最弱属性魔剣士の雷鳴轟く
4話 魔力は無限の可能性
「……あらま」
「嘘……だろ……」
俺の手から剣が落ちる。まさかこんな事予想してなかった。
いや、本来なら視野に入れるべきことであったかもしれない。でも、それはないだろうと自分勝手に決めつけていた。
数分前、俺は豪傑流を試してみた。結果は失敗で俺に豪傑流は向いていないことがわかった。そして次に疾風流。これも失敗だ
なら神明流か!と思い試してみた。が、これも失敗だ。
つまり俺はどの剣術にも向いていない事になる。そんなことあるか? イザベラさんも困った顔してるし。
あーーなんでなんだよーー!!!
「ま、まぁさっきも言った通り訓練すればどの流派でも使えるから」
た、確かにそうだ。別に一生全く使えないわけじゃない。
……でも、精神的に来るなぁ。
「と、とりあえず今日は寝よっか? また明日続きをしよ?」
「はい…そうですね……」
結局俺はこの後すぐに眠りに入り、目覚めと同時に昨日のことを思い出し再び落ち込んだ。
俺、結構女々しいな……
◇
「はぁ!……ふ、はぁ!……はぁはぁ」
「かなり動きが良くなってきたわね。その調子ならアレも実現できそうよ」
「はぁはぁ……本当ですか…… なら、もっともっと詰めていかないと」
剣術の初日訓練から二ヶ月が過ぎた。
俺は人一倍訓練さえすればどの流派でも使える事だけを頼りに剣術に没頭した。そして編み出した剣術。それが疾風流を主軸にローガン師匠の動きを取り入れたものだ。
本当は疾風流を獲得しようと思ったのだが、ローガン師匠の動きが染み付いて完璧な疾風流にならなかった為、逆に利用することにした。
これだけ染み付いていれば疾風流に専念すれば自然と混ざる。
イザベラさんもなんだか面白そう、と結構やる気だ。
もともとローガン師匠の動きは豪傑流に寄った動きでありながら、疾風流がベースとなっているため疾風流とも相性がよくうまく混ざったのだ。
「剣術はかなりいい感じね。ならあとはとりあえず魔装衣を覚えておけば学園でも困ることは無いわ」
「魔装衣?」
「ええ、魔術を使うために魔力を使うのは知ってるでしょ?」
「はい」
「魔力を自らの属性に変換させ魔術として使うのに対して魔装衣は魔力そのものを体に流すことによって身体能力を上昇させたりできるわ。ちなみに魔装衣は魔術には分類されていないわ。ただ魔力を纏わせるだけだからね」
「なるほど。確かにまだ属性のわからない俺でも習得できるって事ですね!」
「そのとおり! って言ってもそんな簡単じゃないわ。今まで意識したことない魔力を引っ張り出さなくちゃいけないの。なんとなくできたりする?」
「んー……魔力……魔力…………魔力?」
身体にある魔力を意識しようとしても肝心な魔力を知らないからどうしようもない。よく童話で羽の生えた人間が飛ぶ話がある。そういう類いの話を聞く度にローガン師匠が「そんな簡単に飛べれば苦労はしないだろう。鳥だって飛ぶのに慣れているから飛べるのだ。羽が生えただけの人間では、感覚も何もわからずに落ちるのが目に見えてる」とこぼしていた。その話とどこか似ている。魔力から全く縁のなかった俺が、急に感じようと思っても感じられないのだろう。
「…………わかりません」
「よね〜私は色で判断したわ。なにか身体の中で色がついてるものを感じ取れない?」
……色か。もう一度身体の中を探る。
…………………ん、なんだこれ。青いもやもやがある。煙みたいだが力を感じる。これが魔力か。
「見つけました!」
「お、さすがね。じゃあ、それを引っ張って自分の身体に纏わせるようにイメージできる?」
引っ張って、纏わせる。
俺は魔力を自分の方へ引き寄せる。その時ちらっと魔力の裏に赤い煙、赤い魔力が見えたが気を抜くと魔力がもとに戻ろうとするので慌てて引っ張る方に集中する。
よし、いい感じだ。
引っ張ってきた魔力を身体に纏わせる。口で言うのは簡単だが、これが思ったよりも難しい。
腕に集中しすぎると腕に魔力が溜まりすぎて他の場所に魔力が行かない。他も同じような感じだ。なら、魔力を中心に集め、等間隔で各部位に魔力を流す。
「お」
身体が軽くなるのを感じた。目を開けると笑顔のイザベラさん。
うまく行った!
