最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
31話 掠っただけでアウトとかチート……
薄暗い広間。
その奥に玉座が一つ。
座っているのは真っ赤な皮膚に巨大な王冠をつけた巨人。黒とも灰色とも取れる色の着物を着ている。よく見ると人の顔、それも苦しんでいる人の顔の模様が入っている。
「クリュよ」
野太い声が広間に静かに響く。声の主は巨人だ。
「は! 父上」
その声に反応するのはまだ十五歳程度であろう少女。
巨人の足元に膝をついている。真っ黒な髪を方まで伸ばし、目は白く濁りがない。
「そろそろ限界だ。我はここを離れることが出来ぬ故、お主に頼む。ゼウスに代わる英雄を見つけ出し、我の元まで連れてこい」
「は!」
◇
古びてはいるもののしっかりとした木の扉を引く。カランカランと音がして扉が開いた。
「いらっしゃ……ってお前らか。思ってたより早かったな」
「まぁな……」
俺達はブルーバードに戻ってきていた。騎士団墓地から出てその足でここまで戻ってきたのだ。
アルギュロスは流石に疲れたのか、手のひらサイズまで小さくなり、コートのフードの中で眠ってしまった。
「で、どうなったんだ?」
「…………」
「……そうか 残念だったな」
「ああ……」
「……それで、これからどうする。うちにいるのは構わんが、お前らはそれでいいのか?」
「まだ決めてないが、暫くはここで世話になるよ」
「そうか。ま、うちは若い衆は大歓迎だ」
そんなこんなで俺達はブルーバードに世話になることになった。
それから一週間は怒涛の如く過ぎていった。
世話になると言っても、何もしないわけにはいかないので、ブルーバードの従業員として雇ってもらう事になり、こじんまりとしたバーの割には覚える事が多くて苦戦した。
一番驚いたのは昼間はガラガラのブルーバードも夜になると休む暇がないほど人が来る事だ。
「はぁはぁ……今日も……疲れた……な」
「おつかれ」
「おう、クロト。しかしながらすげぇ働きっぷりだな。常連の奴らもあの小僧はすごいって褒めてたぜ」
「そ、そりゃ良かったよ」
「今日はもう上がっていいからゆっくり休みな」
「おう、サンキュー!」
因みにエヴァは接客に一切才能が無かったため、レッグの元で氷の製造と裏方の仕事に回っていた。
「今日も疲れたな」
「うん」
俺は部屋に入り、腰に巻いていたサロンエプロンを取り、ベッドにバタンと倒れる。
「この一週間、早かったね」
「ああ、ブルーバードがあんなに繁盛してるとは思わなかったぜ」
「そうだね」
「ほんとに休む暇がないからなぁ」
「ヴァランさん、わざとクロトに用事押し付けてた。クロトが一時でも暇にならないように気を配ってた」
「ん? なんでそんなことを」
「クロトが、イザベラさん処刑のショックに飲み込まれないように」
確かに……
この一週間忙しすぎて、中々ゆっくり考える時間もなかったな。
「ヴァランの奴、余計な事を……でも、今度礼を言わないとな。おかげでだいぶ立ち直ったよ」
「よかった! ここに帰ってきた時のクロトの顔本当に感情の欠片もなかったから」
「はは、まじかよ」
「まじ! ふふ」
俺達は笑い合いながらベッドに潜り、火を消した。
◇
次の日の朝、クロトとエヴァの部屋の扉が、バタンと大きな音を立てて開けられる。
「おい!クロト!悪いが……ってまだ寝てたか。この一週間ろくに休む暇もなかったからな。仕方ねー、今日の所はまだ寝かしてやるか」
「ヴァランさん、おはよう」
そこへ、今ので起きたのか、それともそれよりも前から起きていたのかはわからないが、エヴァが体を起こす。
