最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
47話 はれてお尋ね者
「よぉ坊主、地上で暴れてきたんだって?」
「お、アシュラか。まぁボロボロだったけどな」
アシュラが後ろから肩をぽんと叩く。
「ガハハハハハハ。やるじゃねぇの。今日はとことん飲めや」
「おう!」
俺は酒の入ったコップを高く上げアシュラの右の上から数えてニ番目の手に持ったカップに乾杯する。
「クーーローートーーーー」
やや間抜けな声と共に声の主が俺の腰をガシッと掴む。
「おい……誰だ!エヴァに酒を飲ませたやつは!!」
正体はエヴァだ。
こいつは初めてここに来た時も少し酒を飲んだだけでベロベロに酔ってしまった。船酔いもそうだが、エヴァはとことん三半規管が弱い。
「あ、我だ」
犯人はハデスか。
まったく、いくら地獄といえどこれじゃブルーバードと何ら変わらない。と思いつつも俺は楽しんでいた。
リブ村を襲ったのが魔王であったこと、かつての仲間マナと敵として対面したこと、そしてこれから起こるであろう熾烈な戦いのこともしばし忘れて。
◇
「あー、食った食った。おーい、エヴァ!」
「ふへぇー?」
「だめだ、完全に酔ってる。だから酒はやめておけって……」
「クロト」
「ん、ハデスか」
気づくと後ろにはハデスが座っていた。
先程までの馬鹿騒ぎは収まり、皆酔い潰れ騒ぎ疲れ眠ってしまっている。
「うむ」
「なんだよ」
「…………」
「なんだよ!」
「うむ。本日の戦いで四大魔王全員と戦うことになったわけだが、正直なところどうだ?」
「うーん……四人を俺とエヴァで相手するのは正直きついな」
「……これからどうするつもりだ? 残り一年の修行を終えて、どうするつもりだ?」
そういえば、一年後の事なんて考えた事なかった。
ぼんやり魔族や帝国と戦うんだと思ってたけど、正直一人やニ人で相手できる相手じゃない。
「まだ、考えていないか」
「……ああ」
「……とりあえず、これを見てくれ」
◇
「お疲れ様。マナ、ガイナ」
エルトリア帝国城内。
復興も一段落付き、天馬(ペガサス)騎士団と龍騎士団はエルトリア帝国に帰って来ていた。
「レイグ! 久しぶりじゃない」
「ああ、マナ。元気そうで何よりだよ」
「おう、レイグ。そっちはどうなんだ?」
「まぁまぁだね。でも楽しくやってるよ」
「そうか!そりゃ良かったぜ」
「マナの噂は近衛隊にも届いてるよ。戦場を縦横無尽に駆け回り、敵を屠る聖炎の騎士。しかも今回は魔王相手に奮闘したらしいじゃないか」
「ええ……でもあいつが魔王かどうかは……」
「何言ってんるんだ。あれ見てみなよ」
レイグが指さした方を見ると張り紙が二枚貼ってあった。
◇
「なんだこれ 指名手配か?」
「うむ、フードで顔が隠れておるがクロトとエヴァリオンだろう」
手渡された二枚の紙にはフードを深くかぶった人がそれぞれ描かれており、これだけじゃ誰かわからないが、間違いなく俺とエヴァだろう。
◇
「もう指名手配が回ってるなんて」
「ああ、しかも雷撃と雹絶世界なんて名前で手配してる」
「……でも、都合よく雷属性と氷属性の二人組なんて出てくるかしら」
「雷も氷も特別なのは人間のものさしで測ってるからだ。相手が魔王ならその二属性でも不思議じゃない」
「そう、ね……」
「マナ、君の気持ちはわかる。だが、クロトとエヴァはもう……君も見たろ? あの死体を」
「でも……でもあの剣術はまるで……」
「どきたまえ。騎士如きが僕の道を塞がないでくれるかい?」
そこへ足音高らかにやってきたのは現国王デルタアールの息子、王子イーニアス。そして護衛のパトリックとアイズだ。
「てめぇ、イーニ……」
「ガイナ! やめろ」
「んー? なんだって? デカブツ君。君、僕に逆らう気かー?」
「申し訳ありません。イーニアス王子」
レイグはすぐさま頭を下げる。
「お、おいレイ……」
「いいから黙って頭を下げろ」
