近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~
第9話 魔石と、戦い
私が住んでいる村は王都からはとても遠い。しかし、近くに商業が盛んな街があるので、商人が村に寄りに来ることがある。王都や街から持ってきた商品も多いので、私たちからすると高価だけど、買いたくなるものばかりだ。
その日も、1人の商人が2人ほど護衛を連れて村へ来ていた。いつもならパッと見てすぐに帰る人が多いけど、その日は群がる様に人が集まっていた。
何があったのか気になったので寄っていき、近くの人に聞いてみることにした。
「すいません、何かあったんですか?」
「あぁ、まあな。物凄い商品があるんだよ」
「物凄い商品?」
とても切れ味の鋭い剣とかだろうか。
「魔石だよ。それも、自然に生成された」
「なるほど」
予想を遥かに上回る物凄さだった。自然物の魔石なら、私よりも年下の子供だって凄さがわかるだろう。
「まぁ、大きさはそこまでではないんだが、いかんせん値段が高いんだよな。俺には買えそうにない」
「そうですか……」
大人で手が出せない値段なら、子供の私が買えるものではないだろう。
とはいえ、商品はそれだけではない。他のものを見ていくのもいいかもしれない。
そんな事を考えていると、丁度少し空いてきた。今なら商品も見えるだろう。
「……うわぁ、綺麗」
覗いてみた時に最初に私の目に飛び込んできたのは、やはり魔石だった。初めて見る自然物の魔石は、思っていたよりもずっと綺麗だった。
「おぉ、やっぱりお嬢ちゃんも魔石が気になるかい?」
商人のおじさんが話しかけてきた。そこそこ体格はいいが、とても優しそうだ。
「はい、初めて見たので。これはいくらですか?」
「大銀貨70枚だね。お嬢ちゃんが買うのは厳しいんじゃないかな」
「そんなに高いんですか……」
この世界のお金は金貨、銀貨、銅貨の3つで、それぞれに大小の2つがある。小銅貨100枚で大銅貨1枚、大銅貨100枚で小銀貨1枚という様に、100枚ごとに1つランクが上がる。つまり、大銀貨70枚は小銅貨7000万枚と同じ価値だ。親の手伝い1回で小銅貨10枚の私には買えそうにない。
「うーん……やっぱり無理か」
他の人はもう帰っていたので、私も諦めて帰ろうとした。しかし、商人に呼び止められた。
「お嬢ちゃん、ちょっと待ってくれ」
「なんですか?」
「もしかして……強くないか?」
「……はい?」
いきなり「強くないか?」と聞かれても、訳が分からない。……もしかして、調子に乗せて戦って、甚振ろうとしているのだろうか。
そんな訝しげな視線を送ると、商人は少し焦って訳を話した。
「あぁ、突然変なことを言ってすまない。お嬢ちゃんがこの魔石を手に入れられるチャンスをあげようと思っただけなんだ」
「……どうして私に?」
チャンスとは何かを聞く前に、気になった事を聞いた。
「お嬢ちゃんが強そうだったからだ。俺は強い奴が好きでな、強い奴同士の戦いを見てみたいと思ったんだ」
「どういう事ですか?」
戦いを見たいという事は、本人が戦いたいという事ではないのだろう。
「俺の護衛のこいつと戦ってくれ。もし勝てたら、この魔石をお嬢ちゃんにタダであげよう」
「え?俺ですか?」
私の前に突き出された青年は、少し困惑しているようだ。
「こいつは俺が護衛を任せた中でも1番強い。もちろん、怪我はしないように手加減してもらうさ」
「……わかりました、乗ります。でも、私が予想以上に弱くて、ガッカリしても責任は取りませんよ」
「あぁ、それで構わない」
「えぇ……俺の意見は無視ですか」
乗り気ではなさそうな青年と商人ともう1人の護衛を連れて、戦いやすそうな近くの草原に移動した。
その日も、1人の商人が2人ほど護衛を連れて村へ来ていた。いつもならパッと見てすぐに帰る人が多いけど、その日は群がる様に人が集まっていた。
何があったのか気になったので寄っていき、近くの人に聞いてみることにした。
「すいません、何かあったんですか?」
「あぁ、まあな。物凄い商品があるんだよ」
「物凄い商品?」
とても切れ味の鋭い剣とかだろうか。
「魔石だよ。それも、自然に生成された」
「なるほど」
予想を遥かに上回る物凄さだった。自然物の魔石なら、私よりも年下の子供だって凄さがわかるだろう。
「まぁ、大きさはそこまでではないんだが、いかんせん値段が高いんだよな。俺には買えそうにない」
「そうですか……」
大人で手が出せない値段なら、子供の私が買えるものではないだろう。
とはいえ、商品はそれだけではない。他のものを見ていくのもいいかもしれない。
そんな事を考えていると、丁度少し空いてきた。今なら商品も見えるだろう。
「……うわぁ、綺麗」
覗いてみた時に最初に私の目に飛び込んできたのは、やはり魔石だった。初めて見る自然物の魔石は、思っていたよりもずっと綺麗だった。
「おぉ、やっぱりお嬢ちゃんも魔石が気になるかい?」
商人のおじさんが話しかけてきた。そこそこ体格はいいが、とても優しそうだ。
「はい、初めて見たので。これはいくらですか?」
「大銀貨70枚だね。お嬢ちゃんが買うのは厳しいんじゃないかな」
「そんなに高いんですか……」
この世界のお金は金貨、銀貨、銅貨の3つで、それぞれに大小の2つがある。小銅貨100枚で大銅貨1枚、大銅貨100枚で小銀貨1枚という様に、100枚ごとに1つランクが上がる。つまり、大銀貨70枚は小銅貨7000万枚と同じ価値だ。親の手伝い1回で小銅貨10枚の私には買えそうにない。
「うーん……やっぱり無理か」
他の人はもう帰っていたので、私も諦めて帰ろうとした。しかし、商人に呼び止められた。
「お嬢ちゃん、ちょっと待ってくれ」
「なんですか?」
「もしかして……強くないか?」
「……はい?」
いきなり「強くないか?」と聞かれても、訳が分からない。……もしかして、調子に乗せて戦って、甚振ろうとしているのだろうか。
そんな訝しげな視線を送ると、商人は少し焦って訳を話した。
「あぁ、突然変なことを言ってすまない。お嬢ちゃんがこの魔石を手に入れられるチャンスをあげようと思っただけなんだ」
「……どうして私に?」
チャンスとは何かを聞く前に、気になった事を聞いた。
「お嬢ちゃんが強そうだったからだ。俺は強い奴が好きでな、強い奴同士の戦いを見てみたいと思ったんだ」
「どういう事ですか?」
戦いを見たいという事は、本人が戦いたいという事ではないのだろう。
「俺の護衛のこいつと戦ってくれ。もし勝てたら、この魔石をお嬢ちゃんにタダであげよう」
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