前世は皆に恐れられた優しき英雄、今世は出来損ないの英雄

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八話 勝利の敗北、敗北の勝利

 海が背後に回り聖剣で僕に攻撃を仕掛けてくる瞬間足元に魔法を発動し氷の柱で素早く空中に移動した。海が氷の柱を攻撃するのと同時に地面に着地した後夜美を抜いて、海に一撃を当てた。海はまるでバットで打たれたボールのようにふっとび壁に激突した。
「いっ.....何が起きて.....」
海が痛みに耐えながら疑問の声をあげた。
「まだ....その刀は使わないの?このままじゃすぐ終わるよ?」
「ゴホッ..ゴホッ....そんなに...この刀の力が見たいなら.....見せて..あげるよ」
せきをしながらそう言うと腰の刀の柄に手を置くと勢いよく抜いた。その瞬間海を大きな魔力が包んだ。
「凄いでしょ、この刀は僕の家に代々受け継がれてきたものなんだ。これなら君の余裕な顔が一気に焦りの顔になるよ」
少し冷たい目で海がそう言うとまた消えた。その瞬間横から氷で作られた矢、<アイスアロー>が飛んできた。それと同時に<アイスアロー>とは逆から海が切りかかってきた。一歩後ろに引こうとすると後ろと前から氷の壁が出来上がったかと思うと、天井までも塞がれてしまった。
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 この瞬間僕は勝利を確信した。星夜についに勝つことができるそんな事を思っていた、今まで稽古だからと言っても真剣に出来るだけ本気で稽古に取り組んでも星夜や絶対に本気にはならなかった。最初の頃はしょうがないと思っていたけど、時が経つにつれ悔しくて悔しくてしょうがなかった。星剣に触れて、八雲よりも強い光を出して今なら勝てるんじゃないかと思った。
そして今星夜に攻撃が当た———。
ミシッ ミシミシッ  バリンッ
その瞬間目を疑った、攻撃があと少しで当る直前に氷の壁に亀裂が入ったかと思った途端に一気に砕けたのだ。砕けた氷は、次の瞬間には水になりそして水蒸気へと変換した。
(一体なぜ氷の壁が砕けたんだ!?それに急に周りが熱くなってきた)
そんな事を考えたがすぐに戦いへと考えを切り替えた。星夜の姿が消えていることに気がついた。
(!!......一体何処に!?さっきまで確かにそこに...)
「海は、まだまだだね。そんなんじゃ.....僕には勝てない」
背後から星夜の声がし振り返ると、聖剣が突き付けられていた。
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 海の攻撃が当たる瞬間に素早く聖剣を逆手に持ち替え、右手を強化し親指と中指を重ね魔力を込め鳴らした。氷の壁を魔力のこもった音が反響しあった。氷の壁はその音に耐えきれず砕けた。砕けた氷に紛れ移動し素早く火の魔法を使い氷から水、気体へと変え完全に姿をくらました。そして今海に聖剣を突き付けた。
「あの程度で僕の姿を見失うなんて、鍛錬が足りてないんじゃない?」
「ッ!!............はぁ〜駄目だったか〜僕の負けだね。こうさ——」
海の言葉を遮ると僕はこう言った
「降参されるとあとあと面倒だから、僕が降参するよ....」
僕の言葉に海はとても驚いた後に苦笑して軽く頷き、僕は片膝をつき刀を突き付けられた。周りが見えすくなり観客の生徒や数人の先生方は驚いた顔をした後試合の終わりを注げるように歓声か響いた。

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