「はっはっはっはっはっ。少しは礼儀をわきまえてるようだな、わかったらどけ」
と、それだけ言い残すとガイナをドンッと突き飛ばし立ち去っていった。不意に突き飛ばされたガイナは壁にぶつかる。
「う……いて……」
「ガイナ? どうしたの、その傷」
ガイナの左腕には包帯が巻かれており、その上からでも傷の具合が伺える。
「ん、ああ。戦ってる時にへましちまってな」
「すぐ治さなきゃ。癒術 癒やしの光」
マナの指先が光り、ガイナの傷口を照らす。
「あれ……?」
しかしガイナの傷は全く回復しなかった。
「なぜかわからないが回復しないんだ。医者いわく、時間をかけるしかない、だそうだ」
「そう……」
マナは納得がいかないという顔つきでガイナの傷を見つめていた。
◇
「さて、先の襲撃ご苦労だったな」
「うむ」
「結果として失敗こそしたが収穫も大きい。あいつが生きていた事もそうだが、騎士団を巻き込みかなりの被害を出せた」
「今まで聞いたことなかったけど、どうしてあの小僧を狙うの? 最初はフロリエル君のわがままを聞いてるだけかと思ってたけど、それだけじゃないんでしょう?」
「まぁな。あいつが生きていると困る理由がある。だが、運は俺達についてるらしい。見てみろ」
男は二枚の紙切れを出す。
「ひぇひぇひぇひぇひぇ。これは……?」
「手配書?」
「ああ。人間共は俺達より最前線で戦っていたこいつ等を魔王と思ったらしい」
「それは、なんとも」
「愚かな生き物だ。この襲撃で我々の驚異を伝えるつもりだったが……まぁ良い。随分長い間燻っていたが、そろそろ国を落とすとしようか」
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます!
ガイナ「読んでくれてありがとな!
さて、あんまり長々喋ってもあれだからパパっと行くぜ
Q10
クロトの雷術 雷撃は皮膚に強力な電圧を与えて焦がす技?
じゃあな」
「お、アシュラか。まぁボロボロだったけどな」
アシュラが後ろから肩をぽんと叩く。
「ガハハハハハハ。やるじゃねぇの。今日はとことん飲めや」
「おう!」
俺は酒の入ったコップを高く上げアシュラの右の上から数えてニ番目の手に持ったカップに乾杯する。
「クーーローートーーーー」
やや間抜けな声と共に声の主が俺の腰をガシッと掴む。
「おい……誰だ!エヴァに酒を飲ませたやつは!!」
正体はエヴァだ。
こいつは初めてここに来た時も少し酒を飲んだだけでベロベロに酔ってしまった。船酔いもそうだが、エヴァはとことん三半規管が弱い。
「あ、我だ」
犯人はハデスか。
まったく、いくら地獄といえどこれじゃブルーバードと何ら変わらない。と思いつつも俺は楽しんでいた。
リブ村を襲ったのが魔王であったこと、かつての仲間マナと敵として対面したこと、そしてこれから起こるであろう熾烈な戦いのこともしばし忘れて。
◇
「あー、食った食った。おーい、エヴァ!」
「ふへぇー?」
「だめだ、完全に酔ってる。だから酒はやめておけって……」
「クロト」
「ん、ハデスか」
気づくと後ろにはハデスが座っていた。
先程までの馬鹿騒ぎは収まり、皆酔い潰れ騒ぎ疲れ眠ってしまっている。
「うむ」
「なんだよ」
「…………」
「なんだよ!」
「うむ。本日の戦いで四大魔王全員と戦うことになったわけだが、正直なところどうだ?」
「うーん……四人を俺とエヴァで相手するのは正直きついな」
「……これからどうするつもりだ? 残り一年の修行を終えて、どうするつもりだ?」
そういえば、一年後の事なんて考えた事なかった。
ぼんやり魔族や帝国と戦うんだと思ってたけど、正直一人やニ人で相手できる相手じゃない。
「まだ、考えていないか」
「……ああ」
「……とりあえず、これを見てくれ」
◇
「お疲れ様。マナ、ガイナ」
エルトリア帝国城内。
復興も一段落付き、天馬(ペガサス)騎士団と龍騎士団はエルトリア帝国に帰って来ていた。