「お、エヴァ。起きてたか。クロトが起きたらオレの所へ来いって言っといてくれ」
「わかった」
頼むぜーと言いながら扉がバタンと閉まる。
エヴァはまだ布団の中で寝息を立てているクロトを見ながら思う。これはあと数時間は起きない……
◇
ヴァランはクロトの部屋を出たあと、すぐに酒場へ向かった。
「よぉ、レッグ。相変わらず早いな」
「まぁな。ところで、例の件は?」
「ん、クロトのやつがまだ寝てたんで、起きてからすることにした」
「そうか……いい返事が貰えるといいな」
「ああ」
◇
それから更に数時間後。クロトの部屋。
「んーーー、ふぅ。よく寝た……ってうぉ!びっくりした。どうしたエヴァ?」
俺のベッドのすぐ横でジーっと俺を見るエヴァに声をかける。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「ヴァランさんが呼んでたよ」
「お、マジか。すぐ行かねぇ‥‥‥ありがとな!」
「うん」
俺はささっと着替えを済ませ、サロンエプロンを腰に巻き、テンペスターをさす。
ブルーバードに来る客は基本的に話のわかる飲んだくれが多いので、トラブルなんて滅多にないのだが、それでも酒が入ると人間何をしでかすかわからないもので、たまに殴り合い斬り合いの喧嘩が起きたりする。
その時にテンペスターを使うことにしている。
俺はもはや慣れ親しんだ階段を駆け上り、酒場に出る。後ろからエヴァがついてくる気配がしたが、歩きだったので置いて行く。
「ヴァラン!悪い……なんだ? 用事って」
「お、クロト。やっと起きたか。お前に折り入って頼みたいことがあってな……」
「な、何だよ急に」
そこへエヴァが現れ、レッグと会話を始める。
「レッグさん おはよう」
「……エヴァか、おはよう。そろそろ酒の作り方を教えてやろうと思う」
「うん」
「よし、じゃあこっちに来てみろ」
そんな会話を耳に入れながらヴァランとの話に戻る。
「オレと一緒にすぐ近くの森に入ってくれ」
「なんだよ、そんなことか。もちろんいいぜ」
「助かるぜ」
この大陸には大魔森というエルトリア城下町よりも全然でかい森があり、そこに魔物が生息しているが、それ以外の場所にも森はあり、そこに生息している魔物も多くいる。
だいたい一つの森で街三個は入るほどのデカさだ。
俺達はブルーバードを出ると高台を降り、西に少し行ったところに広がる森へと入っていった。
すぐにアルギュロスが付いてくる。こいつは最近ウルフというより犬だな。いや、ウルフと犬はかなり近い種族か。
「しかしなんで今日はまた俺を誘ったんだ?」
「ん、まぁ狙う獲物がちと強いのと、少し話がしたくてな」
「話?」
「ああ、この一週間でだいたい心は決まったはずだ。この先、どうする?」
「そうだな、俺はイザベラさんを殺した帝国を許さない。だから……」
「ご主人様! 全方位より魔物多数。危険です」
「……っ! ヴァラン!」
「ああ」
俺はテンペスターを抜きアルギュロスとヴァランに背中を向ける。
ヴァランも剣を抜き構える。
アルギュロスは中型犬サイズだったのが、元の二メートルサイズに戻り牙をむき出している。
暫く静かだったが、なんの前触れもなく巨大な魔物が群れで現れた。出現したのは巨大な蜂の魔物で、名前は確かマーダラービー。二級魔物だ。
「こいつは……」
「マーダラービー。群れで行動し、けつに付いた毒針で確実に獲物を仕留める、自然の殺し屋だ。掠っただけでも死ぬと思え!」
「おう!」
「ガルゥ」
四方八方を数十のマーダラービーが囲っている。
毒針は掠っただけでもアウト……なら!
