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ロストアイ

ノベルバユーザー330919

怪しい勧誘には気をつけましょう@その3



 リアが混乱から立ち直り、色々あって、今は先輩を介抱している。

 私? ちょっとやりすぎたなと反省中です。

 そう。先輩を吹っ飛ばしたことを後悔はしてないけど、反省はしています。

 だって、先輩も一応、女の子だからね。

 出会って間もないけど、完全な変質者発言しか聞いてないけど、一応女の子だからね。これでも。

 引き摺ったり、蹴とばしたり、吹っ飛ばしたりと、女の子に対して過剰防衛だったなとは反省してマス。

 何より、声がハスキーなうえ、スマートな体型。普通に男に見える変態に脱げって言われたら、健全な女の子の反応として、蹴り飛ばすよね?


「いやースマンね。助かるよ」


 回復したのか、ハハハッ、と笑いながらリアの手を借りて先輩が立つ。改めて見ると、黒いスーツに白衣を纏っている。

 だけど、履いてる靴はサンダルだ。一応先輩らしいけど、見た目も服装も同学年には見えない。


「申し訳ございません、クレイ先輩。あの子も悪気があったわけではございませんわ」


 リアが代わりに謝罪する。

 うっ、代わりに謝れると罪悪感が増すな……。

 そんな私の考えを察したわけではないと思うけど、短くて癖のある薄紫色の髪を右手でかき上げ、先輩が告げる。


「いいや、私も言葉が足りなかったからな。気にするな」
「足りないどころではないと思いますけど?」


 言葉が足らなすぎるよ。

 誰が分かるか。お風呂に入るときに、先輩が開発したお風呂美容グッズを試してほしかっただけとか……。


「いやー勘違いされてしまったな、ハッハッハッ」
「笑いごとではありませんわ……」


 リアの言う通りだ。

 何を紛らわしい言い方してるんだ、この先輩。一歩間違えれば排除対象になってただろうに……。

 でも、確かに先輩の肌はつるつるぷるぷるうるうるしてる。さっき緑色になってたのは、塗った美容液のせいだったのか。なるほど、だからパリパリ剥がれ落ちたのね。

 罪悪感からか、そうやって離れたところから見ていると、先輩が、何やらこそこそとリアに耳打ちをし始めた。いったい、何の話をしてるんだ?

 気になって聞き耳を立ててみると、どうやら、先程思考を飛ばしていたゾンビ事件について、話をしているようだ。

 途切れ途切れでしか聞こえないけど、やっぱり予想した通り、あれも美容製品の臨床試験だったもよう。

 しかし、私がゾンビゾンビ言ってたからか、リアが「ゾンビパックでしたの……」と、引いているようだし、それを聞いて先輩が「いいね、これからはこれをゾンビパックと名付けよう」とかなんとか言ってる……。よく聞こえないな。

 仲間外れになって疎外感を味わうのも耐えられなくなったので、話の輪に入ろうと、何食わぬ顔でこそこそとしている二人にちょっとずつ近づく。というより、なんでこそこそしてるんだ? 怪しい。


「……しかし、それでは購買意欲が刺激されませんわ。確かに効能は強力なようですが、副作用がアレでは、使える場所が限られますわ」
「なるほど、確かにそうだ。私は研究者だからな、アメリアの意見は大変参考になるな」
「いえ、ほんの嗜み程度ですわ」


 ……て、何を話してるんだ、何を。ちょっと気まずくて近付けない微妙な距離を保っていたら、先輩と何やら和解して、助言してるし。こそこそしてて、何話してるか聞こえなかった間に何があった……。

 ほほほ、ハッハッハッと何が面白いのか笑いあっている二人を前に、私はさらに疎外感を感じた。

 とりあえず、ムカつくので先輩の足の小指を超速で踏みつける。


「っ、――!?」


 無言で足を抱えてケンケン悶絶する先輩をよそに、私はこれで満足とばかりに、どや顔を決めた。


『やることが幼稚ですね』
「うっさい!」


 いまのいままで、私が気まずくて話の輪に入れなかったのを、無言で無視してたくせに! うささんの足も継ぎ接ぎにしてやろうか……!


『話の輪に入れなかったことを私のせいにしないで下さい。それと修復は自分で可能ですので問題ありません』


 けっ、ぬいぐるみのくせに、なんで無駄にハイスペックなんだ! 自己生産自己供給じゃ経済は回らないよ!

 無言でうささんと睨み合ってると、悶絶した先輩に吃驚していたリアが復活し、話を聞いていたのか、少し申し訳なさそうに迫ってきた。


「まあ! そうならそうとおっしゃればよろしいのに」
「いや……」


 だって、なんか言い出しづらいし。

 しかもなんか、いつのまにか仲良さそうにしてるからさ。早とちりして蹴り飛ばした加害者の立場的には強気に出られないもんよ。

 しかし、あれだけ気持ち悪いって言ってて、先輩から距離取ってたリアが、まさか、私の先輩に対するあまりの扱いに同情して、介抱し始めるとは思わなかったよ。

 リアの優しさが無かったら、今もただの変態だと勘違いしたままだったけどね。

 おかげで、介抱している流れから今度こそ、美容グッズを試してほしかっただけと判明するし。……なんか、妙に遠回りした気がする。

 内容の返答に困り、目を泳がせていると、何やら勘違いした様子のリアが、今度はきらきらと目を輝かせてこちらを見ていた。


「恥ずかしいことなどございませんわ! ……いいでしょう。ワタクシたちのお話に混ざって頂きますわ!」


 とりあえず、良く分からないけど、輪に混ぜてくれるらしいので、大人しくリアの言葉に耳を傾けることにしようと思う。

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