やはり手を抜いた今の段階ではそこまでは厳しいか。
「鉄術……土術の上位術、また珍しいもん見れたな」
「へ、次はこっちだ。鉄術 飛鉄甲」
さっき突き出した鉄の塊から鉄の棘が一斉に飛んでくる。瞬動術で後ろに飛び、剣を構える。
「雷帝流 雷千剣」
雷の斬撃が千に分かれ鉄の棘とぶつかり、相殺される。雷に打たれた鉄は歪み焦げ落ちる。
「土術 土砂流し」
リーダー格の男が地面を強く踏むと地面が崩れ土砂に変わる。俺とレオは膝まで土砂に埋もれ流される。
「な、なんだこれ」
「流される……」
「お前らには勝てそうにないが。この女はもらってくぜ 手ぶらで帰ったら姉御に怒られる」
姉御……? こいつがリーダーじゃないのか。
リーダー格の男は地面に手をつき魔力を込める。
「鉄術 鉄の処女」
地面から鉄の塊が出てくる。
これまでで最大規模の鉄術で、円形の筒のような形で上のほうが丸くなっており、その上に女性のような顔が乗っている。見た事の無い術だが、あれがどう攻撃してくるのか予想が着かない。
「あれは……?」
「古代の時代、東洋で使われていた拷問器具に似てるな」
「……!! エヴァ! 危ない!」
鉄の処女の筒状の胴体が観音開きで開き、中から鎖が飛び出す。鉄の処女の登場で呆気にとられていたエヴァは反応が一瞬遅れ鎖に捕まってしまう。
「きゃ……」
鎖が巻き取られ始める。エヴァは必死に踏ん張るが、力勝負ではエヴァに分が悪く、そのままずるずると引きずられていく。
「ん、なめないでよ。氷術……んぁ……」
氷術を使おうと魔力を込めるが鎖から吸収されてしまう。
「へ……無駄だ。鉄の処女は拷問用。魔力は吸収する仕組みになってるのさ」
くそ、このままじゃエヴァが……
「レオ、ちょっと我慢しろよ……」
「何を……?」
「雷術 雷撃崩し」
テンペスターを地面に突き刺し、地面に雷を流す。バチバチと弾け土砂を吹き飛ばす。
「行け、レオ!」
「たく、足がしびれて動きにくい」
「わりぃな」
「至天破邪剣征流 突破の型 『突き立てる牙』」
自由になったレオは地面を強く蹴り鎖に接近。剣先をまっすぐ伸ばし突く。
ガシャンと音を立てて鎖が断ち切れる。勢いの付き過ぎたエヴァをレオが受け止める。
「至天破邪剣征流は一対多を想定した抜刀術。だが、攻撃対象を一点とする突破の型はあらゆる場面に対応できる」
よし、これで気兼ねなくやれる。
「雷術 雷撃大砲」
雷を撃ち出す。
リーダー格の男の足元に雷が落ち、砂煙が舞う。俺の全力であり、着弾した後も雷が周りに拡散して完全な回避は難しいだろう。リーダー格の男も後ろに飛んで避けていたようだが、余波に巻き込まれ、若干の雷を受けてしまっている。
「チィ……これは勝てそうにねーな。てめぇら!さっさと目覚ませ!」
「ん、あ! リーダー!」
「俺達は何を……」
「一旦退くぞ!」
「あ、お……おっす!」
リーダー格の男を筆頭に盗賊団は家々の影に紛れて消えていく。正直追いかけようと思えば追いかけられるが、少し気になる事がある。
それに、あの口ぶりからしてあの男はリーダーではない。いや、リーダーと呼ばれてはいたからリーダー格であることは間違いないんだろうが、更にその上がいるんだろう。どうせすぐに会う事になるんだろうが……
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
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クロト「読んでくれてありがとな
しかし今回攻めてきた奴ら、鉄術使い以外は大したことなかったなー
てかレオのし、してん……なんだっけ」
レオ「至天破邪剣征流」
クロト「そうそう!
