近距離魔法使いの異世界冒険記 ~妹と二人で転生しました~
第1話 どうやら、死んだらしい
「ただいまー」
玄関にはいい匂いが漂っていた。どうやら、妹が晩御飯の準備をしてくれているようだ。
廊下の奥の部屋から妹が走ってきて、そのままの勢いで私に抱きついてきた。いつものことだ。
「おかえりー!お姉ちゃん!」
私も抱きつき返す。これもいつものこと。
「ただいまー!愛百合!」
妹の名前は愛百合。
そして、この状況を見て貰えたらわかる通り、2人とも重度のシスコンだ。更に、ここ数年、一切喧嘩していないくらい仲がいい。
「あ、またドア開けっ放しじゃん。ちゃんと閉めてっていつも言ってるのに」
こうやって怒られることはあるけど。
「そういえばさっき、お姉ちゃん宛の荷物が届いてたから、部屋に置いといたよ。中身確認したら晩御飯の準備手伝ってね。あ、手洗いうがいも忘れずに」
「はいはい、そこまで忘れるほどずぼらじゃないから」
そう言って私はドアを閉めてから洗面所へ、愛百合はキッチンへ戻っていった。
手洗いうがいをして、部屋の荷物を確認する。どうやら、さっきの男子から手紙とプレゼントがあったようだ。
住所は、前に風邪で休んだ時に、色々届けてもらったから、その時に知ったんだろう。
プレゼントの中身は……
「香水?」
手紙には「さっき時間を取らせちゃったお詫びに、ちょっといい所の香水。本当は付き合えたらあげるつもりだったんだけどね。うちの学校の校則は緩いから、つけておいでよ」と書かれていた。
うーん……私はオシャレよりもゲームがしたいんだけど。
ともかく、香水なんだから、どんな匂いか確認しておかないと。一日中嗅ぐことになるし。
蓋を開けると、すぐに匂いがした。
「……バラの香り?」
バラの香りなら好きだ。バラの花自体も好きだけど。
もしかしたら、好みを知っていたのかもしれない。
「これなら、つけていこうか……な?」
いつの間にか、私の視界は90度回転していた。そして、真横に床がある。
……倒れた?しかも、眠気が凄い。香水に薬が混ぜられていたのだろうか。
コンコンとドアがノックされた。
「お姉ちゃん?今、すごい音したけど大丈夫?入るよ?」
「来ちゃ……ダメ」
私の返事は、自分でさえ聞こえないほど小さかった。身体に力が入らないのだ。
「何があった……え?お姉ちゃん!大丈夫!?」
「……」
今度は返事さえできなかった。
「そうだ!救急車呼ばないと!お姉ちゃん、携帯借りる……よ……」
愛百合も倒れた。携帯に手は届かなかった。
私が倒れた時に落とした手紙が、愛百合が倒れた衝撃で浮いた。その裏に文字が書いてあるのを見た。
『よくも振ったな』
その文字を読んだ後すぐに、目の前が真っ暗になった。
気が付くと、私は一面真っ白な空間にいた。でも、地面はあるし、重力もある。
隣を見ると、愛百合も居て、目を覚ましたところだった。
「やぁ、目が覚めたかい?」
驚いて、2人で声のした方を見ると、天使の様な格好をした金髪の少年が立っていた。
「……誰?」
「神」
「……はい?」
「だから、神」
私の質問に、間髪入れずに答えられた。
「お姉ちゃん、胡散臭くない?」
ぼそっと愛百合に聞かれた。同感だ。
「うん、スルーした方がいいね」
「いや、聞こえてるから」
まさか、聞こえていたとは。普通の人なら聞こえないくらいの大きさだったし、神ではなかったとしても、常人でもないだろう。
「それより、今の状況気にならないの?」
たしかに、ここはどこかはわからない。けど、その前に、
「気になるけど、誰?」
「だーかーらー、神だって。ランペスっていう神」
「名前があるなら最初から言って」
名前がわからないから何回も聞いていたのに。
「それはいいとして、ここはどこなんですか?」
愛百合が悪くなりかけた空気を切り替えようと、次の話題にしてくれた。
「ここは、簡単に言えば、死後の世界。死んだ人の魂と神が会うためだけにある世界」
「……え?私、死んじゃったの?」
愛百合がかなりショックを受けている。
「そうだね、2人とも死んだ。仲良く同じ部屋で、同じ死に方で」
「……あれは毒薬だったってこと?」
何とか最後の記憶を引っ張り出して、推理した。
愛百合が「あれって?」というような顔をしていたが、教える前に返事された。
「いや、あれはただの麻酔薬だ。ただ、多く取り込みすぎて死んだようだね。香水に混ぜ込んで、その香りを嗅いだだけで倒れるということは、相当強力だったようだけど」
愛百合は香水と聞いて、プレゼントの事だとわかったようだ。
しかし、彼はどうしてそんな物を送ってきたのだろう。
「どうしてそんな物を送ってきたのだろう……って顔をしているね。教えてあげようか? 」
「わかるの?」
この「わかるの?」は2重の疑問だ。
「そりゃあ、神だからね。大体わかる。ただ、教える代わりに、君たち2人には、僕に協力してもらいたいんだ」
私は愛百合を見た。どうするか考えるためだ。愛百合も私を見て、頷いた。
私は、自称神の少年、ランペスに向き直る。
「わかった。協力するから教えて」
ランペスは満足気に頷いた。
