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近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~

駄菓子オレンジ

第11話 どうやら、おかしいらしい

「まさか、ロイズを相手にここまで戦えるとは……」

 商人は私に魔石を渡しながら、そう呟いた。

「ロイズさんってそんなに強いんですか?確かに、腕は良く感じましたけど」
「あぁ、彼は既に王都の次期騎士団長になる事を期待されている。それも、現在の騎士団長本人からもな」
「えっ……そんなにすごい人だったんですか」
「私も彼に護衛を務めてもらえてとても嬉しい。彼はとても人気だからな。しかし、その彼を上回る強さと才能を見せつけられるとは……」

 商人は「喜べばいいのか困ればいいのかわからない」とでも言うような微妙な表情を浮かべた。

「さて、今まさに『産まれたての子鹿』という言葉がピッタリと当てはまる君は、あとどのくらいで動けるようになりそうなんだ?」
「そうですね……あと10分でギリギリ歩けるようにはなりそうです」

 後ろを見ると、剣を地面に突き立て、それを必死に掴みながら、脚をプルプルと震わせて立っているロイズが居た。
 更によく見れば、腕までプルプルと震えている。これは脚ではほとんど体を支えられないので、代わりに腕で剣を掴み、支えているからだろう。

「いやー、本当に強かった……。もしかしたら既に、師匠と互角に戦えるくらいの力はあるかもしれないですね」
「師匠?」
「はい、ルード・グローガイ……現在の騎士団長です」
「……え?」

 今、私が騎士団長と並べられた?いやいや、まさか。騎士団長に、動物を狩る程度にしか魔法を使わない私が届くはずがない。

「本当だぞ。騎士団長の弟子はほとんどが成人しているんだが、彼は、100人近く居る弟子の中でもトップクラスに強い」
「いや、そこは疑ってないんですけど……」
「なら、師匠に並ぶ強さってところですか?それなら、俺の剣を魔剣だと見抜いたんだから、少なくともその素質はありますよ」

 ……?魔剣なら、見ればすぐにわかると思うんだけど。

「それってそんなに凄いことなんですか?」
「そりゃあ凄いことだよ。俺でも、ただ見ただけじゃわからないくらいだし」
「……え?鞘の中からでも魔力が散らされていましたし、抜いた時には鋭利化えいりか抵抗軽減ていこうけいげんの魔法が付与されているのが見えましたけど……」
「「……え?」」

 どうやらこの驚きはさっきまでとは比べ物にならない様で、まるでありえないものでも見たかのような目になっていた。

「刀身を見ただけで付与された魔法が見えたって……それ、本当かい?」
「本当ですけど……?何かおかしいことですか?」

 普通に魔法を発動する時に魔法陣が見える事とそんなに変わらないと思うんだけど。

「えっと、君って確か6歳だったよね?」
「はい、そうです」
「なら、それはおかしい事だ」

 どうして年齢が関係するのだろうか。見える見えないは年齢ではなく、成長度合いで判断されるもののような気がするんだけど。

「どういう事ですか?」
「確かに、君と同じ様に付与された魔法を見る事ができる人はごく僅かだけど存在する。でも、その全員がスキルによってそれを可能にしているんだ。つまり、スキルは7歳からしか持っていないのに、6歳の君が見えているというのはおかしい事なんだ」
「うーん……確かに、スキルによって見えているって感覚は無いですね。まだ持っていないからわかりませんけど」

 と言うより、私は魔法で見ているという方が近い。動物を探す時と同じ様に、魔力の流れを感知して見ているのだ。
 魔法の発動には魔法陣は不可欠である。そして、構築中や発動中の魔法陣では必ず魔力の循環が行われている。その流れを感じ取ればいいだけなので、難しい技術ではない。
 つまり、私はおかしいのではなくて、ただ魔力の流れを感知しているだけだと主張したい。でも、それさえおかしいと言われてしまったら終わりなので、言わないでおく。少しでも正当化していないと、本当に自分は全てがおかしいと感じてしまうからだ。

「まぁ、他にこういう前例がないか、学園に帰ってから図書館とかで調べてみるよ」
「ありがとうございます……?」
「さて、この話とおかしい強度の結界の話は置いておいて、1つ聞きたいことがあったんだ」

 ただの対物理結界までおかしいと言われてしまったけど置いておかれたので、続きを聞く。

「どうやって俺を倒したんだ?」

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