最弱属性魔剣士の雷鳴轟く

相鶴ソウ

18話 感動と訓練と魔族

 雷槍はバチバチと音を立てながら結界に突き刺さる、が向こう側には貫通せず、一際大きくバチッと音を立てて爆散した。火柱も同じく結界に阻まれその場で霧散。
 三つの魔術がぶつかった衝撃波は凄まじく、あたり一帯が砂煙に覆われる。


「な、なんだ……」

「うわぁ 目に砂が……」

「え、え?」


 周りにいた生徒たちは砂煙を予測出来ずもろに食らっていた。


 砂煙が収まり、少しずつ周りが見えてくる。
 俺とアイリーンの間に割って入った人物の姿が徐々に見えてくる。エメラルドグリーンの髪。腰には薔薇のモチーフで飾られた剣。全身に纏った白い鎧と赤いマントにはペガサスが描かれている。


「き、貴様は……」

「イザベラさん!?」

「ふふ、久しぶり……でもないか」


 そこに居たのは俺の恩人であり師匠でもあるイザベラさんだった。ほんの短い間しか離れていなかったとは言え、かなり久しぶりな気がする。


「さてと、アイリーン。さっきクロトとエヴァリオンさんは魔術学科を受ける資格が無いと言ったけど、学園側から許可はちゃんと出てるわよ? でなければここには居ないもの」

「くっ……だったとしてもだ! 最弱と悪魔に教える事など一つもない」

「俺もあんたから教えてもらう事なんて一つもない。行こう、エヴァ」

「う、うん」


 俺はエヴァと共に第二演習場から出ようと出口に向かうと後ろからマナ達が追ってきた。


「私達も行くわよ 仲間でしょ?」


 仲間達に感動しつつ俺たちは学園を出る。決してプラスに働く出来事ではなかったのだろうが、演習場を出るときの気持ちは清々しく、この先に起こるであろう不利益すらもどうにかできる気がした。仲間とは、不思議な存在だなとしみじみと噛みしめる。


「クロト、顔がお爺ちゃんみたいだよ」


 エヴァがツッコミ、みんなが笑う。そういえばイザベラさんには何も言わずに来てしまったが、よかったのだろうか。今から演習場に戻るわけにもいかないし、後で家まで尋ねてみようか。
 そんな事を考えつつもしばらく黙々と歩いた後、マナが話し始めた。


「はぁ、全く。真っ向から反抗するなんてどういうつもりよ」

「な、何だよ急に……さっきの感動的な感じはどこに行ったんだよ」 

「冷静に考えると、って事よ」

「いいじゃねぇか。その方がおもしれぇ」

「面白くはねぇよ。しかしみんな良かったのか?」

「私は……まぁなんとかするわ」

「俺は問題ねぇよ。元々親父にだいぶしごかれてたからな、今更習う事もねーよ」

「僕も大丈夫だ。ずっとイーニアスを護衛するために訓練していたからね」

「そうか、で、これからどうする? 午後からはいつも通り総合学科があるから午前中時間を潰さないと」


 四人の頭から?が出てくるのが目に見えるようだ。そんな顔してる。


「ふふ、アイリーンに反抗して出ていったのにその後のこと何も考えてなかったの?」


 不意に後ろから話しかけられる。


「イザベラさん!」

「私がせっかくフォローに入ったのに出ていっちゃうなんて……まぁとりあえず私の家にいらっしゃい。そこで話しましょ」


 心の中でごめんなさいと謝りつつも、イザベラさんの後に続き、イザベラさんの家へ向かった。





「さて、ガイナ君にマナちゃん、エヴァリオンさんとレイグ君ね。私は天馬ペガサス騎士団 団長のイザベラよ」

「「「あ、よろしくお願いします」」」


 全員が全員一様の挨拶をする混沌とした空間に、レイグが斬りこむ。


「なぜ僕達の名前を?」

「ん?クロトから聞いたのよ……って、クロト言ってなかったの?」

「あ、そういえば、言ってませんでした。実は……」


 特に隠していたわけではないが、言う機会が無かったので説明していなかったのだ。
 俺は一年前のミノタウロス事件のことや、その後イザベラさんに助けられたこと等を手短に話した。エヴァは前に話していたのでそうそう、と言うように頷いている。