「雷帝流 雷千剣」
斜め下から上へ薙ぎ払う。
剣を振り切った剣先から雷が飛び一体のマーダラービーに直撃。シューと音を立てながら落ちる。
さらに薙ぎ払った斬撃が千に分かれ、マーダラービーを襲う。一発の威力は低いものの、対象が少ないため一体に集中しやすい。次々に落ちていく。
「ガルゥゥ……嵐術 風圧大砲」
アルギュロスの口から放たれた暴風がマーダラービー達を吹き飛ばし、お互いにぶつかり地面に落ちる。そこへアルギュロスの爪がとどめを刺す。
流石超級、強いな。
俺は目の前から迫ってくる二体のマーダラービーを斬り捨て、ヴァランの様子を見る。
「水術 水刃」
二、三枚の水の刃が、マーダラービーの胴体やら羽やらを引き裂き、地面に落とす。
そこへ後ろから数体のマーダラービーが迫る。
「ヴァラン!後ろ!」
「チッ、喰らいな。波術 水陣」
ヴァランは手のひらをマーダラービー達の方へ向ける。
そこからから溢れ出した水がマーダラービーを外へ押し出す。が、その程度へでもないマーダラービーたちは再びヴァランへ向かう。
今度は後ろだけじゃなく、全方位からだ。
俺は周りに群がるマーダラービーを蹴散らしながら救援に向かおうとするが思うように進めない。一撃の被弾が命取りになることを考えれば慎重にならざる得ない。
アルギュロスも似た感じだ。
「ま、心配すんな。『水刃』と『水陣』を合わせて……波術 水陣・刃返し」
再びヴァランの周りから溢れ出した水がマーダラービーへ向かう。
今回は水の先が刃になっている。そこへ突っ込んでいったマーダラービーは次々に体を真っ二つにされていく。
「さて、あとはあいつらだけか」
「みたいだな」
俺達は正面から迫ってくる五体のマーダラービーに狙いを定める。
「全員で合わせるぞ。波術 水刃・蝶の舞」
「ガルゥゥ……風術 風圧銃」
「雷術 雷槍」
蝶の如く舞う水刃と風の塊、風圧銃、そして雷槍が混ざり合い五体に直撃する。
水に体を引き裂かれ、風に揉まれ、雷に貫かれる。
いくら魔物でもあそこまでもみくちゃにされると、なんだかかわいそうだな……
「ふぅ、なんとかなったな」
「ああ、危なかった」
「ご主人様、お怪我は?」
「あったら死んでるな」
「さて、数匹ケツの部分が無事なやつが居るな。そいつらは持って帰るぞ。酒の原液になるんだ」
へぇーと思いつつ一体のマーダラービーを拾い上げる。
あんまり飲みたくないな……
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
はい!第二章記念すべき1話目はどうだったでしょうか!
戦闘シーンもたくさん書きたいなぁということで、1話からぶっこんでみました。
私は頭の中でイメージしたものをそのまま書いてるだけなのでわかるのですが、どうですかね?戦闘シーン、頭で浮かびますかね?
まだまだ駄文ですが、いつかはアニメみたいに浮かんだらいいなぁと思ってます!
そして第二章より、あとがきコーナーにてキャラが喋るだけでなく、そのキャラに関連したり、その話に関連するようなクイズを一話一問つけようかなーと思います!新たな試みですね!
とりあえずお試しでやってみましょう!
答えはコメント欄に書いておきますので、心の中で想像して、コメント欄で答えを確認して、合ってたり間違ってたり何かしらの感想を書いてってください!(というコメントしてもらう為にコメント欄を開かせる作戦なのは内緒)
あ、クイズの難易度とか要望あったら書いてください!
たまにかなり難しいのも入れるので!
クロト「31話読んでくれてありがとうな!
感想はコメントにしてくれ!質問は質問箱が1話の前にあるから、そこに!
いいねフォロー待ってるぜ!
さて、本日のクイズ
Q1 俺が愛用している剣 こいつは誰が作ったなんという名前の剣でしょう!
