最弱属性魔剣士の雷鳴轟く

相鶴ソウ

14話 斬る物、斬らぬ物

「……ガーデルさん、いい人だった」


 俺達は、ガーデルさんからそれぞれ武器を貰い寮に帰ってきた。
 まぁ俺はもらってないのだが、テンペスターがあるので特に必要もない。が、実は密かに二刀流に憧れてたりする。


 図書館で先代国王についての本を読んで以来憧れるようになった。
 先代国王の名はデルダイン・エルトリア。俺と同じ雷の属性をもつ王だ。雷は最弱と言われてきたが、このデルダイン先代国王だけは例外らしい。二本の剣で稲妻の如く戦場を駆け回る姿から雷神とまで呼ばれたほどだ。


「あぁ、そうだな。そういえばエヴァは何をもらったんだ?と言うかエヴァって武器を使うのか?」

「うん、一応短剣術は心得てるよ。だからこれ貰った」


 と言って差し出してきたのは真っ赤な鞘のナイフだ。刀身は白に若干水色がかっている。


「へぇ、きれいなナイフだな 。でもあの棚にあるって事は欠陥があるって事だろ。何が欠陥なんだ?」

「このナイフ、魔力を斬ることができるんだけど、逆に物体を全く斬ることが出来ないの
ほら」


 ほら、とエヴァは自分の腕にポンポンとナイフを当てる。
 確かに斬れてない。


「それはそれで何かと便利なんじゃないか?」

「やっぱりそう思う?だから私もこれにした!」


 と言ってニコニコとナイフを掲げるエヴァ。
 最近思うようになった事だが、マナは超美少女だ。だが、エヴァも負けず劣らず可愛い。金髪のロングストレートに前髪ぱっつん、背は低く胸は絶壁。小顔に大きな瞳、色は薄い赤。


 そんな子と同室なんて俺の理性はよく持っている方だと褒めてほしい。


「名前は? ナイフの名前」

「えーっと、たしか……ウィンガルヘイト? だったかな?」

「ウィンガルヘイト……いい名前だな」

「うん!」


 その後俺達は眠り、明日に備えることにした。
 明日からは授業が始まる。午前中は一日交代で武術と魔術の授業があり、午後は日替わりで総合学科の授業がある。


 明日はたしか午前中武術の午後は魔物学だったかな。
 とにかくはじめての授業。頑張ろう。


「ん〜 氷術〜…… むにゃむにゃ」


 最近は寝言を言うことが増えた。
 びっくりするからやめてほしい。いつか寝てる間に魔術使って寮破壊なんて起きなきゃいいけど……





「さて、これから武術学科の授業を始める。まぁそう身構えるな 最初は軽い説明だ」


 ガーデルさんの所に行った次の日、俺達は予定通り授業を受けていた。
 アラン団長が担当らしいけど……死人は出ないよな…………


「知っての通り武術学科には武術学と訓練学の2つに別れている。武術学は構えの形や、剣術の理論を習う。対して訓練学は武術学で学んだことを実際に習得する授業だ。通常前半武術学、後半訓練学の予定だ」


 なるほど、まぁイザベラさんから話を聞いていたからさほど驚きもない。


「ではこれより武器ごとに別れる。大まかに剣、槍、斧、弓、その他で別れてくれ
短剣、大剣、刀、細剣は剣に含まれる」


 普段俺達が使う武器は俺、エヴァ、レイグ、マナは剣だった。
 が、マナは「細剣ならお母様が教えてくれるわ」と言って弓に行ってしまった。前から興味があったらしい。
 唯一剣ではなかったガイナは斧に行った。
 「斧なら俺の巨体を活かせるぜぇ」とか訳のわからないことを言っていた。そういえばガーデルさんにも斧をもらってた気がする。


「よし!片手剣を使うやつは俺、アランが担当する。短剣、大剣、刀、細剣はそれぞれ担当がいるのでそいつのところに行ってくれ」


 俺はちらっと短剣担当の人を見る。
 茶髪の髪をショートにした優しそうな女性だ。他の人と違い、鎧が白い。そして肩当ての部分にペガサスの絵が書いてあることから天馬ペガサス騎士団だとすぐにわかった。
 あの人ならエヴァに危害はなさそう。直感だが、そんな気がする。