玄関にはいい匂いが漂っていた。どうやら、妹が晩御飯の準備をしてくれているようだ。
廊下の奥の部屋から妹が走ってきて、そのままの勢いで私に抱きついてきた。いつものことだ。
「おかえりー!お姉ちゃん!」
私も抱きつき返す。これもいつものこと。
「ただいまー!愛百合!」
妹の名前は愛百合。
そして、この状況を見て貰えたらわかる通り、2人とも重度のシスコンだ。更に、ここ数年、一切喧嘩していないくらい仲がいい。
「あ、またドア開けっ放しじゃん。ちゃんと閉めてっていつも言ってるのに」
こうやって怒られることはあるけど。
「そういえばさっき、お姉ちゃん宛の荷物が届いてたから、部屋に置いといたよ。中身確認したら晩御飯の準備手伝ってね。あ、手洗いうがいも忘れずに」
「はいはい、そこまで忘れるほどずぼらじゃないから」
そう言って私はドアを閉めてから洗面所へ、愛百合はキッチンへ戻っていった。
手洗いうがいをして、部屋の荷物を確認する。どうやら、さっきの男子から手紙とプレゼントがあったようだ。
住所は、前に風邪で休んだ時に、色々届けてもらったから、その時に知ったんだろう。
プレゼントの中身は……
「香水?」
手紙には「さっき時間を取らせちゃったお詫びに、ちょっといい所の香水。本当は付き合えたらあげるつもりだったんだけどね。うちの学校の校則は緩いから、つけておいでよ」と書かれていた。
うーん……私はオシャレよりもゲームがしたいんだけど。
ともかく、香水なんだから、どんな匂いか確認しておかないと。一日中嗅ぐことになるし。
蓋を開けると、すぐに匂いがした。
「……バラの香り?」
バラの香りなら好きだ。バラの花自体も好きだけど。
もしかしたら、好みを知っていたのかもしれない。
「これなら、つけていこうか……な?」
いつの間にか、私の視界は90度回転していた。そして、真横に床がある。
……倒れた?しかも、眠気が凄い。香水に薬が混ぜられていたのだろうか。
コンコンとドアがノックされた。
「お姉ちゃん?今、すごい音したけど大丈夫?入るよ?」
「来ちゃ……ダメ」
私の返事は、自分でさえ聞こえないほど小さかった。身体に力が入らないのだ。
「何があった……え?お姉ちゃん!大丈夫!?」
「……」
今度は返事さえできなかった。
「そうだ!救急車呼ばないと!お姉ちゃん、携帯借りる……よ……」
愛百合も倒れた。携帯に手は届かなかった。
私が倒れた時に落とした手紙が、愛百合が倒れた衝撃で浮いた。その裏に文字が書いてあるのを見た。
『よくも振ったな』
その文字を読んだ後すぐに、目の前が真っ暗になった。
気が付くと、私は一面真っ白な空間にいた。でも、地面はあるし、重力もある。
隣を見ると、愛百合も居て、目を覚ましたところだった。
「やぁ、目が覚めたかい?」
驚いて、2人で声のした方を見ると、天使の様な格好をした金髪の少年が立っていた。
「……誰?」
「神」
「……はい?」
「だから、神」
私の質問に、間髪入れずに答えられた。
「お姉ちゃん、胡散臭くない?」
ぼそっと愛百合に聞かれた。同感だ。
「うん、スルーした方がいいね」
「いや、聞こえてるから」
まさか、聞こえていたとは。普通の人なら聞こえないくらいの大きさだったし、神ではなかったとしても、常人でもないだろう。
「それより、今の状況気にならないの?」
たしかに、ここはどこかはわからない。けど、その前に、
「気になるけど、誰?」
「だーかーらー、神だって。ランペスっていう神」
「名前があるなら最初から言って」
名前がわからないから何回も聞いていたのに。
「それはいいとして、ここはどこなんですか?」
愛百合が悪くなりかけた空気を切り替えようと、次の話題にしてくれた。
「ここは、簡単に言えば、死後の世界。死んだ人の魂と神が会うためだけにある世界」
「……え?私、死んじゃったの?」
愛百合がかなりショックを受けている。
「そうだね、2人とも死んだ。仲良く同じ部屋で、同じ死に方で」
「……あれは毒薬だったってこと?」
何とか最後の記憶を引っ張り出して、推理した。
愛百合が「あれって?」というような顔をしていたが、教える前に返事された。
「いや、あれはただの麻酔薬だ。ただ、多く取り込みすぎて死んだようだね。香水に混ぜ込んで、その香りを嗅いだだけで倒れるということは、相当強力だったようだけど」
愛百合は香水と聞いて、プレゼントの事だとわかったようだ。
しかし、彼はどうしてそんな物を送ってきたのだろう。
「どうしてそんな物を送ってきたのだろう……って顔をしているね。教えてあげようか? 」
「わかるの?」
この「わかるの?」は2重の疑問だ。
「そりゃあ、神だからね。大体わかる。ただ、教える代わりに、君たち2人には、僕に協力してもらいたいんだ」
私は愛百合を見た。どうするか考えるためだ。愛百合も私を見て、頷いた。
私は、自称神の少年、ランペスに向き直る。
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ランペスは満足気に頷いた。
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