カンニングは禁止だぜ
じゃあなー!」
その奥に玉座が一つ。
座っているのは真っ赤な皮膚に巨大な王冠をつけた巨人。黒とも灰色とも取れる色の着物を着ている。よく見ると人の顔、それも苦しんでいる人の顔の模様が入っている。
「クリュよ」
野太い声が広間に静かに響く。声の主は巨人だ。
「は! 父上」
その声に反応するのはまだ十五歳程度であろう少女。
巨人の足元に膝をついている。真っ黒な髪を方まで伸ばし、目は白く濁りがない。
「そろそろ限界だ。我はここを離れることが出来ぬ故、お主に頼む。ゼウスに代わる英雄を見つけ出し、我の元まで連れてこい」
「は!」
◇
古びてはいるもののしっかりとした木の扉を引く。カランカランと音がして扉が開いた。
「いらっしゃ……ってお前らか。思ってたより早かったな」
「まぁな……」
俺達はブルーバードに戻ってきていた。騎士団墓地から出てその足でここまで戻ってきたのだ。
アルギュロスは流石に疲れたのか、手のひらサイズまで小さくなり、コートのフードの中で眠ってしまった。
「で、どうなったんだ?」
「…………」
「……そうか 残念だったな」
「ああ……」
「……それで、これからどうする。うちにいるのは構わんが、お前らはそれでいいのか?」
「まだ決めてないが、暫くはここで世話になるよ」
「そうか。ま、うちは若い衆は大歓迎だ」
そんなこんなで俺達はブルーバードに世話になることになった。
それから一週間は怒涛の如く過ぎていった。
世話になると言っても、何もしないわけにはいかないので、ブルーバードの従業員として雇ってもらう事になり、こじんまりとしたバーの割には覚える事が多くて苦戦した。
一番驚いたのは昼間はガラガラのブルーバードも夜になると休む暇がないほど人が来る事だ。
「はぁはぁ……今日も……疲れた……な」
「おつかれ」
「おう、クロト。しかしながらすげぇ働きっぷりだな。常連の奴らもあの小僧はすごいって褒めてたぜ」
「そ、そりゃ良かったよ」
「今日はもう上がっていいからゆっくり休みな」
「おう、サンキュー!」
因みにエヴァは接客に一切才能が無かったため、レッグの元で氷の製造と裏方の仕事に回っていた。
「今日も疲れたな」
「うん」
俺は部屋に入り、腰に巻いていたサロンエプロンを取り、ベッドにバタンと倒れる。
「この一週間、早かったね」
「ああ、ブルーバードがあんなに繁盛してるとは思わなかったぜ」
「そうだね」
「ほんとに休む暇がないからなぁ」
「ヴァランさん、わざとクロトに用事押し付けてた。クロトが一時でも暇にならないように気を配ってた」
「ん? なんでそんなことを」
「クロトが、イザベラさん処刑のショックに飲み込まれないように」
確かに……
この一週間忙しすぎて、中々ゆっくり考える時間もなかったな。
「ヴァランの奴、余計な事を……でも、今度礼を言わないとな。おかげでだいぶ立ち直ったよ」
「よかった! ここに帰ってきた時のクロトの顔本当に感情の欠片もなかったから」
「はは、まじかよ」
「まじ! ふふ」
俺達は笑い合いながらベッドに潜り、火を消した。
◇
次の日の朝、クロトとエヴァの部屋の扉が、バタンと大きな音を立てて開けられる。
「おい!クロト!悪いが……ってまだ寝てたか。この一週間ろくに休む暇もなかったからな。仕方ねー、今日の所はまだ寝かしてやるか」
「ヴァランさん、おはよう」
そこへ、今ので起きたのか、それともそれよりも前から起きていたのかはわからないが、エヴァが体を起こす。
「お、エヴァ。起きてたか。クロトが起きたらオレの所へ来いって言っといてくれ」