「なるほどなぁ、お前の無知な理由がなんとなくわかったぜ」

「雷属性なのにそこまで強い理由もね。イザベラさんに鍛えられたのなら納得だ」

「ま、てなわけだ。そんな事より、つい流れでイザベラさんの家に来ちゃったけど、これからどうする?」

「自主訓練しかねぇだろ」

「幸いなことにある程度の知識はあるからね。自学自習でもなんとかなるだろう。もし行き詰まれば魔術書を漁るのもいいかもしれないな」

「あ、そういえばこの中に光属性の子はいるの?」


 俺達が意見を出し合う様子を今まで黙ってお茶を飲んでいたイザベラさんが話す。


「あ、私光属性です!」


 そういえば、マナは光属性だったな。すっかり忘れてた。


「おっけー、じゃあマナちゃんは私が鍛えてあげるわ」

「え、ありがとうございます!」

「気にしないで」


 手をひらひら振りながら軽く言うイザベラさん。
 でも実際のところ騎士団長レベルの人から鍛えてもらうなんてそうそうあることじゃない。


「さて、じゃあ俺たちは自主練と行くか」

「おう!」

「…………ん」

「ああ」





 そしてそれから一ヶ月経ち、今に至る。


「ん…………クロト。これ」

「ん?」


 総合学科の授業が終わり、さぁ帰ろうかという時、エヴァが何かを見つけた。
 学園の入り口に置いてある掲示板。普段から連絡等が貼られているのでこまめにチェックしておかないと明日の授業内容すらわからない。故に学園に来た時と帰る時は確認するようにしている。


 そしてエヴァが指さしたのは一枚の指名手配兼注意喚起だった。


「んーと、なになに……」


 現在国民区、騎士団区にて謎の人影を確認。すでに死者は三十名を超え、負傷者もかなりの数が出ている。
 遭遇した目撃者の情報によれば人影は『魔族』と名乗っていたらしい。
 夜道に突然現れ、襲って来る模様。被害にあった死体には、全て『心臓』だけが無く、それ以外の外傷がないため、心臓を狙っているものと思われる
 以上のことを踏まえ、国王陛下より、夜間外出禁止令が発令。民間人はくれぐれも夜間の外出は控える事。


「……か」

「……ん」

「なぁエヴァ、魔族って……?」

「種族学の授業じゃまだ魔族はやってないもんね。この大陸よりさらに北にある大陸に魔王を信仰する一族がいるの。それが魔族……人間より多い魔力を持ち、一人一つ必ず異能を持っている。見た目は人とそんなに変わらないよ」

「異能って言うのは?」

「人理限界みたいな感じ? でも人理限界は言わば才能みたいなもので、私は二属性を複合させる才能を持っているから氷術を使えるってわけ。異能ってのは特殊な能力その物を指すから、氷術そのものって感じだよ」

「へー、そうなのか。全員が必ず持ってるって、魔族はすごいな。……とりあえず夜出歩くのはやめたほうがいいな」

「……うん!」


 俺達は魔族を気にしながらも遭遇する事は無いだろうと高を括っていた。


 まさかこの魔族のせいで、俺達の運命が大きく変わるとは夢にも思わず。



ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
18話読んでいただきありがとうございます!

今回も少し少なめですね……
最近クオリティ、量低めですみません!
明日でテストが終わるので明日からはまたもとに戻せるように頑張ります!

※ここ一週間ほど勉強するため雑になってしまった部分があるのでまた修正します。
物語に大きな影響はないのでご安心ください。
また、変更した場合にはお知らせいたします。



マナティア「皆さん!18話どうでしたか!」

ガイナ「どうでしたかと聞かれてもなぁ」

マナティア「ガイナは黙ってなさい」

レイグ「喧嘩はあとにしてくれ」

ガイナ「俺は悪くねぇよ」

マナティア「私が悪いとでも?」

レイグ「うるさいよ

18話読んでいただきありがとうございます

これからもよろしくお願いします!」

マナティア「コメント、グッド、フォロー、よろしくお願いします」

ガイナ「じゃあ、またな」

マナティア・レイグ「「ばいばーい」」

コメント

  • 相鶴ソウ

    頑張ります!!

    0
  • コング“シルバーバック”

    テストFight! ٩( ᐛ )و

    2
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