近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~
第10話 いざ、尋常に
「よし、この辺りなら大丈夫かな」
周りを見渡して、被害が出そうな位置に人が居ないことを確認する。
「えっと……今更だが、始める前に自己紹介させてくれ。俺はロイズ。14歳だ。今は王都の騎士を目指して学園に通って、休みに傭兵をしながら腕を磨いている。まぁ、魔法は身体強化くらいしかまともに使えないから、磨いているのは剣の腕だが」
王都の騎士を目指しているという事は、かなり腕がいいのだろう。腕が悪いと、目指す事さえ諦めさせられるらしいし。
ちなみに身体強化とは、その名の通り身体能力を強化する魔法で、対象とする範囲が狭ければ狭いほど効果が大きくなる。
さて、挨拶されたからには返すのが礼儀だろう。
「私はエンシー……エンシー・ホーマ。6歳です。あと半年で7歳になります。私は剣はまともに使えないので、魔法の腕を磨いています。まだ覚え始めて1年と半年くらいしか経っていませんが、色々な魔法は覚えました」
この時の私はまだスキルのことを知らないからこういう風に言っているけど、もし半年後の私がそこに居たらもう少し自信なさげに話すだろう。
「6歳でそこまで言える程覚えているということは、君はそのうち『強い』の範疇に収まらなくなるかもね」
どう返せばいいかわからなかったので、とりあえず照れるふりをしておいた。少なくとも、間違った反応ではないだろう。
「それじゃ、そろそろ始めるかい?」
「あ、その前に確認してもいいですか?」
できればこの戦いでは、今の私の力が人相手にどの程度通用するのかを知りたい。なので、1つ試してから始めることにする。
「商人さん、さっき『怪我をしないように手加減はさせる』って言ってましたよね?」
「あぁ、言ったぞ。流石に小さい女の子を傷つけたりすれば、私と彼の評判がだだ下がりだからな」
……若干黒い面は置いておいて、
「なら、どの程度手加減すれば怪我しないか、試してもいいですか?」
「……?いいが、その段階で怪我をするなよ」
「ありがとうございます」
許可は貰えたので、少し試すことにする。
私は少し離れた所に対物理結界を硬めに作った。
「ロイズさん、あの結界をその魔剣で切ってみてくれませんか?」
「!?あ、あぁ、わかった」
ロイズは少し驚いたが、すぐに元に戻って結界を切りつけた。しかし、結界は割れていない。少しヒビが入った程度のようだ。
「……割れていない!?」
ロイズはまた驚き、今度は少し焦りも入ったようだ。
「なるほど、大体力はわかりました。全力で切ってもらっても結界が割れる程度で済みそうです」
「……そ、そうなのか。えっと、そろそろ始めてもいいのかい?」
「そうですね。始めましょうか」
ロイズは動揺しながら移動していたようだが、私と少し距離をとって剣を構えると落ち着いた様で、私をじっと見つめた。それを見て、私もすぐに魔法を発動できるように構える。
しかし、なぜロイズは動揺していたのだろうか。
「そうだ、勝利条件は『相手が降参する』でいいですか?」
「あぁ、それでいいよ」
「それじゃあ、商人さん、合図をお願いします」
「わかった。それでは…………始め!」
開始と同時に、私はロイズの足元を凍らせる魔法を発動した。発動した魔法は、ロイズの脚を膝下辺りまで巻き込んで地面を凍らせた。
「うおっ」
駆け出そうとしていたロイズが少しバランスを崩したので次の魔法を発動しようとしたと同時に、ロイズは身体強化を脚に集中させて氷を力ずくで破壊し、私に剣が十分に届く距離まで一気に近づいた。
近づいてきたロイズは私に剣を振るった。しかし私には届かず、ギリギリで発動した私の結界に阻まれた。もし止められなくても、寸止めにはなっていたと思うけど。
「危なかった…」
実際、氷を破壊した事に驚いて反応が遅れた上に、死角に近い位置まで潜り込まれたので、少しでも魔法の発動が遅れたら降参せざるを得なかっただろう。
しかし、結界で剣を……正確にはロイズか持っている魔剣を止めれたならば、私の勝ちは確定したようなものになる。
その証拠に、ロイズは今私の目の前で倒れた。そして、そのロイズに魔法を撃てるように手を向ける。