「出来たみたいね! すごいわ。こんな短期間で魔力を感じとって、さらに魔装衣も発動できる人は中々いないのよ!」
おお、なかなかすごいらしい。さっきまでが嘘のように体が軽い。
これが魔力を纏わせるという事か。
「でも今の学園は魔装衣を推奨してないのよね」
「と、言うと?」
「学園ではこれを教えていないの。二十年ぐらい前にこれより簡単に能力を底上げできる無属性魔術が開発されたの。底上げするより習得が簡単だから今はこっちが主流ね」
「そうなんですか……ならなぜ俺に魔装衣を?」
「ふふ…その無属性魔術のメリットは楽なだけなのよ。上昇する能力値は魔装衣の方が断然高いわ。しかも無駄な工程がないしね!」
「なるほど!」
「さてと、上手く行ったみたいだし一回実戦しときましょうか」
と、イザベラさんが剣を抜く。
確かに一度ぐらいは使っておきたいものだ。
俺はもう一度魔装衣を発動させ左手を握り前に出し右手に持つ剣の先をイザベラさんの方に向け構える。
「行きますよ」
「ええ、来なさい」
「疾風亜流 撃突」
「豪傑流 撃鉄」
俺は疾風流の速度で一気に接近し、全力を込めて突く。と言ってもこれは疾風亜流。完璧な疾風流ではない。
イザベラさんも豪傑流の構えから俺の剣目掛けて振り下ろす。
豪傑流のパワーと魔装衣で強化された俺のパワーがぶつかりかなりの衝撃が起きる。
俺は負けないように足を踏ん張り、両手で剣を持って押す。
まずい…… 一瞬そう思った矢先に俺の剣は突きの威力より上から叩きつけられる圧力に負け、方向を真下にずらされる。そのまま地面に叩きつけられ、拮抗は勝敗を伴って静止に変わる。
撃鉄の切っ先が俺の肩に掠め、切り傷が出来ている。切り傷よりも受けた衝撃での打撃の方が痛みが強い。
「ごめんなさい! かなりのパワーでつい嬉しくなっちゃって……」
イザベラさんが心配そうに傷を診てくれる。
「だ、大丈夫ですよ」
切れているとはいえ、傷は浅く、放っておけばすぐに治る傷だろう。
「ちょっと待っててね。癒術 癒やしの光」
薄い緑色の光が俺の体を包む。すると痛みが引いていき腕や足の傷が消えていく。
「イザベラさん、癒術を使えたんですか?」
「ええ、私の魔術属性は光。光魔術の派生に癒術があるの」
「なるほど。でも、俺が読んだ本では癒やしの光は癒術の中でも初級の魔術ですよね。なのに全身を治す程の力があるんですね」
撃鉄の威力で飛び散った小石が俺の全身に傷を作っていたが、それも残らず回復されている。
「あー、それはね……魔術って昔はもっと強かったのよ。いま初級と言われている魔術もかなり威力のある魔術だった。衰退した理由は現代の人は自分が持っている魔力のほんの一部しか利用出来てないのと、そもそも持ってる魔力量が昔と比べてかなり低くなってることね」
「ほんの一部?」
「そう。年々消費魔力の少ない魔法が開発されるから昔に比べて必要な魔力が減ったのよ
その影響で現代の人は魔力の一部しか使えてない。だから必然的に魔術の威力も低くなるの」
「じゃあイザベラさんはどうして……」
「ふふふ…私に魔術を教えてくれた人が教えてくれたの。持っている魔力をすべて利用するやり方をね。クロトにも魔術属性がわかったら教えてあげるわ」
「あ、ありがとうございます!」
気にしないでと言ってイザベラさんは家に入り俺を手招きする。
今日はもう寝ようって事らしい。よし、順調に強くなれてるはずだ。明日からも頑張ろう!
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
「最弱属性魔剣士の雷鳴轟く」4話読んでいただきましてありがとうございますー!
魔装衣いいですね〜私も使いたい……
読み方等々わからなければコメントにて教えてください!
よろしくお願いします!
クロト「いてててて、全くイザベラさんは容赦ないな……
あ、読んでくれてありがとう!
気に入った!良かった!って方はグッド&フォロー&コメントよろしくお願いします!
