エタニティオンライン
オータムコンボ
あれから数十分経とうとも、客足が遠退くことはなかった。やがて復活薬の補充が、販売の早さに少しずつ緩やかに追いつかなくなってきた。一つ補充すれば二つ売れる、そんな状況がぱらぱらと散見されるようになった。それでも、幸運にもNPCは疲労しないため、ベルとエンジェルだけで十分に売り場は機能していた。
アキはそんな売り場を、カウンター裏の扉からこっそりと覗いていた。
よし、これだけ売り上げられたなら、あの作戦が出来るかもしれない。復活薬は売れる。問題は材料が少なくなってきたことだ。材料問題を解決させるためには、どうしたら良い? 誰かが採ってきてくれれば、それが一番楽なんだけどな。大して遠くにもないんだし。ん? 誰か……?
「そうか!」
アキはすぐさま扉を開け、カウンターから外に並ぶ客へ呼びかけを行った。
「今から、復活薬の原材料を全て持ち込んでくださった方には、復活薬を半額で販売致します! 既に持っているという方は、是非持ち込みをしていただきたい! 持っていない方でも、『躍然たる草原』でゴブリンの肉、『絡み合う森』で樹液花と黄金草が手に入ります!」
列をなしていたプレイヤー達はざわめいた。ひとまず、プレイヤー達は材料が揃っているかアイテムチェストを開いて確認しているようだ。この状況で街の外にはあまり出たがらないことはアキにもわかっていた。
「街の外に出る場合、なんとたった五十カッパーでモンスターを一体付けます! こちらは数量限定のサービスなので、お早めに!」
本来ならば契約を結び、取引を確実なものにする。しかし、その契約を登録する段階で『商売システム』という用紙に書かれたルールを自動的に行うシステムを利用するために、運営側の許可を得なければならない。現状のエタニティオンラインでは、運営の介入する隙は広告スペースしかないと発表されているため、状況に合わせた契約を作ることはできなかった。
アキの喚起するモンスター達は、どこか他の街に入らない限り、指示すれば他のプレイヤーを仮の主人として認識させることができる。戦う機会が極端に減った今のエタニティオンラインで、オータムセキュリティを少しでも有効活用するためのアキの作戦であった。
「さぁさぁ、買った買ったー!」
声出しをしながら、先程言ったことを山吹色の紙に書き込み、店の外に貼り出した。その頃には、細い路地を埋め尽くすほどの人が並んでいた。救いを求めるように、その貼り紙を眺め、考えあぐねている。アキは人々を店の中から観察していた。
この街で目立って活動しているアルケミストなんてたかが知れた数だ。その多くが店を構えることを諦めた者達。競争相手が少ないことが、これだけのプレイヤーを呼び寄せた原因のひとつか。
売り上げでまた材料を買うのも良いけど、街の外に出て材料集めしづらい状況と復活薬の需要から考えるに、材料の値段は高騰してると思う。それだと復活薬自体の値段もあげる必要がある。ライバル店との差別化のためにそれだけは避けたい。やっぱり先にまとめ買いさせておいて正解だったか。
「おい店主、モンスター貸してくれ!」
突然列から一人の男が声をかけてきた。その手には五枚の星のついた銅貨が乗せられていた。アキはにやりと笑って銅貨を受け取り、サキュバスを喚起した。
「最初に声を上げるのはとても勇気がいること。だから大サービス、サキュバスを貸しますよ」
「お、そりゃありがたい。あんた、モンスターテイマーとアルケミストでよくここまでやれてるな。正直尊敬する」
久々に褒められたアキが返す言葉に迷っていると、喚起したサキュバスがアキの顔を覗き込んできた。
「今度はちゃぁんと戦わせてくれるのよねぇ?」
「あ、ああ、この男の人に付いてやってくれ。もし危害を加えられたら、すぐに戻ってくるんだ。今回は契約を介してないからな」
「おっまかせよん!」
アキはそんな売り場を、カウンター裏の扉からこっそりと覗いていた。
よし、これだけ売り上げられたなら、あの作戦が出来るかもしれない。復活薬は売れる。問題は材料が少なくなってきたことだ。材料問題を解決させるためには、どうしたら良い? 誰かが採ってきてくれれば、それが一番楽なんだけどな。大して遠くにもないんだし。ん? 誰か……?