あれすごかったなー
じゃあクイズだ
Q16 今回攻めてきた盗賊団の名前は?」
「どこだ!」
「こっちで倒れてるぞ!」
下から聞こえてくる声を聞きつつ、俺は屋根の一番上までよじ登りエヴァを離す。
「大丈夫か?」
「う、うん!びっくりした」
さてと、包囲網は脱したがどうしようか。レオとリーダー格の一騎打ちに、俺の脱出時の攻防。どう見てもこいつらは大したことないそこらの盗賊団だ。てことはそんなに警戒する必要も無いのかもしれないが……
そういえばリーダー格の男はどうなったんだ。
「レオ!」
「ああ?」
「どこに伏兵が居るかわからない! 気を付けろ!」
「調子に乗るなよクソガキども!!」
言った数秒後にはリーダー格の男が起き上がり剣を振り上げる。
「ちっ……」
レオは二代銀月で流し、数歩後ろに下がる。
ちょうどそのタイミングで窓を破って小屋に入った男達が出てくる。一人の男が俺の殴った男を担いでる。あの一撃で沈んだのならば一人一人の練度は高いとは言えない。
「俺達ユーノ盗賊団の恐ろしさ教えてやれ!」
三人の盗賊が一斉に動き出す。レオを囲い、各々剣やナイフを構える。数で不利を取られているが、レオのあの目は手を出すなと強く訴えている。あの状況になってもむしろ闘志が上がっている。戦闘狂ってああいう奴の事を言うんだろうな。
「行くぜぇ?」
「俺たちの力見せてやる!」
三人が一気に武器を振り上げる。
「至天破邪剣征流 相殺の型 『廻り流し』」
レオの体がぐにゃぐにゃになったのかと思うほど体が自在に曲がり全ての剣を避ける。恐らくは自分で関節を外す事で、軟体動物の様に自由な動きを可能としているのだろうが、自力で関節を外すと言うのは常人に出来るような芸当ではない。
レオ……相当に強いんだろうとは思っていたが、これは期待以上かもしれない。
「回避や威嚇に特化したのが相殺の型。お前らの一直線な太刀筋じゃどうやっても当たらねぇよ。一旦……眠れ」
レオは腰を落とし抜刀の構えを取る。
「き、気をつけろ……」
「何かしてくるぞ」
「至天破邪剣征流 相殺の型 『龍驤虎視』」
レオの体からオーラが吹き出し、空へ立ち上る。
オーラはレオの頭上でとぐろを巻き、龍をかたどる。そして別のオーラがレオを取り巻くように集まり虎に変化する。
「天を司る龍と地を司る虎。この両者に睨まれれば体は逃げる事も忘れて硬直する」
オーラはすぐに消えたが盗賊団は完全に怖気ずき、ガチャガチャと武器を落とす。
「すごいな、気迫でここまで出来るのか」
「き、気迫なの……?」
エヴァは怯えたように腕を掴む。
地獄に居てもこんな気迫見たことないからな。怯えるのも無理はない。
「チッ、腑抜けどもが」
「やっぱリーダークラスになると耐えてくるか」
「見事な気迫だが、この程度じゃ俺は倒せねーぜ」
「至天破邪剣征流……」
「まて! レオ」
「……?」
俺は隣のエヴェをもう一度抱え地面に飛び降りる。
「きゃ……!」
「やっと降りてきたか。三人まとめて相手してやるよ」
「俺が相手してやる」
俺はテンペスターを抜き一歩前に出る。
「雷帝流 稲妻剣」
俺は雷を剣にまとわせ振り下ろす。
「鉄術 突鉄甲」
地面から突き出した土が鉄化し盾になる。雷をまとった剣は鉄に半分ほど食い込んで止まる。テンペスターの硬度と雷術の切断力をもってすればこの程度切れなくはないだろうが、やはり手を抜いた今の段階ではそこまでは厳しいか。
「鉄術……土術の上位術、また珍しいもん見れたな」
「へ、次はこっちだ。鉄術 飛鉄甲」
さっき突き出した鉄の塊から鉄の棘が一斉に飛んでくる。瞬動術で後ろに飛び、剣を構える。