「レイグ! 久しぶりじゃない」
「ああ、マナ。元気そうで何よりだよ」
「おう、レイグ。そっちはどうなんだ?」
「まぁまぁだね。でも楽しくやってるよ」
「そうか!そりゃ良かったぜ」
「マナの噂は近衛隊にも届いてるよ。戦場を縦横無尽に駆け回り、敵を屠る聖炎の騎士。しかも今回は魔王相手に奮闘したらしいじゃないか」
「ええ……でもあいつが魔王かどうかは……」
「何言ってんるんだ。あれ見てみなよ」
レイグが指さした方を見ると張り紙が二枚貼ってあった。
◇
「なんだこれ 指名手配か?」
「うむ、フードで顔が隠れておるがクロトとエヴァリオンだろう」
手渡された二枚の紙にはフードを深くかぶった人がそれぞれ描かれており、これだけじゃ誰かわからないが、間違いなく俺とエヴァだろう。
◇
「もう指名手配が回ってるなんて」
「ああ、しかも雷撃と雹絶世界なんて名前で手配してる」
「……でも、都合よく雷属性と氷属性の二人組なんて出てくるかしら」
「雷も氷も特別なのは人間のものさしで測ってるからだ。相手が魔王ならその二属性でも不思議じゃない」
「そう、ね……」
「マナ、君の気持ちはわかる。だが、クロトとエヴァはもう……君も見たろ? あの死体を」
「でも……でもあの剣術はまるで……」
「どきたまえ。騎士如きが僕の道を塞がないでくれるかい?」
そこへ足音高らかにやってきたのは現国王デルタアールの息子、王子イーニアス。そして護衛のパトリックとアイズだ。
「てめぇ、イーニ……」
「ガイナ! やめろ」
「んー? なんだって? デカブツ君。君、僕に逆らう気かー?」
「申し訳ありません。イーニアス王子」
レイグはすぐさま頭を下げる。
「お、おいレイ……」
「いいから黙って頭を下げろ」
「はっはっはっはっはっ。少しは礼儀をわきまえてるようだな、わかったらどけ」
と、それだけ言い残すとガイナをドンッと突き飛ばし立ち去っていった。不意に突き飛ばされたガイナは壁にぶつかる。
「う……いて……」
「ガイナ? どうしたの、その傷」
ガイナの左腕には包帯が巻かれており、その上からでも傷の具合が伺える。
「ん、ああ。戦ってる時にへましちまってな」
「すぐ治さなきゃ。癒術 癒やしの光」
マナの指先が光り、ガイナの傷口を照らす。
「あれ……?」
しかしガイナの傷は全く回復しなかった。
「なぜかわからないが回復しないんだ。医者いわく、時間をかけるしかない、だそうだ」
「そう……」
マナは納得がいかないという顔つきでガイナの傷を見つめていた。
◇
「さて、先の襲撃ご苦労だったな」
「うむ」
「結果として失敗こそしたが収穫も大きい。あいつが生きていた事もそうだが、騎士団を巻き込みかなりの被害を出せた」
「今まで聞いたことなかったけど、どうしてあの小僧を狙うの? 最初はフロリエル君のわがままを聞いてるだけかと思ってたけど、それだけじゃないんでしょう?」
「まぁな。あいつが生きていると困る理由がある。だが、運は俺達についてるらしい。見てみろ」
男は二枚の紙切れを出す。
「ひぇひぇひぇひぇひぇ。これは……?」
「手配書?」
「ああ。人間共は俺達より最前線で戦っていたこいつ等を魔王と思ったらしい」
「それは、なんとも」
「愚かな生き物だ。この襲撃で我々の驚異を伝えるつもりだったが……まぁ良い。随分長い間燻っていたが、そろそろ国を落とすとしようか」
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます!
ガイナ「読んでくれてありがとな!
さて、あんまり長々喋ってもあれだからパパっと行くぜ
Q10
クロトの雷術 雷撃は皮膚に強力な電圧を与えて焦がす技?
じゃあな」
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コメント
相鶴ソウ
Q10 答え
いいえ、雷撃は雷を相手の体に流し込み体内を破壊する技