またな!」
※傷は治っても多少の痛みは残ります。
「嘘……だろ……」
俺の手から剣が落ちる。まさかこんな事予想してなかった。
いや、本来なら視野に入れるべきことであったかもしれない。でも、それはないだろうと自分勝手に決めつけていた。
数分前、俺は豪傑流を試してみた。結果は失敗で俺に豪傑流は向いていないことがわかった。そして次に疾風流。これも失敗だ
なら神明流か!と思い試してみた。が、これも失敗だ。
つまり俺はどの剣術にも向いていない事になる。そんなことあるか? イザベラさんも困った顔してるし。
あーーなんでなんだよーー!!!
「ま、まぁさっきも言った通り訓練すればどの流派でも使えるから」
た、確かにそうだ。別に一生全く使えないわけじゃない。
……でも、精神的に来るなぁ。
「と、とりあえず今日は寝よっか? また明日続きをしよ?」
「はい…そうですね……」
結局俺はこの後すぐに眠りに入り、目覚めと同時に昨日のことを思い出し再び落ち込んだ。
俺、結構女々しいな……
◇
「はぁ!……ふ、はぁ!……はぁはぁ」
「かなり動きが良くなってきたわね。その調子ならアレも実現できそうよ」
「はぁはぁ……本当ですか…… なら、もっともっと詰めていかないと」
剣術の初日訓練から二ヶ月が過ぎた。
俺は人一倍訓練さえすればどの流派でも使える事だけを頼りに剣術に没頭した。そして編み出した剣術。それが疾風流を主軸にローガン師匠の動きを取り入れたものだ。
本当は疾風流を獲得しようと思ったのだが、ローガン師匠の動きが染み付いて完璧な疾風流にならなかった為、逆に利用することにした。
これだけ染み付いていれば疾風流に専念すれば自然と混ざる。
イザベラさんもなんだか面白そう、と結構やる気だ。
もともとローガン師匠の動きは豪傑流に寄った動きでありながら、疾風流がベースとなっているため疾風流とも相性がよくうまく混ざったのだ。
「剣術はかなりいい感じね。ならあとはとりあえず魔装衣を覚えておけば学園でも困ることは無いわ」
「魔装衣?」
「ええ、魔術を使うために魔力を使うのは知ってるでしょ?」
「はい」
「魔力を自らの属性に変換させ魔術として使うのに対して魔装衣は魔力そのものを体に流すことによって身体能力を上昇させたりできるわ。ちなみに魔装衣は魔術には分類されていないわ。ただ魔力を纏わせるだけだからね」
「なるほど。確かにまだ属性のわからない俺でも習得できるって事ですね!」
「そのとおり! って言ってもそんな簡単じゃないわ。今まで意識したことない魔力を引っ張り出さなくちゃいけないの。なんとなくできたりする?」
「んー……魔力……魔力…………魔力?」
身体にある魔力を意識しようとしても肝心な魔力を知らないからどうしようもない。よく童話で羽の生えた人間が飛ぶ話がある。そういう類いの話を聞く度にローガン師匠が「そんな簡単に飛べれば苦労はしないだろう。鳥だって飛ぶのに慣れているから飛べるのだ。羽が生えただけの人間では、感覚も何もわからずに落ちるのが目に見えてる」とこぼしていた。その話とどこか似ている。魔力から全く縁のなかった俺が、急に感じようと思っても感じられないのだろう。
「…………わかりません」
「よね〜私は色で判断したわ。なにか身体の中で色がついてるものを感じ取れない?」
……色か。もう一度身体の中を探る。
…………………ん、なんだこれ。青いもやもやがある。煙みたいだが力を感じる。これが魔力か。
「見つけました!」
「お、さすがね。じゃあ、それを引っ張って自分の身体に纏わせるようにイメージできる?」
引っ張って、纏わせる。
俺は魔力を自分の方へ引き寄せる。その時ちらっと魔力の裏に赤い煙、赤い魔力が見えたが気を抜くと魔力がもとに戻ろうとするので慌てて引っ張る方に集中する。
よし、いい感じだ。
引っ張ってきた魔力を身体に纏わせる。口で言うのは簡単だが、これが思ったよりも難しい。
腕に集中しすぎると腕に魔力が溜まりすぎて他の場所に魔力が行かない。他も同じような感じだ。なら、魔力を中心に集め、等間隔で各部位に魔力を流す。
「お」
身体が軽くなるのを感じた。目を開けると笑顔のイザベラさん。
うまく行った!
