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ノベルバユーザー330919

暇人のすゝめ



 不思議なデビュタントから1週間ほど、今までの生活が激変するかと暫くは怯えて過ごしていたのですが、特に変わりなく過ごしています。


 変わりなくといっても伝わらないと思いますので、公爵家での私の日々の過ごし方を紹介しましょう。まずは起床。お嬢様は朝が遅い。たとえ早起きしても起こされるまでは起きてはいけません。これを守らないと大変なことになります。何故なら専属の侍女等がさらに早起きをして、最終的には不眠不休を周りに強いてしまうからです。ブラック企業かっ



 次に朝食。家族みんなで朝食を囲むことはまず、ありません。お父様とお兄様は公爵家の領地の仕事や王宮での役職とお忙しく、お母様は現在公爵家の避暑地にいらっしゃいます。つまり、現在の我が家の朝は私一人です。自分の部屋で独り寂しく朝食をとっています。…周りの視線はノーカンで。


 朝食後は公爵家自慢のお庭を軽くお散歩します。全く動かないでいると歩けなくなるほど女性の筋力は衰えやすいのです。前世でもそうでしたが、ある程度は立って歩く動きをしないと、いつの間にか立ち上がるだけで辛くなりますからね…


 我が家の庭は綺麗なお花畑が広がっています。色とりどりの花が季節ごとに絶えず咲いています。前世は花に興味なんて全くなかったですが、娯楽が少ないせいか、お花が揺れている様子を見ているだけでもかなりの癒しになります。…ああ、前世のゲームが懐かしい。VRが一般的になってきていて、ついには感覚ごとゲームに入り込める最新機が発売されようとしてたのに…最後に少しでもプレイしたかったなぁ


 いけない。お花を前にトリップしてしまいました。魔法があるのですから、もっと面白いゲーム、誰か発明してくれないかなぁ


 お散歩に満足しましたら、次は学習です。と、いっても、女性は嫁いで家を支えることが基本的な常識となっている世界です。貴族の女性ならなおさら、子を産み、夫がいない間の領地の維持が主な役割になります。ですので、領地経営についてや社交、貴族女性の振る舞いや常識が主な学習になります。細かく言えば、領地経営については現地の代官への任せ方とでも言い換えられます。基本女性は政治や経営に表立って直接関与することは出来ません。ですので、夫を通して出世が出来る様にアドバイスできる女性がやり手になるのです。関与は出来ませんが、ある程度理解が出来る様に教育されるのもそのためです。


 そういえば、12歳から18歳まで通える王立魔法学院が存在しました。身分に関係なく全員が寮での生活となるため、コミュ障の私は断念しましたが。前世みたいに義務教育ではないため、家庭教師が雇えるのであれば貴族はほとんど通いません。出世希望の平民や、家督を継ぐ予定のない就職希望や婚活目当ての貴族の子息令嬢が多く通うようです。


 …また、話が逸れました。いけませんね。授業に集中しなくては。今は魔法についての授業中です。ほかにも刺繍や手紙、絵画に美しい文字の書き方など令嬢らしい科目もありますが、前世のオタク魂が燃えたのか、それとも知らぬ間に転生チートでも与えられていたのか、器用貧乏が災いしすでに教えることは無いと、教師が去ってしまいました。今残っているのはわざわざ王立魔法学院から来て下さっているシェリー先生のみです。シェリー先生は女性ながらに独立し家を興した尊敬できる方です。何より、冒険者から成りあがった先生のお話は何度聞いてもオタク心を揺さぶるファンタジーに溢れています。


 お歳を召してからは今の王立魔法学院にて教師を勤めておられます。午前中は授業がないため、我が家まで赴いていただけるのです。とてもためになる内容で、毎日の楽しみでもあります。


 授業が終わりますと、シェリー先生と昼食を共にいただきます。学院でのお話やシェリー先生の冒険譚についてお伺いできるこの時間も嫌いではありません。シェリー先生は私の祖父母よりもかなりのお歳と聞いていますが、外見はどれだけ年上に見積もっても20代後半にしか見えません。一度若さの秘訣を聞かせていただきましたが、時が来たら秘密を教えてあげると言われてそれきりです。魔法のある世界ですから、秘訣が今からとても気になります。


 昼食を堪能すると先生は学院へ戻っていきました。お忙しいのにとても自由な人です。とてもフレンドリーで憧れます。


 昼食後は自由時間になります。本来であれば、社交に勉強にと時間を取られるところですが、魔法以外の授業についてはもう問題ないですし、交流するお友達もいないため、晩御飯まではかなりの時間が出来てしまいます。そこで発揮されるのが前世のオタク知識なのです。ぼっちはぼっちなりに過ごし方があるというものです。


 最近の私のもっぱらのブームはズバリ、占いです。どこそこの娘さんと、どこそこの息子さんのが恋人同士に、とか。明日は雨でしょう、とか。そんな軽い感じで占いにはまっています。前世ではそこまで深みにはまらなかったけれど、今世では魔法が存在する影響か、前世で覚えた軽いおまじないや占いがやればやるだけ当たってしまい、気づけば日課になっていました。


 先日は私の専属侍女の一人であるマリーと、同じく我が家の庭師のケビンの相性について占ったところ相性がバッチリ最高と出てしまい、さらに深く占ってみたところ、なんと、近いうちにケビンからマリーへ告白があるようではないか…!ということで、ここ数日さらに占ったところ、本日の午後と出たのです。これは見逃せません。確か今日はマリーは休日のはず。そして、ケビンも休日だったはず。これは確定ね。そして、伸ばしに伸ばした気配を感じるスキルで使用人たちの噂話を探り、告白スポットを割り出しました。


 なんと、我が家の庭の奥に存在する小さな小屋のようです。何度か見かけたことがありますが、特に興味もなく近づくことはありませんでした。しかし この小屋、どうやら我が家の使用人の中でも有名な告白スポットのようです。


 男性側からという条件下で告白が成功すれば末永く幸せになると言われており、失敗すれば今後一切の女性運が無くなるという言い伝えがあるようです。


 もし告白が失敗しても悔いは無く、死ぬまで告白した女性を愛しますという男性の覚悟の表れでもあるようです。おぉ、乙女的にはなんてロマンチックでしょうか。しかし、男性側はとてもハイリスクですね。魔法のある世界だからこそ、迷信も信じられますものね。


 他人の恋愛を野次馬するのは良くないとは思いますが、マリーは数少ない、私が話すのに慣れている侍女の一人です。ケビンは外見上好青年ですが、中身もそうであるとは限りません。しっかりと見届けなくてはいけませんっ


「姫様。野暮はいけませんよ 」


「マチルダ… 」


 筆頭侍女のマチルダに見つかってしまいました。マリーとマチルダは母娘になります。代々我が家に仕えて下さっているのです。小さいころからの付き合いなので、家族のように親しみもあり、あまり会わない実の家族よりは普通に話が出来ます。


「ちょっとした散歩よ 」


「姫様… 」


 とても呆れているようですが、今更行くのをやめる気にもなりません。この世界娯楽が少ないのです。身近な物語は間近で確認するべしなのです!とくに身内の恋愛ほど面白いことはありません。


「…全く。怒られても知りませんからね 」


 私の決意に満ちた表情が功をなし、マチルダから許可をもぎ取れました。マリーは恥ずかしがるけれど、これは見逃せません。待っていてくださいマリー!私がきっちりと見届けますからねっ!

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