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近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~

駄菓子オレンジ

第20話 旅立ちと、再会

 あれから特にこれといった事件も無く、約1年が過ぎた。
 あったことと言えば、1ヶ月に1回くらいのペースでナルウルフが森に現れるようになったり、そのナルウルフから得た素材を売って、もう1つ自然にできた魔石を買ったりしたくらいだ。
 とはいえ、素材を全て売っても大した額にはならなかったので、かなり小さいものしか買えなかったけど。

 さて、実は私たちはもう、試験を1週間後に控えている。明日の朝には1度村を出て、王都へと向かわなければならない。王都で準備することもあるので、何日か早めに着いておこうという訳だ。
 そして、その準備がちょうど終わったくらいに、母が様子を見に来た。

「2人とも、準備は終わったかしら?」
「うん、荷物は全部あるよ」
「そう……じゃあ、ゆっくり寝なさいね。明日の朝は早いんだから」
「はーい、おやすみなさい」
「えぇ、おやすみ」

 1週間程度とはいえ家を離れることになるので、両親は少し寂しそうだ。父も心配そうに何度も色々と聞いてきたし。
 さてと、言われた通りにもう寝るとしよう。



 翌日の早朝、私たちは起きてすぐに支度をし、王都行きの馬車に乗り込んだ。とはいえ乗せてもらっているのは、商人の馬車の荷台だけど。
 護衛も居るようで、御者席ぎょしゃせきと荷台に1人ずつ乗っている。荷台に居る護衛は眠っているようだ。恐らく、夜中の警備などで疲れているのだろう。

「大丈夫だな?本当に忘れ物は無いな?」
「心配しすぎだって。最悪忘れてても、王都なら買えるものばっかりだから」
「私たちが見てないからって、危ない事をしたりしちゃダメよ。怪我もしないようにね」
「うん、大丈夫。言われなくても、するつもりなんて無いから」

「「じゃあ、行ってきまーす」」
「行ってらっしゃい。病気にも気をつけなさいね」
「おう、行ってこい。無事に帰って来るんだぞ」

 やはり両親は最後まで心配していた。心配するのはわかるけど、少し過剰な気もする。

 馬車は無事に出発した。両親は姿が見えなくなるまで手を振ってくれていた。



 私はあまりの眩しさに目を開けた。外を見ると、太陽がかなり昇っている。どうやら昼前まで寝てしまっていたようだ。

「あ、起きましたか?」

 少し外を眺めていると、声をかけられた。声のした方を見ると、見覚えのある人が座っていた。

「えっと……え?ロイズさん?」
「はい、お久しぶりです」

 さっきまで寝ていたはずの人は居ないので、その人がロイズだったようだ。フードを被っていたので気づかなかった。

 ロイズは1年半前よりも大人びたように感じる。顔つきが少し変わったり、身長が伸びたりしているせいだろうか。

「お久しぶりです。……というか、どうして敬語なんですか?」
「あぁ、自分に勝った方には敬語を使うと決めているので」
「はぁ……そうなんですか」

 確かに戦った後から急に敬語になったけど、そういう理由だったのか。

「うーん……ふあぁ。あれ?寝てた?」

 私たちの話し声を聞いてか、エイリーも目を覚ました。軽く伸びをして、あくびもしている。

「エイリー、おはよう」
「そちらは妹さんですか?」
「そうです。正確には双子の妹ですけど」
「えっと……エイリーです……?」

 エイリーはまだ状況を理解出来ていないのか、寝ぼけながら挨拶をしている。

「ロイズです。なるほど、流石双子ですね。瓜二つです」
「うん?ロイズ?……どこかで聞いたような」
「あぁ、たぶん、カルミさんが家に来た時にちょっと話したと思うから、その時じゃない?」
「あー、確かに聞いたかも」

 1年前とはいえ、完全に忘れるほど前のことではないし覚えているだろう。

「ところで、この時期に王都へ行くということは、学園の試験を受けるんですか?」
「そうです。特別推薦をしてもらったので」
「特別推薦……ということは、まだ9歳ではないんですね。受験できる最低年齢が下がること以外は、ただの推薦と何ら変わりませんし」

 それは初耳だ。特別と言う割には、思っていたよりも扱いが普通だった。もうちょっと何か優遇されることがあるのかと……。

「そうですね、今は7歳です。来月の頭に8歳になります」

 今は2月の下旬で誕生日が3月4日なので、スキルを貰ってからまだ1年も経っていないことになる。
 思っていたよりもかなり、時間が経つのって遅いんだな……。

「なるほど、俺は今16歳なので、9歳差ですか。……俺ってそんなに年下の子に……」

 ロイズが見るからに落ち込んでしまった。何とか元気づけなければ。

「えっと……大丈夫ですよ。自分で言うのも変ですが、私が異常なだけですし」
「いや、それは君の努力の結果ですよ。俺の実力が足りていないだけです」

 ロイズは自嘲的な笑みを浮かべた。
 励ますのには失敗してしまったようだ。

「あのー……ロイズさんって剣の扱いが上手いって聞いてたんですけど、どのくらいの強さなんですか?」

 エイリーが場の空気を変えるためか、質問をした。
 でも、確かにエイリーにはロイズの具体的な強さは話したことは無かったっけ。

「そうですね……とりあえず、学園の剣士学科を主席で卒業しています。あとは……最近はたまに、師匠との手合わせで引き分けるようになりましたね」
「主席で卒業……すごいですね。それに、師匠ですか?」
「はい、俺の師匠は、現在の王都騎士団長のルード・グローガイです。……まぁ、流石に手加減はされてると思いますけどね」
「……え?王都……騎士団長……?」

 エイリーは驚きつつ、若干引いている。エイリーも私も騎士団長の強さは知らないけど、騎士団長という言葉のインパクトが強すぎるので、当然の反応だろう。
 確かに前に戦った時も強かったけど、それ以上に強くなっているようで、私も驚いている。

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