「出来たみたいね! すごいわ。こんな短期間で魔力を感じとって、さらに魔装衣も発動できる人は中々いないのよ!」
おお、なかなかすごいらしい。さっきまでが嘘のように体が軽い。
これが魔力を纏わせるという事か。
「でも今の学園は魔装衣を推奨してないのよね」
「と、言うと?」
「学園ではこれを教えていないの。二十年ぐらい前にこれより簡単に能力を底上げできる無属性魔術が開発されたの。底上げするより習得が簡単だから今はこっちが主流ね」
「そうなんですか……ならなぜ俺に魔装衣を?」
「ふふ…その無属性魔術のメリットは楽なだけなのよ。上昇する能力値は魔装衣の方が断然高いわ。しかも無駄な工程がないしね!」
「なるほど!」
「さてと、上手く行ったみたいだし一回実戦しときましょうか」
と、イザベラさんが剣を抜く。
確かに一度ぐらいは使っておきたいものだ。
俺はもう一度魔装衣を発動させ左手を握り前に出し右手に持つ剣の先をイザベラさんの方に向け構える。
「行きますよ」
「ええ、来なさい」
「疾風亜流 撃突」
「豪傑流 撃鉄」
俺は疾風流の速度で一気に接近し、全力を込めて突く。と言ってもこれは疾風亜流。完璧な疾風流ではない。
イザベラさんも豪傑流の構えから俺の剣目掛けて振り下ろす。
豪傑流のパワーと魔装衣で強化された俺のパワーがぶつかりかなりの衝撃が起きる。
俺は負けないように足を踏ん張り、両手で剣を持って押す。
まずい…… 一瞬そう思った矢先に俺の剣は突きの威力より上から叩きつけられる圧力に負け、方向を真下にずらされる。そのまま地面に叩きつけられ、拮抗は勝敗を伴って静止に変わる。
撃鉄の切っ先が俺の肩に掠め、切り傷が出来ている。切り傷よりも受けた衝撃での打撃の方が痛みが強い。
「ごめんなさい! かなりのパワーでつい嬉しくなっちゃって……」
イザベラさんが心配そうに傷を診てくれる。
「だ、大丈夫ですよ」
切れているとはいえ、傷は浅く、放っておけばすぐに治る傷だろう。
「ちょっと待っててね。癒術 癒やしの光」
薄い緑色の光が俺の体を包む。すると痛みが引いていき腕や足の傷が消えていく。
「イザベラさん、癒術を使えたんですか?」
「ええ、私の魔術属性は光。光魔術の派生に癒術があるの」
「なるほど。でも、俺が読んだ本では癒やしの光は癒術の中でも初級の魔術ですよね。なのに全身を治す程の力があるんですね」
撃鉄の威力で飛び散った小石が俺の全身に傷を作っていたが、それも残らず回復されている。
「あー、それはね……魔術って昔はもっと強かったのよ。いま初級と言われている魔術もかなり威力のある魔術だった。衰退した理由は現代の人は自分が持っている魔力のほんの一部しか利用出来てないのと、そもそも持ってる魔力量が昔と比べてかなり低くなってることね」
「ほんの一部?」
「そう。年々消費魔力の少ない魔法が開発されるから昔に比べて必要な魔力が減ったのよ
その影響で現代の人は魔力の一部しか使えてない。だから必然的に魔術の威力も低くなるの」
「じゃあイザベラさんはどうして……」
「ふふふ…私に魔術を教えてくれた人が教えてくれたの。持っている魔力をすべて利用するやり方をね。クロトにも魔術属性がわかったら教えてあげるわ」
「あ、ありがとうございます!」
気にしないでと言ってイザベラさんは家に入り俺を手招きする。
今日はもう寝ようって事らしい。よし、順調に強くなれてるはずだ。明日からも頑張ろう!
ーあとがきーーーーーーーーーーーーーー
「最弱属性魔剣士の雷鳴轟く」4話読んでいただきましてありがとうございますー!
魔装衣いいですね〜私も使いたい……
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よろしくお願いします!
クロト「いてててて、全くイザベラさんは容赦ないな……
あ、読んでくれてありがとう!
気に入った!良かった!って方はグッド&フォロー&コメントよろしくお願いします!
またな!」
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