「……降参だ。まさか、こんなに小さな女の子に負けるとは思わなかったよ」
そして、私は勝負に勝った。
周りを見渡して、被害が出そうな位置に人が居ないことを確認する。
「えっと……今更だが、始める前に自己紹介させてくれ。俺はロイズ。14歳だ。今は王都の騎士を目指して学園に通って、休みに傭兵をしながら腕を磨いている。まぁ、魔法は身体強化くらいしかまともに使えないから、磨いているのは剣の腕だが」
王都の騎士を目指しているという事は、かなり腕がいいのだろう。腕が悪いと、目指す事さえ諦めさせられるらしいし。
ちなみに身体強化とは、その名の通り身体能力を強化する魔法で、対象とする範囲が狭ければ狭いほど効果が大きくなる。
さて、挨拶されたからには返すのが礼儀だろう。
「私はエンシー……エンシー・ホーマ。6歳です。あと半年で7歳になります。私は剣はまともに使えないので、魔法の腕を磨いています。まだ覚え始めて1年と半年くらいしか経っていませんが、色々な魔法は覚えました」
この時の私はまだスキルのことを知らないからこういう風に言っているけど、もし半年後の私がそこに居たらもう少し自信なさげに話すだろう。
「6歳でそこまで言える程覚えているということは、君はそのうち『強い』の範疇に収まらなくなるかもね」
どう返せばいいかわからなかったので、とりあえず照れるふりをしておいた。少なくとも、間違った反応ではないだろう。
「それじゃ、そろそろ始めるかい?」
「あ、その前に確認してもいいですか?」
できればこの戦いでは、今の私の力が人相手にどの程度通用するのかを知りたい。なので、1つ試してから始めることにする。
「商人さん、さっき『怪我をしないように手加減はさせる』って言ってましたよね?」
「あぁ、言ったぞ。流石に小さい女の子を傷つけたりすれば、私と彼の評判がだだ下がりだからな」
……若干黒い面は置いておいて、
「なら、どの程度手加減すれば怪我しないか、試してもいいですか?」
「……?いいが、その段階で怪我をするなよ」
「ありがとうございます」
許可は貰えたので、少し試すことにする。
私は少し離れた所に対物理結界を硬めに作った。
「ロイズさん、あの結界をその魔剣で切ってみてくれませんか?」
「!?あ、あぁ、わかった」
ロイズは少し驚いたが、すぐに元に戻って結界を切りつけた。しかし、結界は割れていない。少しヒビが入った程度のようだ。
「……割れていない!?」
ロイズはまた驚き、今度は少し焦りも入ったようだ。
「なるほど、大体力はわかりました。全力で切ってもらっても結界が割れる程度で済みそうです」
「……そ、そうなのか。えっと、そろそろ始めてもいいのかい?」
「そうですね。始めましょうか」
ロイズは動揺しながら移動していたようだが、私と少し距離をとって剣を構えると落ち着いた様で、私をじっと見つめた。それを見て、私もすぐに魔法を発動できるように構える。
しかし、なぜロイズは動揺していたのだろうか。
「そうだ、勝利条件は『相手が降参する』でいいですか?」
「あぁ、それでいいよ」
「それじゃあ、商人さん、合図をお願いします」
「わかった。それでは…………始め!」
開始と同時に、私はロイズの足元を凍らせる魔法を発動した。発動した魔法は、ロイズの脚を膝下辺りまで巻き込んで地面を凍らせた。
「うおっ」
駆け出そうとしていたロイズが少しバランスを崩したので次の魔法を発動しようとしたと同時に、ロイズは身体強化を脚に集中させて氷を力ずくで破壊し、私に剣が十分に届く距離まで一気に近づいた。
近づいてきたロイズは私に剣を振るった。しかし私には届かず、ギリギリで発動した私の結界に阻まれた。もし止められなくても、寸止めにはなっていたと思うけど。
「危なかった…」
実際、氷を破壊した事に驚いて反応が遅れた上に、死角に近い位置まで潜り込まれたので、少しでも魔法の発動が遅れたら降参せざるを得なかっただろう。
しかし、結界で剣を……正確にはロイズか持っている魔剣を止めれたならば、私の勝ちは確定したようなものになる。
その証拠に、ロイズは今私の目の前で倒れた。そして、そのロイズに魔法を撃てるように手を向ける。
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