「雷帝流 雷千剣」
雷の斬撃が千に分かれ鉄の棘とぶつかり、相殺される。雷に打たれた鉄は歪み焦げ落ちる。
「土術 土砂流し」
リーダー格の男が地面を強く踏むと地面が崩れ土砂に変わる。俺とレオは膝まで土砂に埋もれ流される。
「な、なんだこれ」
「流される……」
「お前らには勝てそうにないが。この女はもらってくぜ 手ぶらで帰ったら姉御に怒られる」
姉御……? こいつがリーダーじゃないのか。
リーダー格の男は地面に手をつき魔力を込める。
「鉄術 鉄の処女」
地面から鉄の塊が出てくる。
これまでで最大規模の鉄術で、円形の筒のような形で上のほうが丸くなっており、その上に女性のような顔が乗っている。見た事の無い術だが、あれがどう攻撃してくるのか予想が着かない。
「あれは……?」
「古代の時代、東洋で使われていた拷問器具に似てるな」
「……!! エヴァ! 危ない!」
鉄の処女の筒状の胴体が観音開きで開き、中から鎖が飛び出す。鉄の処女の登場で呆気にとられていたエヴァは反応が一瞬遅れ鎖に捕まってしまう。
「きゃ……」
鎖が巻き取られ始める。エヴァは必死に踏ん張るが、力勝負ではエヴァに分が悪く、そのままずるずると引きずられていく。
「ん、なめないでよ。氷術……んぁ……」
氷術を使おうと魔力を込めるが鎖から吸収されてしまう。
「へ……無駄だ。鉄の処女は拷問用。魔力は吸収する仕組みになってるのさ」
くそ、このままじゃエヴァが……
「レオ、ちょっと我慢しろよ……」
「何を……?」
「雷術 雷撃崩し」
テンペスターを地面に突き刺し、地面に雷を流す。バチバチと弾け土砂を吹き飛ばす。
「行け、レオ!」
「たく、足がしびれて動きにくい」
「わりぃな」
「至天破邪剣征流 突破の型 『突き立てる牙』」
自由になったレオは地面を強く蹴り鎖に接近。剣先をまっすぐ伸ばし突く。
ガシャンと音を立てて鎖が断ち切れる。勢いの付き過ぎたエヴァをレオが受け止める。
「至天破邪剣征流は一対多を想定した抜刀術。だが、攻撃対象を一点とする突破の型はあらゆる場面に対応できる」
よし、これで気兼ねなくやれる。
「雷術 雷撃大砲」
雷を撃ち出す。
リーダー格の男の足元に雷が落ち、砂煙が舞う。俺の全力であり、着弾した後も雷が周りに拡散して完全な回避は難しいだろう。リーダー格の男も後ろに飛んで避けていたようだが、余波に巻き込まれ、若干の雷を受けてしまっている。
「チィ……これは勝てそうにねーな。てめぇら!さっさと目覚ませ!」
「ん、あ! リーダー!」
「俺達は何を……」
「一旦退くぞ!」
「あ、お……おっす!」
リーダー格の男を筆頭に盗賊団は家々の影に紛れて消えていく。正直追いかけようと思えば追いかけられるが、少し気になる事がある。
それに、あの口ぶりからしてあの男はリーダーではない。いや、リーダーと呼ばれてはいたからリーダー格であることは間違いないんだろうが、更にその上がいるんだろう。どうせすぐに会う事になるんだろうが……
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます!
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クロト「読んでくれてありがとな
しかし今回攻めてきた奴ら、鉄術使い以外は大したことなかったなー
てかレオのし、してん……なんだっけ」
レオ「至天破邪剣征流」
クロト「そうそう!
あれすごかったなー
じゃあクイズだ
Q16 今回攻めてきた盗賊団の名前は?」
コメント
相鶴ソウ
Q16 答え
正解はユーノ盗賊団でしたー