近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~

駄菓子オレンジ

第5話 一方的な、初戦闘

 あの後また、私たちが本を読んだり魔法を試したりしていると、父がやってきた。

「おお、集中して読んでるな。どうだ、何か魔法は使えたか?」
「私は大体使えたよ」
「私はほとんど使えなかった」
「そうか。なら、剣もやってみないか?エンシーは剣に魔法を付与できたらかなり便利だし、エイリーも魔法の腕は剣の腕でカバーできるかもしれないぞ」

 なるほど、たしかに便利そう。この世界なら銃刀法違反とかで捕まらないし、使ってみるのもいいかもしれない。
 隣を見てみると、エイリーが目を輝かせていた。

「やってみたい!」
「……私も」

 エイリーの反応に驚いて、少し言い遅れてしまった。

「それじゃあ早速……と言いたいところだが、今日はもう無理だな」

 外を見ると、既にほとんど日が落ちていた。そんなに長い間本を読んでいたのか。

「明日の午前中にでもやるか」
「はーい」
「わかった」

 父は少し満足そうに戻っていった。ところで…

「エイリー…というか、愛百合ってそんなに剣好きだったっけ?」
「あー、うん。実はね。お姉ちゃんには内緒にしてたけど、私は刃物が好きで、私の部屋でこっそりナイフをコレクションしたりしてたんだ」

 全く知らなかった。一日の暇な時間はだいたい部屋でゲームして過ごしてるから、あまり愛百合の部屋に入ることが無かったからかもしれない。

「いつからそんな、ナイフとか集めてたの?」
「うーん、たまにゲーム画面を見に、お姉ちゃんの部屋に行くようになったでしょ?その時からかな」
「……?やけに具体的だね」
「あぁ、お姉ちゃんがやってたネトゲのナイフがかっこよくて……それに惹かれて私も始めちゃってさ、そこからどんどん剣とかナイフとかにハマっちゃって」
「やり始めたなら、言ってくれれば良かったのに……というか、私が原因だったのね」
「……否定したいけど、間違いではないかな」

 この後はそのネトゲについて話し、晩御飯を食べて、お風呂に入って、寝た。



 翌日から剣の練習が始まった。けど、あれから3ヶ月ほど経った今、私は練習にほとんど参加していない。その分、魔法の練習に時間を費やしている。
 逆にエイリーは、剣の練習に力を入れ、魔法の練習はほとんどしていない。
 どうやら、私は魔法が、エイリーは剣が得意なようだ。趣味にも合っていてちょうどいい。
 さて、今ある本を全て読み終えた私は、覚えた魔法の試し撃ちのために、近くの森に来ていた。何かあってもすぐに逃げられるように、あまり深くは入っていない。

「この辺りならいい感じかな」

 周りより、比較的木が少ない場所で試すことにした。
 まずは、いい相手を探す。魔力の操作に慣れてきたことで、周囲の魔力の流れも感知できるようになったので、それを使って野生動物を探す。
 1分程探していると、1匹の動物が見つかった。

「鹿かな?できれば今回は、好戦的な動物がいいんだけど……っ!」

 突然、鹿が逃げるように移動しだした。なので、少し観察していると、森の奥から猛スピードで向かってくる動物を見つけた。
 どうやら、動物を探していたのがバレたようだ。魔力感知による探索は、慣れないうちは逆に感知されることもある。恐らくそのせいだろう。

「でも、この際好都合かな」

 そう言いながら、私は対物理結界を張った。対物理結界とは、使う魔力量によって強度が変わる硬い盾や壁のようなもの。
 今回は減速させることが目的だから、あまり硬くはしていない。
 それから5秒も経たずに、結界に猪が突っ込んできた。結界は割れたけど、猪はひるんで停止した。

「今のうちに……上手くいくといいけど」

 私はイノシシに向かって、手から水を出した。この水は、魔力を変換したもの。
 その水を猪に纏わせる。あまり大きい猪ではなかったので、猪は直径1メートル程の大きさの水の球に包まれた。
 猪はその中でもがいていたが出られず、しばらくすると動かなくなった。

「……そろそろいいかな」

 私が魔法を解除すると、水はほとんど地面に吸収され、猪の死骸が倒れているだけになった。
 ともかく、試したかった結界魔法は上手くいったので、私的には満足である。
 猪は家に持って帰った。普通なら5歳の女の子には持てないようなものだが、魔法を使えば楽に運べる。
 やはり魔法は便利だ。

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