「わかった」
頼むぜーと言いながら扉がバタンと閉まる。
エヴァはまだ布団の中で寝息を立てているクロトを見ながら思う。これはあと数時間は起きない……
◇
ヴァランはクロトの部屋を出たあと、すぐに酒場へ向かった。
「よぉ、レッグ。相変わらず早いな」
「まぁな。ところで、例の件は?」
「ん、クロトのやつがまだ寝てたんで、起きてからすることにした」
「そうか……いい返事が貰えるといいな」
「ああ」
◇
それから更に数時間後。クロトの部屋。
「んーーー、ふぅ。よく寝た……ってうぉ!びっくりした。どうしたエヴァ?」
俺のベッドのすぐ横でジーっと俺を見るエヴァに声をかける。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「ヴァランさんが呼んでたよ」
「お、マジか。すぐ行かねぇ‥‥‥ありがとな!」
「うん」
俺はささっと着替えを済ませ、サロンエプロンを腰に巻き、テンペスターをさす。
ブルーバードに来る客は基本的に話のわかる飲んだくれが多いので、トラブルなんて滅多にないのだが、それでも酒が入ると人間何をしでかすかわからないもので、たまに殴り合い斬り合いの喧嘩が起きたりする。
その時にテンペスターを使うことにしている。
俺はもはや慣れ親しんだ階段を駆け上り、酒場に出る。後ろからエヴァがついてくる気配がしたが、歩きだったので置いて行く。
「ヴァラン!悪い……なんだ? 用事って」
「お、クロト。やっと起きたか。お前に折り入って頼みたいことがあってな……」
「な、何だよ急に」
そこへエヴァが現れ、レッグと会話を始める。
「レッグさん おはよう」
「……エヴァか、おはよう。そろそろ酒の作り方を教えてやろうと思う」
「うん」
「よし、じゃあこっちに来てみろ」
そんな会話を耳に入れながらヴァランとの話に戻る。
「オレと一緒にすぐ近くの森に入ってくれ」
「なんだよ、そんなことか。もちろんいいぜ」
「助かるぜ」
この大陸には大魔森というエルトリア城下町よりも全然でかい森があり、そこに魔物が生息しているが、それ以外の場所にも森はあり、そこに生息している魔物も多くいる。
だいたい一つの森で街三個は入るほどのデカさだ。
俺達はブルーバードを出ると高台を降り、西に少し行ったところに広がる森へと入っていった。
すぐにアルギュロスが付いてくる。こいつは最近ウルフというより犬だな。いや、ウルフと犬はかなり近い種族か。
「しかしなんで今日はまた俺を誘ったんだ?」
「ん、まぁ狙う獲物がちと強いのと、少し話がしたくてな」
「話?」
「ああ、この一週間でだいたい心は決まったはずだ。この先、どうする?」
「そうだな、俺はイザベラさんを殺した帝国を許さない。だから……」
「ご主人様! 全方位より魔物多数。危険です」
「……っ! ヴァラン!」
「ああ」
俺はテンペスターを抜きアルギュロスとヴァランに背中を向ける。
ヴァランも剣を抜き構える。
アルギュロスは中型犬サイズだったのが、元の二メートルサイズに戻り牙をむき出している。
暫く静かだったが、なんの前触れもなく巨大な魔物が群れで現れた。出現したのは巨大な蜂の魔物で、名前は確かマーダラービー。二級魔物だ。
「こいつは……」
「マーダラービー。群れで行動し、けつに付いた毒針で確実に獲物を仕留める、自然の殺し屋だ。掠っただけでも死ぬと思え!」
「おう!」
「ガルゥ」
四方八方を数十のマーダラービーが囲っている。
毒針は掠っただけでもアウト……なら!