「そうか!」
アキはすぐさま扉を開け、カウンターから外に並ぶ客へ呼びかけを行った。
「今から、復活薬の原材料を全て持ち込んでくださった方には、復活薬を半額で販売致します! 既に持っているという方は、是非持ち込みをしていただきたい! 持っていない方でも、『躍然たる草原』でゴブリンの肉、『絡み合う森』で樹液花と黄金草が手に入ります!」
列をなしていたプレイヤー達はざわめいた。ひとまず、プレイヤー達は材料が揃っているかアイテムチェストを開いて確認しているようだ。この状況で街の外にはあまり出たがらないことはアキにもわかっていた。
「街の外に出る場合、なんとたった五十カッパーでモンスターを一体付けます! こちらは数量限定のサービスなので、お早めに!」
本来ならば契約を結び、取引を確実なものにする。しかし、その契約を登録する段階で『商売システム』という用紙に書かれたルールを自動的に行うシステムを利用するために、運営側の許可を得なければならない。現状のエタニティオンラインでは、運営の介入する隙は広告スペースしかないと発表されているため、状況に合わせた契約を作ることはできなかった。
アキの喚起するモンスター達は、どこか他の街に入らない限り、指示すれば他のプレイヤーを仮の主人として認識させることができる。戦う機会が極端に減った今のエタニティオンラインで、オータムセキュリティを少しでも有効活用するためのアキの作戦であった。
「さぁさぁ、買った買ったー!」
声出しをしながら、先程言ったことを山吹色の紙に書き込み、店の外に貼り出した。その頃には、細い路地を埋め尽くすほどの人が並んでいた。救いを求めるように、その貼り紙を眺め、考えあぐねている。アキは人々を店の中から観察していた。
この街で目立って活動しているアルケミストなんてたかが知れた数だ。その多くが店を構えることを諦めた者達。競争相手が少ないことが、これだけのプレイヤーを呼び寄せた原因のひとつか。
売り上げでまた材料を買うのも良いけど、街の外に出て材料集めしづらい状況と復活薬の需要から考えるに、材料の値段は高騰してると思う。それだと復活薬自体の値段もあげる必要がある。ライバル店との差別化のためにそれだけは避けたい。やっぱり先にまとめ買いさせておいて正解だったか。
「おい店主、モンスター貸してくれ!」
突然列から一人の男が声をかけてきた。その手には五枚の星のついた銅貨が乗せられていた。アキはにやりと笑って銅貨を受け取り、サキュバスを喚起した。
「最初に声を上げるのはとても勇気がいること。だから大サービス、サキュバスを貸しますよ」
「お、そりゃありがたい。あんた、モンスターテイマーとアルケミストでよくここまでやれてるな。正直尊敬する」
久々に褒められたアキが返す言葉に迷っていると、喚起したサキュバスがアキの顔を覗き込んできた。
「今度はちゃぁんと戦わせてくれるのよねぇ?」
「あ、ああ、この男の人に付いてやってくれ。もし危害を加えられたら、すぐに戻ってくるんだ。今回は契約を介してないからな」
「おっまかせよん!」
「エタニティオンライン」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
176
-
61
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,039
-
1万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
3,152
-
3,387
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,295
-
1,425
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,675
-
6,971
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
344
-
843
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
76
-
153
-
-
1,863
-
1,560
-
-
3,653
-
9,436
-
-
14
-
8
-
-
108
-
364
-
-
2,629
-
7,284
-
-
2,951
-
4,405
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
614
-
221
-
-
2,431
-
9,370
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
614
-
1,144
-
-
88
-
150
-
-
2,799
-
1万
-
-
164
-
253
「SF」の人気作品
-
-
1,798
-
1.8万
-
-
1,274
-
1.2万
-
-
477
-
3,004
-
-
452
-
98
-
-
432
-
947
-
-
432
-
816
-
-
415
-
688
-
-
369
-
994
-
-
362
-
192
コメント