悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』したけど? 本当の悪役はアイツだった……!?
42
「うーん、そこそこ……あ、気持ちいいわ」
日課となったお風呂上がりのマッサージを受けていた時の事だ。妙に機嫌の良いポピーが気になった。いつもより丁寧に揉んでくる。いえちょっと痛いくらいだった。
その理由は直ぐに分かった。ミーアが生徒会室へ入ったのを目撃したらしく、聞き耳立てたところ「陰険な虐めを繰り返し受けている」と王子様に訴えたみたいだ。しかもわたくしが扇動してるって。ポピーはざまぁだと思ってるに違いない。
まあそんな事よりも……
やはり馬鹿女は王子様と繋がってるって事よね⁈ マズい、マズいわ。王子様はわたくしの可愛い嫉妬だなんて思っちゃくれない。
「……それで?」
「はい、婚約を考え直すと仰ってました」
これは完全に嫌われたな。バッドエンドってヤツ。それにしても婚約破棄ですって? いえいえ幾ら何でも……?
「そんなのできっこな~い! 考え直す~? あのねポピー、これは陛下とお父様がお決めになった縁談よ。王子がひっくり返すなんてアンタ、出来るわけがないわ~」
わたくしは動揺を隠すので精一杯だ。コイツにショックな感情なんて見せたくない。
「うーん、まあそう思いますけど、もしかしたら王子様は陛下を説得するかも知れませんよ?」
くそう、反論しゃがる。小生意気な!
「まぁさぁかぁー? たかが王子に群がるムシを懲らしめたくらいでー? そーんなアンタ、くだらない理由で陛下が納得するもんですかー、うふふ」
「でも一応、虐めるのはお控えした方が宜しいと思います」
言われなくたってもう控えてるわよ。
「ふん! 明日とっちめてやるわ!」
ここは強がりを通すしかない。わたくしは余裕な素振りを見せてお部屋へ戻った。そして隠し持ってたワインをグラスに並々注いでがぶ飲みする。幾ら飲んでも酔わない。
「はあ……うっ……う……」
やがて自然と涙が溢れてきた。考えたくもないけど婚約破棄と言う言葉が頭から離れなかった。はっきり分かった事がある。わたくしは王子様に嫌われてるのだ。
ベッドに潜り込んで誰にも聞こえない様、口に手を当てて嗚咽した。
「うう……っ、うわ……ん、ううっ……」
思えば十歳の時、宮廷で「婚約者」だと紹介されて以来、わたくしの気持ちはエリオット様しか無かった。逢えない時もいつも想っていた。八年間、ずっと変わらずに。それなのにーー
何でこうなった? ポピーのせい? いえ、本当は分かってる。わたくしが馬鹿だから、おてんばだから、王子様のお相手らしい淑女になれなかったからだ。
その晩、泣きながら自分を責め続けていたけど、いつの間にか眠っていた。
そして、次の日は貴族院へ行けなかった。
日課となったお風呂上がりのマッサージを受けていた時の事だ。妙に機嫌の良いポピーが気になった。いつもより丁寧に揉んでくる。いえちょっと痛いくらいだった。
その理由は直ぐに分かった。ミーアが生徒会室へ入ったのを目撃したらしく、聞き耳立てたところ「陰険な虐めを繰り返し受けている」と王子様に訴えたみたいだ。しかもわたくしが扇動してるって。ポピーはざまぁだと思ってるに違いない。
まあそんな事よりも……
やはり馬鹿女は王子様と繋がってるって事よね⁈ マズい、マズいわ。王子様はわたくしの可愛い嫉妬だなんて思っちゃくれない。
「……それで?」
「はい、婚約を考え直すと仰ってました」
これは完全に嫌われたな。バッドエンドってヤツ。それにしても婚約破棄ですって? いえいえ幾ら何でも……?
「そんなのできっこな~い! 考え直す~? あのねポピー、これは陛下とお父様がお決めになった縁談よ。王子がひっくり返すなんてアンタ、出来るわけがないわ~」
わたくしは動揺を隠すので精一杯だ。コイツにショックな感情なんて見せたくない。
「うーん、まあそう思いますけど、もしかしたら王子様は陛下を説得するかも知れませんよ?」
くそう、反論しゃがる。小生意気な!
「まぁさぁかぁー? たかが王子に群がるムシを懲らしめたくらいでー? そーんなアンタ、くだらない理由で陛下が納得するもんですかー、うふふ」
「でも一応、虐めるのはお控えした方が宜しいと思います」
言われなくたってもう控えてるわよ。
「ふん! 明日とっちめてやるわ!」
ここは強がりを通すしかない。わたくしは余裕な素振りを見せてお部屋へ戻った。そして隠し持ってたワインをグラスに並々注いでがぶ飲みする。幾ら飲んでも酔わない。
「はあ……うっ……う……」
やがて自然と涙が溢れてきた。考えたくもないけど婚約破棄と言う言葉が頭から離れなかった。はっきり分かった事がある。わたくしは王子様に嫌われてるのだ。
ベッドに潜り込んで誰にも聞こえない様、口に手を当てて嗚咽した。
「うう……っ、うわ……ん、ううっ……」
思えば十歳の時、宮廷で「婚約者」だと紹介されて以来、わたくしの気持ちはエリオット様しか無かった。逢えない時もいつも想っていた。八年間、ずっと変わらずに。それなのにーー
何でこうなった? ポピーのせい? いえ、本当は分かってる。わたくしが馬鹿だから、おてんばだから、王子様のお相手らしい淑女になれなかったからだ。
その晩、泣きながら自分を責め続けていたけど、いつの間にか眠っていた。
そして、次の日は貴族院へ行けなかった。
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