「雷帝流 雷千剣」
斜め下から上へ薙ぎ払う。
剣を振り切った剣先から雷が飛び一体のマーダラービーに直撃。シューと音を立てながら落ちる。
さらに薙ぎ払った斬撃が千に分かれ、マーダラービーを襲う。一発の威力は低いものの、対象が少ないため一体に集中しやすい。次々に落ちていく。
「ガルゥゥ……嵐術 風圧大砲」
アルギュロスの口から放たれた暴風がマーダラービー達を吹き飛ばし、お互いにぶつかり地面に落ちる。そこへアルギュロスの爪がとどめを刺す。
流石超級、強いな。
俺は目の前から迫ってくる二体のマーダラービーを斬り捨て、ヴァランの様子を見る。
「水術 水刃」
二、三枚の水の刃が、マーダラービーの胴体やら羽やらを引き裂き、地面に落とす。
そこへ後ろから数体のマーダラービーが迫る。
「ヴァラン!後ろ!」
「チッ、喰らいな。波術 水陣」
ヴァランは手のひらをマーダラービー達の方へ向ける。
そこからから溢れ出した水がマーダラービーを外へ押し出す。が、その程度へでもないマーダラービーたちは再びヴァランへ向かう。
今度は後ろだけじゃなく、全方位からだ。
俺は周りに群がるマーダラービーを蹴散らしながら救援に向かおうとするが思うように進めない。一撃の被弾が命取りになることを考えれば慎重にならざる得ない。
アルギュロスも似た感じだ。
「ま、心配すんな。『水刃』と『水陣』を合わせて……波術 水陣・刃返し」
再びヴァランの周りから溢れ出した水がマーダラービーへ向かう。
今回は水の先が刃になっている。そこへ突っ込んでいったマーダラービーは次々に体を真っ二つにされていく。
「さて、あとはあいつらだけか」
「みたいだな」
俺達は正面から迫ってくる五体のマーダラービーに狙いを定める。
「全員で合わせるぞ。波術 水刃・蝶の舞」
「ガルゥゥ……風術 風圧銃」
「雷術 雷槍」
蝶の如く舞う水刃と風の塊、風圧銃、そして雷槍が混ざり合い五体に直撃する。
水に体を引き裂かれ、風に揉まれ、雷に貫かれる。
いくら魔物でもあそこまでもみくちゃにされると、なんだかかわいそうだな……
「ふぅ、なんとかなったな」
「ああ、危なかった」
「ご主人様、お怪我は?」
「あったら死んでるな」
「さて、数匹ケツの部分が無事なやつが居るな。そいつらは持って帰るぞ。酒の原液になるんだ」
へぇーと思いつつ一体のマーダラービーを拾い上げる。
あんまり飲みたくないな……
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
はい!第二章記念すべき1話目はどうだったでしょうか!
戦闘シーンもたくさん書きたいなぁということで、1話からぶっこんでみました。
私は頭の中でイメージしたものをそのまま書いてるだけなのでわかるのですが、どうですかね?戦闘シーン、頭で浮かびますかね?
まだまだ駄文ですが、いつかはアニメみたいに浮かんだらいいなぁと思ってます!
そして第二章より、あとがきコーナーにてキャラが喋るだけでなく、そのキャラに関連したり、その話に関連するようなクイズを一話一問つけようかなーと思います!新たな試みですね!
とりあえずお試しでやってみましょう!
答えはコメント欄に書いておきますので、心の中で想像して、コメント欄で答えを確認して、合ってたり間違ってたり何かしらの感想を書いてってください!(というコメントしてもらう為にコメント欄を開かせる作戦なのは内緒)
あ、クイズの難易度とか要望あったら書いてください!
たまにかなり難しいのも入れるので!
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コメント
コング“シルバーバック”
武器の名前は一瞬でわかったけど、製作者の名前を「ガーデン」って間違えてしまった…
よくよく考えたら名前が「庭」って変だなw
もっと熟読せねば……
相鶴ソウ
Q1の答えは
『ガーデルさんが作ったテンペスター』でした!
流石に簡単すぎました??