「よし、片手剣組はこれだけだな」


 俺を含めて残ったのは十数人だ。だがメンバーを見てみればイーニアス、その護衛のパトリックもいる。シリウスも。


「うむ、何人かは自分の剣を持っているようだが、訓練ではこの中にある剣を使ってくれ」


と、アラン団長は樽の中に入った数十本の剣を指す。


「まぁ理由としては剣の性能に頼らないようにするためと、訓練中に破損した時の保証ができないからだ」


なるほど、正当な理由だな。


「なお、この中にある剣はいくら折ってもらっても大丈夫だ。無論、故意に折った場合はそれなりの責任をとってもらうがな。それと訓練中の怪我に関してだが、ドラゴン騎士団の中でも屈指の癒術使いに来てもらってる。上半身と下半身が離れても生きられるぞ」


 いやこえーよ。
 どうやったら訓練中に上半身と下半身が離れるんだよ……と、内心思いつつ。


 それからは剣術の話が始まった。
 主に豪傑流、疾風流、神明流の話だった。俺はイザベラさんから聞いている上に既に黒帝流、雷帝流を使っているので関係のない話だ。と思ったがすぐに真剣に話を聞くことにした。
 なぜなら他流派の知識を持っていれば、相手がどんな流派でもある程度対応できると思ったからだ。


「まぁ知っているとは思うが、豪傑流は防御を捨て、攻撃にだけ特化した流派だ
その攻撃力は凄まじく、神明流はこれを苦手とする 逆に疾風流は豪傑流に相性がいい」


 豪傑流、イザベラさんの使っている流派だ。
 あのパワーは恐ろしい……女性でも大地にヒビが入るほどだからな。


「次が、疾風流。攻撃は豪傑流に劣るもののスピードは3つの中でトップだ。技の基本は斬撃よりも刺突よりなので、強力な突きが多い。こいつは豪傑流に相性がいいが、神明流は苦手だ」


 疾風流は俺の黒帝流の元となった流派だ。それだけに多少はできる。が、今となっては疾風流そのものはできないだろうな。


「最後が神明流 こいつは三つの中で一番難しいとされる流派だ。攻撃か防御で言えば防御向きだな。受け流したり、相手の攻撃を無力化するものが多い。故にパワー任せの豪傑流が苦手だが、小手先の技が多い疾風流とは相性がいい」


 シリウスが神明流の使い手だったな。
 攻撃を受け流したり、その攻撃を無力化する原理をちらっと本で読んだが、ちんぷんかんぷんだった。いくら身体能力が高くても頭が無いと出来ない唯一の流派だったか。


「よし、じゃあ既に流派が決まっている者はいいが、決まっていない者は明後日までに決めてきてくれ」


 そしてアラン団長は腰の剣を部下に預けて、樽の中から1本剣を取り鞘から抜く。


「よし、じゃあこれから訓練学に移る。全員の力を試したい!ので、俺との模擬戦を行う。準備ができたものからかかってこい!」


 いや、いやいやいやいやいや、いくらなんでもいきなりすぎだよ……
 周りからも戸惑いの声が上がる。


「じゃあ呼ぶから、呼ばれたら来い」

「「「そういう問題じゃねーよ!!」」」


 と、言いつつも一人、また一人と呼ばれていく。
 が勿論のこと騎士団長クラスに勝てるはずもなく、皆どこかしらに切り傷やあざを作って癒術使いの所に行っていた。


 王族など関係なくイーニアスすらボコボコにされていた。
 あれが自分にも向くと思うとあまり楽観視は出来ないが、それでも思わずにはいられなかった。アラン団長、ナイスっ!


「よーし、あと二人だな、デルガルドン。次はお前だ」


 デルガルドン?誰だそれ、と思い見てみるとイーニアスの護衛で、剣術の天才だとシリウスが言っていたパトリックだ。


 あいつのフルネーム初めて知ったな。
 パトリック・デルガルドン 剣術の天才。お手並み拝見だ。




ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
14話読んでいただきありがとうございます♪

今回はエヴァの武器、ウィンガルヘイトが登場しましたね。
その他にも復習?のため三流派の説明も入れておきました!

次回はアランvsパトリック
乞うご期待!



クロト「どもー!氷の姫イエロ・プリンセッサです!」

マナティア「いぇーい」

ガイナ「おー」

エヴァ「……」

レイグ「子供か、君らは」

ガイナ「お前もまだ十四歳だろうが」

レイグ「一番十四歳らしくない君が言うな」

ガイナ「なんだ……」

クロト「ストップ ストップ

あとがきで文字数とったら作者が怒るんだ」

ガイナ「わ、わりぃ……」

マナティア「読んでくれてありがとう!

よかったって人はグッド&コメント&フォローよろしくね

質問とかも全然オッケーです

じゃあ、またね!」

エヴァ「…………ばいばい」

クロト・ガイナ・レイグ「「「あ!勝手に!!」」」

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