近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~

駄菓子オレンジ

第17話 いざ、テスト(1)

 十分に休憩をとり、私たちは外へ移動した。場所は村のはずれの森の近くの開けた場所だ。

「ここなら魔法を使っても大丈夫だと思います」
「なら、早速始めるかしら?」

 始めてもいいけど、少し心配なことがある。村から離れているとはいえ、下手をすれば村に被害が出てしまうかもしれない。

「うーん、一応私はこっち側に立っていていいですか?」

 私はそう言いながら、カルミを挟んで森の反対側、つまり村側に立った。

「えぇ、大丈夫よ。それ以外は何もない?」
「はい、これだけです。カルミさんも大丈夫ですか?」
「私は準備万端よ。じゃあ、始めようかしら。そうそう、勝利条件は相手を降参させることよ。戦闘不能になるまで続けるのは無しね。それじゃあ、エイリーちゃん、合図をお願いできる?」
「わかりました」

 スキルを使えば勝敗はわかるだろうけど、それだと面白くないので真面目に戦う。
 一応、さっきの時間を使って作戦は考えた。お互いに怪我無く終わらせるつもりだけど、狙う位置を間違えれば、恐らく怪我はさせてしまう。なので、素早くつ慎重に魔法を発動させなければ。

「よーい、スタート!」

 掛け声と同時に、お互いに魔法の構築を始める。しかし、魔法の発動はカルミの方が圧倒的に早かった。構築から発動までのラグがほとんどない。

「イグニッション!」

 カルミがそう叫んだと同時に、私に向かって炎の塊が飛んできた。私はそれを断熱結界で遮断する。
 イグニッション……単純に炎を発生させる魔法。かなり昔から研究され続け、魔力の消費量はとても少なくなり、魔法の発動スピードもとても早くなっている。
 しかし、それでもカルミ程の発動スピードは出ないだろう。それは本人の腕なのか、それともスキルなどなのか……後で聞いてみよう。

「イグニッション!」

 私が魔法の構築に時間をかけている間に、もう一発飛んできた。2つの魔法を同時に構築するのはとても集中力を使う。しかしそんな中でも、私は1つ違和感に気が付いた。
 カルミの魔力が減っていないのだ。
 確かにイグニッションの魔力消費は少ないけど、ゼロではない。カルミの魔力の回復が普通より早い訳ではないのも、さっき休憩したときにわかっている。ならばなぜ、魔力が減っていないのだろうか。……これも後で聞こう。
 さて、そんなことを考えている間に、私も魔法の構築が完了した。さっきも使った、まだ名前のない魔法。でもせっかくだし、今名前を付けよう。……とはいえ、そう簡単にパッと思いつきはしない。なので、参考にした前世のゲーム内の技名をそのまま使おう。

「イグニッション!」
「プラズマキャノン!」

 私は石を放った直後に断熱結界を張り、炎から身を守った。
 一方で、私が放った石は炎を突き抜け、カルミの顔の真横を通り抜け、カルミの後ろの木に突き刺さった。
 カルミはその石を見て一瞬硬直した後、私に向き直った。

「……降参するわ。ただの加速魔法で、この距離であのスピードは出せないわ。しかもあのスピードで私に飛ばされたら、反応できる気がしないわよ」

 降参ということは、私の強さを認めてくれたということだろう。魔法1発で認めてくれるのは、正直ありがたい。
 結局、発動までにかかった時間は約3秒。しかし実践で使うには、もっと早くする必要がありそうだ。
 ちなみにこの魔法は、魔法を発動するための魔法陣を魔法を使って作っているので、作る魔法陣は1つだけで済むので、少し消費する魔力が増える代わりにかなり時間は短縮されている。1つの魔法陣を作りさえすれば、あとは1秒以内に発動されるのだ。
 つまりは、その1つの魔法の構築を早めなければいけないということだ。

「で、プラズマ砲って言ってたかしら?全く見たことも聞いたことも無い魔法なのだけれど、何て名前の魔導書に載ってたのかしら?」
「……?何にも載ってませんけど」
「……え?」

 私たちが作ったのだから当たり前だ。まぁ、他に作った人が居てもおかしくはないと思うけど。

「えっと……エンシーちゃんは魔導書を読んで魔法を覚えたのよね?」
「そうですね」
「じゃあ、プラズマ砲も魔導書を読んで覚えたのよね?」
「違いますね」
「え?」
「え?」

 どうしたのだろうか。カルミはとても混乱している様子だ。
 まさか、作ったという方法は思いついていないのだろうか。

「えっとプラズマ砲は私たちで作った魔法なんですが……」
「……職業は?」
「え?職業ですか?私が魔法使いで、エイリーが製薬士ですけど」
「……もう、訳がわからないわよ」

 カルミはうずくまって頭を抱えはじめた。
 しばらくすると無表情で……と言うより、何かを諦めたような表情で立ち上がった。

「一旦、この話は置いておくわ。エイリーちゃんとの勝負が終わってから話しましょう」
「あ、私の番ですか」
「わかりました……?」

 そんな、一旦置いておく程難しい話じゃないと思うんだけど……。
 とりあえず次はエイリーの番だ。しかしここは広いので、エイリーと場所を入れ替わる必要は無さそうだ。

「えっと、2人とも準備は大丈夫ですか?」
「私はいつでも」
「ふぅ……私も大丈夫よ」
「それじゃあ、よーい……スタート!」

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